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保育園の売却・譲渡価格の決まり方!相場感と付加価値を高める3つのポイント

保育園の売却・譲渡価格の決まり方!相場感と付加価値を高める3つのポイント JW Studio/stock.adobe.com
長年大切に育ててきた保育園を、これから先どう守っていくのか。園長先生や経営者の方にとって、事業承継は決して簡単に答えを出せるテーマではないでしょう。今回は、売却・譲渡手続きを進める際の要点を「パートナー選び」「改善点の洗い出し」「相談先選定~契約の流れ」の3視点でわかりやすく解説します。子どもと職員の未来を守る事業承継について考えてみましょう。

目次

    保育園の売却・譲渡価格の決まり方と相場感とは

    保育園の売却・譲渡価格は、不動産や株式のように一律の「相場」が存在するわけではなく、園の「価値」をどう評価するかで決まります。

    たとえば、M&Aでよく使われる「利益倍率方式」では、売却・譲渡価格=年間の営業利益×2〜5倍という計算式が用いられます。

    例:年間の営業利益が800万円の園で、倍率を3倍とした場合

    800万円×3=2,400万円が価格の目安になります。

     

    このように計算式を当てはめれば、売却・譲渡価格のイメージをつかむことはできるでしょう。

    保育園の売却・譲渡価格はどう決まる?価値を測る3つの視点

    保育園の売却・譲渡価格は、園の財務状況、非財務状況、地域の需要などさまざまな要素が影響します。ここでは、それらの点について詳しく見ていきましょう。

    財務状況(数字で示せる価値)

    保育園の売却・譲渡価格を決めるうえで、もっとも基本的な要素となるのが財務状況です。

    営業利益や資産・負債の状態といった「数字で示せる価値」は、譲受側が「園を引き継いだあとも安定した経営ができるか」を判断するための基本材料となります。

    評価ポイントの例は、以下の通りです。

    • 営業利益の安定性
      毎年の利益が安定しているか
    • 利益率の水準
      売上に対してどの程度の利益を確保できているか
    • 債務超過の有無
      負債総額が資産を上回っていないか
    • 資金の余裕度
      毎月の運営費(人件費や家賃など)を滞りなく支払える状態か
    • 純資産の大きさ
      園舎や土地などの資産を含めて、資産価値がどの程度あるか
    • 過去の財務履歴
      一時的な黒字/赤字ではなく、継続的に健全な経営ができているか

     

    安定した利益の確保と財務情報の整理は、高額の売却を目指すための重要な要素です。

    しかし、なかには赤字経営であっても立地条件や今後の需要見込みによって一定の評価がつくケースもあります。

    ただし、財務の数字だけで価格が決まるわけではありません。

    たとえば、赤字の園であっても、「地域の保育需要が高い」「職員の定着率がよい」といった条件がそろえば、譲受側から評価されることもあります。

    つまり、財務状況は大切な基盤ではありますが、最終的な価格は「園の強み(非財務情報)」や「地域の保育ニーズ(市場環境)」とあわせて総合的に判断されることを押さえておきましょう。

    非財務情報(数字に表れない価値)

    保育園の売却価格を決める際には、財務の数字だけでなく「園の保育の質」や「運営の安定性」といった非財務的な要素も重要な評価対象 となります。

    数字には直接表れにくいものの、園の実際の魅力を示す材料になります。

    売却・譲渡価格の評価ポイントの例は、以下の通りです。

    • 職員の定着率
      離職率が低く、安定した体制で保育を提供できているか
    • 保護者からの信頼
      園への満足度や口コミ、地域での評判がよいか
    • 独自の保育方針
      教育・保育の特色があり、他園との差別化につながっているか
    • 入園率の高さ
      定員に対して入園希望者が多く、安定して定員を満たしているか
    • 地域とのつながり
      自治体や地域活動との連携があり、運営が地域に根づいているか
    • 職員の専門性
      資格取得や研修を通じて質の高い保育を実践できる体制か

     

    非財務情報は「園が地域にどれだけ信頼され、安定して子どもを預かれる体制を持っているか」を示すものです。

    たとえ、財務面で大きな黒字が出ていなくても、入園率が高く、保護者から選ばれている園であれば、譲受側にとって価値ある投資先とみなされやすくなるでしょう。

    つまり、園の雰囲気や信頼関係といった“目には見えない魅力”も、売却・譲渡価格を左右する大切な要素なのです。

    市場環境(地域の需要と外部要因)

    保育園の売却・譲渡価格は、園そのものの状況だけでなく、地域の子育て環境や人口動態といった外部要因も影響を与えるでしょう。

    たとえば、少子化の進行や園の立地条件は、将来的な需要を判断するうえで重要な指標です。

    首都圏や大都市圏など子育て世帯が多く、交通の便がよい地域では需要が高く、売却価格も上がりやすい傾向にあるでしょう。

    一方で、人口減少が進む地方や通園が不便な立地では、同じ規模の園でも評価が下がる恐れがあります。

    評価ポイントの例は以下の通りです。

    • 子どもの人口推移
      地域で子どもの数の増減はあるか
    • 待機児童の状況
      待機児童が多いエリアは需要が高く、評価が上がりやすい
    • 少子化の影響
      人口減少が進む地域では将来の利用者減少リスクがある
    • 立地条件
      都市部か地方か、通いやすさや周辺環境が評価に影響する
    • 地域政策の動向
      自治体による子育て支援や保育園整備の方針が追い風になる場合もある

