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保育園の売却手続きを成功させる3つの大切な視点。M&A相談先選定・改善点チェック・契約までの流れを整理
目次
少子化や人手不足、後継者不在などが進むなか、近年、保育園の経営を取り巻く環境は大きく変化しています。
特に企業型(企業主導型)保育園においては、 赤字に悩む施設が増加しており、「黒字園」と「赤字園」の経営状態の二極化が進んでいるという見方もあります。
さらに、2025年時点で、保育園の倒産件数は過去最多といわれており、補助金があっても、賃料・人件費・光熱費の上昇には対応できない園もあるようです。
こうした経営の厳しさゆえに、「園の価値を守りたい」「保育の質を維持したい」という想いのもと、M&Aをはじめとする事業承継を考える園長先生や経営者の方もいるでしょう。
とはいえ、園の「売却」「譲渡」について、「職員や子どもたちの生活はどうなるのか」「理念や質は引き継がれるのか」といった想いから、不安を抱える方も少なくありません。
今すぐに決断を下すわけではなくても、園の未来を見据えて準備を始めましょう。
ここからは、もし売却や譲渡を選択した場合に、後悔のない判断をするために意識しておきたい「3つの視点」について紹介します。
保育園の売却や譲渡を進めるうえで、まず重要になるのが「パートナー選び」です。
信頼できる仲介会社や専門家と出会えるかどうかで、その後の流れや結果は大きく変わる でしょう。
M&Aや事業承継には、法律・財務・契約など複雑な要素が含まれており、保育事業に特化した知識や経験が必要です。
【パートナー選びのポイント】
保育園ならではの運営体制や保育方針への理解があるかどうかは、とても重要です。保育業界の動向に詳しい仲介会社や専門家を選びましょう。
「何件の保育園売却をサポートしてきたか」「どんな規模・地域の園を扱っているか」など、具体的な実績が確認できると安心です。
初回相談の際の対応や質問への答え方から、その会社がどれほど親身に園の想いに寄り添ってくれるかが見えてきます。どのような対応なのかをしっかりチェックしていきましょう。
売却後の職員の雇用継続や、保護者への説明サポートまで含めた提案をしてくれる会社は、園全体の未来を大切に考えている証です。配慮あるサポートをしてくれるかどうかも確認しましょう。
手数料や途中でキャンセルした場合の条件など、事前に不明点を確認しましょう。
信頼できるパートナーと出会うことは、園の理念や想いを守りながら、安心して次のステップへ進むための土台となります。
保育園の売却・譲渡について、「誰と進めるか」を丁寧に見極めていきましょう。
売却や譲渡を検討する際には、現在の園の課題や改善点を明確にすることも大切です。
譲受側にとって園の価値を判断する材料になるだけでなく、自園の強みや魅力を正しく伝えるための準備にもつながります。
たとえば、
こうした点を一つずつ洗い出すことで、本格的に売却や譲渡の準備を始めた時に、信頼性の高い情報提供が可能になります。
また、現在の課題を把握し、日頃から改善できる部分についてできるだけ対応しておくことも、園の価値を高めることにつながります。
なぜなら、譲受側は、園の将来のリスクも含めて判断するため、課題や懸念点を曖昧にせず、誠実に整理しておく必要があるのです。
売却・譲渡に向けた準備は、園を見つめ直す機会にもなるでしょう。
売却・譲渡をスムーズに進める際には、全体の流れをあらかじめ把握しておくことで不安が軽減され、落ち着いて対応できるでしょう。
一般的な流れは、以下のようになります。
【保育園の売却・譲渡の流れ(概要)】
1.専門家・仲介会社などの相談先の選定
信頼できるパートナーを見つけ、事業承継の方針や希望条件などを共有します。
早めの相談が、最適な引き継ぎ先との出会いにつながります。
2.事前準備・現状整理
財務状況や運営体制、契約関係などを整理し、自園の状況を客観的に把握します。
この段階で改善すべき点が見つかれば、早めに対応しておくことが望ましいです。
3.譲受候補とのマッチング・交渉
園の理念や運営方針を理解し、共感してくれる相手との交渉が重要です。
職員や保護者の立場を考慮しながら、丁寧に進めることが信頼につながります。
4.デューデリジェンス(調査)と契約手続き
財務状況や契約関係について譲受側が確認を行います。
その後、条件がまとまれば契約の締結へと進みます。
5.引き継ぎ・保護者や職員への説明
契約後は、スムーズな引き継ぎと丁寧な説明が求められます。
職員や保護者が安心して今後を迎えられるよう、情報共有とサポート体制を整えることが大切です。
なお、ネクストビートは、保育業界に特化したM&A・事業承継をサポートし、園長先生や経営者の方の想いに寄り添いながらご相談に応じさせていただきます。
「園に合った承継方法を知りたい」「どんな選択肢があるのかを相談したい」という段階でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。
保育園の売却・譲渡は、子どもや職員、保護者に影響する大きな決断です。
スムーズに進めるための注意点を確認しましょう。
株式会社などの営利法人では、株式譲渡や事業譲渡が可能ですが、社会福祉法人は法人そのものの売却はできません。
譲渡や合併などという形で、所轄庁の認可を得て進める必要があるでしょう。
自園の法人格に応じた流れを理解しておくことが、スムーズで納得のいく承継の準備につながります。
仲介手数料、専門家への報酬、譲渡益にかかる税金など、売却にはさまざまなコストが伴うでしょう。
「考えていたよりも費用がかかってしまった」とならないよう、早い段階で試算を行いましょう。
なお、法人の種類や譲渡の方法によって税制の扱いも変わるため、税務の専門家へ相談すると安心です。
契約書には譲渡価格のほか、株式の譲渡時期、対価の受け渡し方法、経営者・役職員の処遇などといった多くの要素が含まれます。
曖昧なまま進めれば、後からトラブルにつながる恐れがあります。
退職金の積立や補助金の扱いなど、見落としがちな部分も含めて、専門家の助言を受けながら丁寧に確認しましょう。
保育園の売却・譲渡の話を伝えると、職員と保護者は不安になることがあるかもしれません。
職員にとっては雇用や待遇がどうなるのか、保護者にとっては子どもが今後も安心して通えるかという戸惑いが生じることが考えられます。
特に正式に伝える前に噂話が広まってしまうと、余計な混乱を招く恐れがあるため、情報の取り扱いには細心の注意を図りましょう。
信頼できる仲介会社や専門家と連携しながら進め、伝えるタイミングや説明の仕方をしっかり考えることが大切です。
出典:事業引継ぎガイドライン~M&A等を活用した事業承継の手続き~
保育園の未来を考えた時に、「売却」「譲渡」という言葉に抵抗を感じる方もいるかもしれません。
しかし、園の理念や保育の質を守りながら、未来へとつなぐ方法の一つとして前向きに捉えることも大切です。
まずはどのような準備が必要なのかを確認するためにも、信頼できる仲介会社や専門家を探してみましょう。
早めに動き出すことで選択肢が広がり、園にとって最適な承継の形になることも考えられます。
子どもたちの笑顔と職員の働く環境を守るために、今からできる準備を少しずつ始めてみませんか。
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お送りいたします。
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