保育園で楽しむ集団遊びの効果とは
集団遊びとはその名の通り、複数の子ども同士で遊ぶことを意味します。
子どもたちが1つの目的をもって集団で遊ぶことで達成感を分かち合い、協力し合うよろこびや楽しさを感じることができるでしょう。
また、子ども同士のふれ合いを通して、他者への興味・関心、思いやりの心を育む機会にもなります。保育士さんは年齢に合わせてゲームや運動遊びなどさまざまな集団遊びを活動に取り入れていることでしょう。
ときには、アイデアが浮かばす、どのような遊びを準備すればよいのかと迷うこともあるかもしれません。
この記事では3歳児・4歳児・5歳児向けの集団遊びの年齢別のねらいやアイデアをご紹介!子どもたちと活動を楽しんでみてくださいね。
【3歳児クラス向け】室内でできる集団遊び
3歳児クラスが室内で楽しむ集団遊びを紹介します。
ねらい
3歳児クラスは、少しずつ言葉が増えて子ども同士で会話したり、身体を使って遊ぶことが増えたりと、行動範囲が広がる時期でしょう。
集団生活の中で、少しずつ他者の存在を意識することも多くなるようです。
3歳児クラスの集団遊びを行うねらいは以下の通りです。
- 活動を通して子どもたちが触れ合う楽しさを知る
- 簡単なルールを覚える
- ルールを守る大切さを少しずつ知る
活動では集団遊びを楽しめるように、簡単なルールの室内遊びを選ぶことがポイントになるでしょう。子どもたちが集中して遊ぶことができるように、ゲームのルールをアレンジして工夫するとよいですね。
ゲーム遊び
宝探しゲーム
【遊び方】
- 保育士さんが宝を用意し、子どもたちに宝を見せます。
- 子どもたちに目をつぶってもらい、30秒数えている間にクラスやホールのさまざまな場所に宝を隠します。
- 「宝を見つけてね!」と声をかけ、子どもたちが宝を探して見つけたら保育士さんの所に持ってきてもらいます。
<ポイント>
宝は金色や銀色などの折り紙を使って、メダル製作すると見つけやすいでしょう。季節ごとに宝を変えてみるのもよいですね。春には「桜」夏は「魚」秋は「栗」冬は「雪だるま」など季節ごとのモチーフを作成し、宝に見立てると季節の移り変わりも楽しめますね。
まねっこ遊び
【遊び方】
- 保育士さんが中心に立ち、みんなで輪になって立ちます。
- 「先生のまねっこをしてポーズをとってみてね!先生が1・2・3と数えるからその間はそのポーズのまま動かないでね。」と声をかけ、子どもたちが同じポーズをとり、楽しみます。
- ぞうやさる、ゴリラなどさまざまなポーズをとります。最後には「みんなで丸くなろう!」と声をかけて、手をつないでぐるぐる回って「おしまい!」と声をかけます。
<ポイント>
みんなで同じポーズをとっていても少しずつ動作や形が違っていたりするでしょう。子ども同士でそれぞれのポーズを見合うと、思わず笑ってしまいそうですね。
色探しゲーム
【遊び方】
- 色のついた6色のカードを用意します。
- 保育士さんが選んだカードを子どもたちに見せて「よーい、スタート!」の合図で同じ色のものを探してもらいます。
- 制限時間(20秒)内に指定した色と同じ色を集めた子の勝ちです。
<ポイント>
子どもに見せるカードは大きめのものを用意しておくとよいでしょう。アレンジしてマークつきのカードを用意すると盛り上がるかもしれませんね。
風船爆弾ゲーム
【遊び方】
- 丸く円になって音楽にあわせて爆弾に見立てた風船を回します。
- 音楽が止まったときに爆弾を持っていた人の負けです。
<ポイント>
風船が割れてしまわないように優しく持って回すことを伝えましょう。音楽は季節にあわせた曲を用意すると盛り上がりそうですね。
身体を使った運動
カードをめくって!
【遊び方】
- 保育士さんが、表が赤、裏が白のカードを数十枚用意し、色が均等になるように床に並べます。
- 子どもたちを赤と白の2つのチーム分けてスタートラインに立ちます。
- 「よーいドン!」の合図に、自分のチームの色のカードが表になるように、カードをひっくり返していきます。
- 「ストップ。」の合図と同時にスタートラインの場所まで戻り、みんな座ります。
- 保育士さんがカードの数を数えてそれぞれの枚数を発表し、多くひっくり返した色のチームが勝ちです。
<ポイント>
チーム戦で協調性を育むゲームです。カードの種類を変えても楽しめる遊びです。赤鬼と青鬼、犬と猫など組み合わせを考えて作成しておくとよさそうです。子どもたちに製作を任せてもよいですね。
ふわふわ風船を運ぼうね!