     

    市場環境については、地域に住んでいれば「子どもの数が減ってきている」「待機児童が多い」といった状況を肌で感じることができるでしょう。

    ただし、こうした市場環境は固定的なものではなく、自治体の子育て支援策や保育所整備の方針によって変化する可能性があります。

    そのため、売却・譲渡を検討する際は、最新の地域の情報を確認したうえで、エリアごとの「相場感」をチェックする必要があるでしょう。

    各エリア「相場感」を知りたい場合は、保育事情に詳しいネクストビートにご相談ください。「売却するべきか迷っている」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。

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    保育園の付加価値を高める方法1「財務状況の見える化」

    続いて、保育園の付加価値を高める方法について詳しく見ていきましょう。

    譲受側は、提示された財務データをもとに園の将来性を判断します。

    しかし、数字が整理されていなかったり、読み取りにくい状態だったりすると「不透明な園」と見なされ、評価が下がる恐れがあります。

    財務状況を見える化することは、単なる書類準備ではなく、園の信頼性を高めるための戦略的な行動です。

    財務状況を整理する際は、以下のように工夫するとよいでしょう。

    • 資料をまとめて提示できる状態にする
      決算書・補助金収支・運営費の内訳などのデータを一元化しておく
    • 数字の背景を説明できるようにする
      一時的に赤字は「園舎改修のため」など理由を添え、評価が下がらないように気をつける
    • 将来の見通しも用意する
      直近の収支だけでなく、入園率やコスト削減計画を添え、園の成長・将来性に触れる
    • 専門家のチェックを受けておく
      税理士や会計士の確認があれば、数字の信頼性が増す

     

    なお、専門家に財務状況のチェックを受けたい場合は、保育業界の売却や譲渡に詳しい方に任せるとよいでしょう。

    ネクストビートでは、専門家の紹介も行っておりますので、お問い合わせお待ちしています。

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    保育園の付加価値を高める方法2「保育の質の向上に取り組む」

    先述の通り、譲渡価格に影響するのは財務の安定性だけではありません。

    子どもにとって質の高い保育を提供しているかは、保護者からの信頼や地域での評価につながり、園の価値を高めます。

    保育の質を高めるポイントは、以下の通りです。※一例として紹介

    • 子ども主体の保育
      子どもの発達段階や個性に合わせた活動を取り入れ、一人ひとりが成長できる環境を整える
    • 遊びと学びのバランス
      自由遊びと教育的プログラムの双方を大切にし、幅広い経験を提供する
    • 保健・安全への配慮
      食事や生活習慣の指導、衛生管理、安全対策を徹底し、保護者が安心できる環境をつくる
    • 地域や家庭との連携
      行事や交流を通じて地域社会とつながり、家庭と協力して子どもを育む姿勢を示す

     

    こうした取り組みはすぐに数字には表れませんが、園のブランドや信頼感を形づくり、譲受側から「継続して選ばれる園」と評価される要因になるでしょう。

    また、保育の質の向上は、子どもの健やかな成長を支えるうえで重要な取り組みです。

    定期的に改善点がないかをチェックし、継続的に見直していくことが大切です。

    保育園の付加価値を高める方法3「損をしない戦略を立てる」

    保育園の売却・譲渡は専門性の高い手続きが多く、準備不足や誤った判断によって「本来より低い価格で手放してしまう」「譲渡後にトラブルが生じる」といったリスクがあります。

    そのため、こうした事態を防ぐには、損をしないための戦略を立てることを考えてみましょう。

    とはいえ、戦略といっても難しいものではなく、次のような点を意識することが重要です。

    専門家や仲介会社の選定

    M&Aを支援する会社や専門家は数多くありますが、保育園の場合は許認可の確認や自治体との調整など、一般企業のM&Aにはない手続きが多くあります。

    そのため、保育業界に精通しているかどうかが選定のチェックポイントになります。

    業界特有の事情に理解がある会社であれば、情報収集や行政対応もスムーズに進められ、結果的に園の価値を守ることにつながる でしょう。

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    譲渡後の運営を見据えた準備

    保育園の売却・譲渡では、価格だけでなく、譲渡後の運営をどう引き継ぐかも大切です。

    職員の雇用をどう守るか」「保護者への説明をどう行うか」「園の方針をどの程度残すか」など、事前に整理しておくことで、譲渡後の混乱やトラブル防止に役立つでしょう。

    保育園の売却・譲渡価格や相場感は、M&Aの専門家への確認が重要

    保育園の売却・譲渡価格は、財務状況や保育の質、地域の需要といった複数の要素によって変動し、一律の相場を示すことは難しいでしょう。

    一般的な計算方法や価格算定の考え方を知っておくことは参考になりますが、実際の評価額は園ごとに大きく異なるのが実情です。

    「自園はいくらで譲渡できるのか」を正しく把握するには、M&Aに精通した専門家に確認することが欠かせません。

    ネクストビートでは、保育園の売却・譲渡に関するご相談を無料で受け付けています。

    まだ検討段階の方でも安心してご相談いただけますので、将来の選択肢を考える第一歩として、ぜひご活用ください。

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