【遊び方】
- 保育士さんは風船とバスタオルを用意します。
- 子どもたちは2人1組になってバスタオルのうえに風船をのせたものを持ちます。
- スタートラインに立ち、「よーいドン!」の合図ともに歩きながら、風船が落ちないようにゴールまで進みます。
<ポイント>
友だちと協力しながら遊ぶゲームです。保育士さんは「落ちないようにそっと歩こうね」と声をかけ、風船が落ちてしまった場合はタオルに再度のせるなどサポートしましょう。ルールも簡単なので3歳児のクラスにピッタリのゲームですね。
縄跳びニョロニョロゲーム
【遊び方】
- 保育士さんが縄跳びの両端を持って立ち、ニョロニョロと動かします。
- 子どもたちが縄跳びの上を飛びます。引っかかった人の負けです。
<ポイント>
大縄を用意して人数を調整しながら楽しんでみてくださいね。縄跳びをタオルやハンカチに見立てて作るといつもと違った動きを楽しみながら遊べそうです。
仲間の色集めゲーム
【遊び方】
- 5色のカラフルなボールを用意して、子どもたちを3グループに分けます。
- 保育士さんが選んだボールを子どもたちに見せて「よーい、スタート!」の合図で同じボールを見つけてかごに入れてもらいます。
- たくさんボールを集めたグループが勝ちです。
<ポイント>
数が少なめのキラキラボールを用意しておくと盛り上がりそうです。ボールがない場合は色を塗ったペットボトルキャップを代わりに使用してもよいですね。
【4歳児クラス向け】室内でできる集団遊び
4歳児向けの室内でできる集団遊びを紹介します。
ねらい
4歳児クラスは少しずつ基本的な生活習慣が身につき、徐々に身の回りのことができるようになる時期かもしれません。子ども同士がお互いの気持ちを伝えることも増え、ときには意見を言い合うこともあるでしょう。
4歳児クラスの集団遊びを行うねらいは以下の通りです。
- 友だちと協力して遊ぶことの楽しさを知る
- ルールに沿って遊ぶ楽しさを学ぶ
- 遊びの中で互いの想いをやりとりする
保育園で子どもたちが自分自身の想いを友だちに伝える機会を持つことは大切ですよね。保育士さんは集団遊びを通して、子どもたちの創造力や表現力、社会性が育まれるようにサポートしていきましょう。
ゲーム遊び
震源地ゲーム
【遊び方】
- 鬼チーム(2人~3人)と鬼がわからないように震源地役を1人決めます。
- 鬼が真ん中に立ち、その他の子どもが輪になって鬼を囲みます。
- 保育士さんが30秒数える間、「震源地役」の子は鬼チームにわからないように、ジャンプしたり、動物のまねをしたりと、ポーズを変え、他の子は震源地役の子のまねをします。
- 保育士さんが「ストップ!」といい、1分間の話し合いの時間を設けて、鬼チームは震源地役の子どもを決めます。
- 鬼チームが「震源地役」の子の名前を伝え、正解したら鬼を交代します。
- 2~5を何度か繰り返して、ゲーム終了です。
<ポイント>
このゲームは鬼1人、震源地役1人を決めるものですが、あえてチームを作ることで、子どもたち同士で話し合い、お互いの意見を聞く大切さを学ぶことができるでしょう。
新聞紙バランスゲーム
【遊び方】
- チームごとに子ども1人につき、1枚の新聞紙を広げて立ちます。
- 保育士さんがクイズを出題し、不正解となった子どもからどんどん新聞紙を折りたたんでいきます。
- 子どもは新聞紙から足がはみ出ないように気をつけますが、はみ出した場合は負けになるので、チームで残っている子どもを応援します。
- 最後に残っている子どもがいるチームが勝ちとなり、ゲーム終了です。
<ポイント>
保育士さんが用意するクイズは少しずつ難しくしていくとよいかもしれません。例えば、『赤いものは「りんご」、それとも「みかん」?』などの出題から始めて、最後は『幼稚園ができた日にちは「12月1日」それとも「2月3日」?』などみんながあまり知らない内容にすると、盛り上がりそうですね。ゲーム中にグルーごとに残った子どもを応援する時間を設けて、園児たちの団結力が育まれるように、工夫するとよいでしょう。
ボール運び
【遊び方】
- 子どもたちに一列に並んで座ってもらいます。
- お盆の上にボールをのせて優しく後ろに回してもらいます。
- 制限時間内に最後の子まで回せたら勝ちです。
<ポイント>
ボールを風船やペットボトルに変えると難易度が上がって楽しめそうです。子どもたちにアイデアを出してもらうのもよいですね。
何回鳴った?数あてっこ
【遊び方】
- 保育士さんが鈴やタンバリンを用意して決めた数の分だけ楽器を鳴らします。
- 鳴った数のボールをかごの中に入れます。
- 答え合わせをして正解だった子の勝ちです。
<ポイント>
あらかじめ、ボールや風船を用意しておくとよいですね。グループごとに分けて集中力を高められるとよいですね。
身体を使った遊び
チーム戦で勝負!氷鬼
【遊び方】
- ジャンケンなどで鬼を決めて、鬼チームと逃げる子チームに分かれます。
- 鬼チームが10秒数えて、逃げる子チームを追いかけて身体にタッチします。
- 鬼チームが逃げる子チームをタッチすると氷になり、タッチしたときのポーズのまま氷のように、固まって動けなくなります。
- 仲間が氷になった子にタッチすると、氷が溶けて逃げることができます。
- 鬼チームは逃げる子全員をタッチして氷にすれば、ゲーム終了です。
氷鬼をアレンジして、チーム戦を楽しみましょう。
<ポイント>
ゲームを始める前に各チームで作戦会議を立てる時間を設けると、お互いの意見を聞くことができる機会になりそうですね。
しっぽ取りゲームで勝つのはどっち?
【遊び方】
- 鬼チームと逃げる子チームに分かれます。しっぽとなるタオルやハンカチを用意して、園児それぞれの身体とズボンの間にしっぽをはさみます。
- スタートの合図で、鬼チームにしっぽを取られないように逃げます。
- しっぽを取られてしまった子は範囲の外に順番に並びます。
- ゲームの途中で「10秒間」の復活タイムを設けます。保育士さんが10秒数えている間に、鬼からしっぽを取られなかった場合、逃げるこのチームの1人が復活できます。(先に取られた子が順番に復活する)
- 鬼チームが全てしっぽを集め終わる、または3~5を何度か繰り返してゲーム終了です。
<ポイント>
しっぽ取りゲームをアレンジしてチーム戦で行い、「復活の時間」を設けて盛り上げましょう。子どもたちそれぞれがPEテープや新聞紙などを丸めて、オリジナルのしっぽを作ると、さらにゲームを楽しめそうですね。
サーキット遊び~椅子に座ったのは誰?~
【遊び方】
- 平均台や積み木、トンネル、椅子を組み合わせてサーキットを作ります。
- 音楽を流して止まったときに椅子に座っていた人が負けです。
<ポイント>
サーキットを楽しみながらドキドキ感を味わえます。グループごとにスタートして楽しめるとよいですね。
数あてジャンピングゲーム
【遊び方】
- 子どもたちの代表者一人がカードをめくります。
- カードに書いてある数の分、ジャンプします。
- 子どもたちでジャンプの数を当てっこします。
<ポイント>
両足ジャンプ、片足ジャンプなど遊び方を工夫すると盛り上がりそうです。数を覚える練習にもなりそうですね。
【5歳児クラス向け】室内でできる集団遊び
5歳児向けの室内でできる集団遊びを紹介します。
ねらい
5歳児クラスの集団遊びを行うねらいは以下の通りです。
- 自主的に行動し、友だちと協力して遊ぶ大切さを知る
- 子ども同士でルールを確認する
- 互いの意見を言い合い、子ども同士で解決する
5歳児クラスは、小学校への入学するための準備に取り組む1年間となります。子どもたちがさまざまな問題に直面しても、お互いに意見を出し合いながら解決する力を育むことが必要になるでしょう。
子ども同士で集団遊びを楽しめるように、保育士さんは「見守る」姿勢を大切にして、成長を支えられるとよいですね。
ゲーム遊び
協力しよう!言葉探しゲーム
【遊び方】
- 事前に保育士さんは、ひらがなの50音を1つずつ書いた画用紙を用意します。
- 保育室に(1)の画用紙をランダムに広げます。
- チームごとにお題に沿って言葉を作る時間を競います。
- 保育士がお題を出し、子どもたちはお題に沿った言葉を作るために、協力して画用紙を探します。
- 指定された場所に子どもたちでお題の文字通りに画用紙を並べて終了です。
<ポイント>
このゲームを通して、子どもたちは互いに協力して言葉を作り上げることの楽しさを学ぶことができるでしょう。小学校に入学後、ひらがなの学習がはじまるため、文字に興味や関心を持つよい機会にもなりそうですね。
ジェスチャーリレー
- チーム内で順番を決め、その順に並びます。スタート地点とゴール地点の間隔を開けて、子ども1人ひとりの位置を決めましょう。
- 保育士さんがお題を伝え、「ジェスチャーで表現したら、リレー形式で次の子に伝えていきます。
- 保育士さんの「よーいドン!」の合図で、1番目の子どもが保育士さんのそばに行き、他の子に聞こえないようにお題を聞きましょう。
- ジェスチャーを繰り返し、ゴール地点にいる最後の子どもが順番に保育士さんの耳元に答回答を言いにいきます。
- 保育士さんが「正解したチームは○○でした!」と伝え、ゲーム終了です。
<ポイント>
道具のいらないジェスチャーゲームは簡単に保育活動に取り入れることができるでしょう。ジェスチャーゲームをチーム戦で行うと、友だちと協力してゲームを楽しめそうですね。
カード色混ぜ遊び
【遊び方】
- 8色のカードを用意してその中の2色を子どもたちに見せます。子どもたちに色を混ぜるとどんな色になるかグループで話し合ってもらいます。
- 正解を伝え、色が当たったチームの勝ちです。
<ポイント>
色彩感覚を楽しめるゲームです。グループで意見を出し合うゲームなので子ども同士で話し合う楽しさを知ることができそうです。
伝言ゲーム
【遊び方】
- 2チームに分かれて一列に並びます。
- お題を先頭の子どもに伝えて「よーいドン!」の合図で後ろに伝えていきます。
- 最後まで伝言を伝えて発表し、正解したチームの勝ちです。
<ポイント>
チーム戦で伝言ゲームを楽しみましょう。子どもたちにお題を決めてもらうとさらに盛り上がりそうです。
身体を使った遊び
ころころドッジボール
【遊び方】
- 子どもを3つのチーム分けをします。保育士さんは子どもたちが動ける範囲3つの園を作りましょう。
- それぞれのチームが園の中に入り、先生の合図でスタートし、ボールを転がして身体に当てます。
- ラインからはみださないように逃げたり、相手に向かってボールを転がしたりして、ボールに当たってしまった子どもは園の外に出ます。
- 最後まで子どもが残っていたチームが勝ちとなります。
<ポイント>
コロコロドッチボールは床のうえにボールを転がしながら行うことがポイントです。チーム分けの際に子どもたちでチーム名を決めてもらうといっそう盛り上がりそうですね。
友だちの動きを見て協力して逃げるため、協調性を育むことにもつながるでしょう。
縄跳びリンボー
【遊び方】
- グループ分けを行い、その中の子ども2人が縄跳びの両端を持って立ちます。
- 縄跳びの高さを調整して、グループごとに縄跳びの下をくぐってどんどん低くしていきます。
- 縄跳びに触った人はゲーム終了となり、他の残った子どもを応援します。
- 最後まで残った子どもが多いチームの勝ちとなります。
<ポイント>
普段縄跳び使った遊びを楽しんでいる園は多いことでしょう。チームで協力して、ドキドキしながら縄跳びをくぐり抜けましょう。ときにはずっとある程度の高さを維持して、チームの子が通りやすいようにする子もいるかもしれません。保育士さんが審判となり、様子を見ながら縄跳びの高さ調整を行えるとよいですね。
ピンポン玉紙コップリレー
【遊び方】
- 子どもたちを2チームに分けて紙コップを渡します。
- 間隔をあけて一列に並び、「よーいドン!」の合図でピンポン玉を紙コップに入れて渡していきます。
- 最後の子までピンポン玉を渡し終えたチームの勝ちです。
<ポイント>
あらかじめ紙コップに子どもたちが好きな絵を書いて見せ合ってからゲームを進めても楽しめますね。
線おに
【遊び方】
- 床にビニールテープを格子状に貼っておき、子どもたちの中から鬼を決めます。
- 鬼と鬼以外の子どもは少し離れた場所に立ち、「よーいドン!」の合図とともに鬼ごっこスタートです。
- 線の上を走り、線から出たり鬼にタッチされたりしたらアウトです。
<ポイント>
線をよけて鬼ごっこを楽しんでもよいでしょう。子どもたちにルールを決めてもらったりアレンジしたりしてみるとよいですね。
保育園で年齢に合わせて集団遊びを取り入れ、協調性や社会性を育もう
子どもたちは保育園での集団遊びを通して友だちと協力して遊ぶ楽しさを学ぶことができるでしょう。
「氷鬼」「しっぽ取りゲーム」など一つの遊びに取り組む際は、年齢ごとにルールの内容を変更したり、アレンジしたりして工夫できるとよいですね。
子どもたちの園生活が豊かなものとなるよう、さまざまな集団遊びを取り入れていきましょう。