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異年齢保育とは。ねらいやメリット・デメリット、指導案や遊び例!

異年齢保育とは。ねらいやメリット・デメリット、指導案や遊び例! MIA Studio/Shutterstock.com
乳幼児期にさまざまな年齢の子どもたちが交流を楽しむ「異年齢保育」。お互いを尊重する心や豊かな感性を育むうえで重要な保育方法のひとつでしょう。異年齢保育のねらいやメリット・デメリット、注意点を詳しく紹介します。簡単なゲームや製作アイデア、保育者の援助方法などを記載した指導案例もまとめました。

目次

    異年齢保育とは

    異年齢保育とは、乳幼児期(0歳~5歳児)のさまざまな年齢の子どもたちを集めて遊びや生活の場をともにすることを意味します。別名「縦割り保育」「混合保育」と呼ばれています。

    保育園では同年齢でクラスを形成することが多いものですが、異年齢保育は年齢が違う子どもたちが集い、交流を深めながら保育活動を進めていきます。

    また、形式は各保育所によって異なり、施設全体でクラス分けを設けずに異年齢保育を行う園もあれば、低年齢クラス(0歳児〜2歳児)、高年齢クラス(3歳児〜5歳児)と二つに分けて活動する園もあるようです。

    月に一度、定期的に異年齢保育を取り入れたイベントを開催する園もあり、幅広い形で取り入れられています。

     

    異年齢保育に取り組むねらい

    異年齢保育を取り入れるねらいは以下の通りです。

    協調性や社会性が身につく

    子どもたちが社会に出れば、異年齢の他者と接する機会は多くなります。幼児期からさまざまな年齢の子と関わる場を設けることで、協調性や社会性といった必要な能力を養うことができるでしょう。

    年下の子が年上の子から遊びのルールを学んだり、年上の子に年下の子が言葉を教えたりと、刺激し合いながら成長すれば、他者への思いやりの心を育むきっかけにもなりそうです。

    生きる力を養う

    少子化の中、近所の子ども同士で遊ぶケースも少なくなりました。保育園や幼稚園が初めての集団生活の場となり、さまざまな能力を育む大切な場となることが考えられます。

    異年齢保育を通して人との接し方やコミュニケーションの図り方を学び、年下の子が年上の子の挑戦する姿を見れば、チャレンジ精神が育つことにもつながるでしょう。

    また、言葉の理解が難しい年下の子に対して、年上の子は考えを巡らせながら相手に気持ちを伝えようとすることもあるかもしれません。

    このように異年齢保育はさまざまな場面で多くの能力が育まれ、統合して生きる力を培うことも目的のひとつでしょう。

    異年齢児保育のメリット・デメリット

    小学校は同年齢の子どもたちを学年ごとに分けて授業を行いますが、幼児期に異年齢保育を取り入れることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

    詳しく紹介します。

    メリット

    異年齢保育の大きなメリットは「他者を尊重する心を養うことができる」という点でしょう。

    異年齢の子が集まることから、「年下の子がわかるようにルールを簡単にして鬼ごっこしよう」「年上の子は歌が上手だから私もそうなりたい」などお互いの言動や行動が刺激になることが考えられます。

    そのため、他者を敬い、思いやりの気持ちを持って接することの大切さを学ぶ場となるでしょう。

    デメリット

    異年齢保育を取り入れる保育園では、子どもたちの交流を深めるために適切な活動内容を用意する必要があります。

    先生がさまざまな活動を準備することが考えられますが、成長段階に伴った内容を用意できなければ、活動に難しさを感じ、子どもたちが消極的になる可能性がありそうです。先生は異年齢保育をよく理解したうえで、遊びを選定することが求められるでしょう。

    中には活動が上手く進まず、負担を感じる先生もいるかもしれません。ただ、教育者・保育者として成長するために、学び多い現場となることも考えられます。

    職員のスキル向上のため、園では積極的に異年齢保育に特化した研修制度などを設ける必要がありそうです。

    異年齢保育を行う際の注意点

    ここで異年齢保育を行う際の注意点を紹介します。

    安全性を確保する

    さまざまな年齢の子どもたちが集まり、遊びが展開されることから安全性を確保することが大切になります。低年齢の子の中には、まだ指先の力が弱かったり、歩行が安定していなかったりする場合もあるでしょう。

    子どもたちに約束事や生活上のルールなどを定期的に伝え、安全に活動する意識を持てるよう、指導することが重要になります。

    適切な活動を選定する

    異年齢保育は成長段階に違いのある子が集まるため、活動内容をきちんと選定する必要があります。

    ただ、低年齢の子が理解できるものばかりを選んでも、年齢を重ねるにつれてその遊びに飽きてしまう子もいるでしょう。

    先生は子どもたちの参加する姿を想像して、充実した活動となるように計画することが大切になります。

    声かけの仕方を工夫する

    先生は異年齢保育の中で年上の子に頼る場面も多いでしょう。年齢が上がれば、できることもどんどん増えていきます。年下の子のお世話を積極的に行う園児もいるかもしれません。

    ただ、過度な負担がかかれば、「○○ちゃんのお世話ばっかりしている!」と感じる子もいるようです。

    先生は子どもたちをきちんと観察して、「ありがとう!」「疲れたよね。少し休もうね」などこまめに声をかけ、配慮することも重要です。

    【ゲーム】異年齢保育に取り入れる簡単な遊び

    異年齢保育の概要がわかったところで、簡単なゲームを紹介します。

    宝探し

    子どもたちに大人気の宝探しゲームを楽しみましょう。

    遊び方

    1. 4人〜5人のグループに分かれます。
    2. 先生が宝を用意し、子どもたちに見せます。
    3. 子どもたちは目をつぶり、30秒数えている間にさまざまな場所に隠します。
    4. 宝を見つけるよう声をかけ、宝を集めて見つけたら先生の所に持っていきます。

    異年齢交流のポイント

    宝はカプセルに鈴を入れるなど、低年齢の子が遊べるおもちゃなどにすると見つけた後も、遊ぶことができるでしょう。また、高い場所や低い場所など宝を隠す箇所を工夫すれば、「身長が高い○○ちゃんが取って」「狭い場所にあるから○○くんなら通れそうだね。」とお互い考えながら遊び、思考力を育むことにもつながりそうです。

    リズム遊び

    音楽にあわせてリズム遊びを楽しみましょう

    遊び方

    1. 先生が子どもたちの真ん中に円になって座ります。
    2. ぞう、ねこ、さる、ライオンとそれぞれの音を伝え、「このメロディが流れたら○○に変身!」と話します。
    3. 子どもたちは立ち上がって広がり、ピアノのメロディにあわせて動物になりきって変身します。
    4. (2)を繰り返して、リズム遊びを楽しみます。

    異年齢交流のポイント

    年下の子の中にはリズムが聞き取れず、どのように動いたらよいかわからない子もいるかもしれません。年上の子が率先して変身している姿を見れば、真似することができるでしょう。

    あらかじめビニールテープで行動範囲を設定しておけば、安全性を確保することができそうです。

    【製作】異年齢保育に取り入れる簡単な遊び

    異年齢保育に適した簡単な製作遊びを紹介します。

    季節のモチーフを作ろう!ちぎり絵遊び

    用意するもの

    • 大きな画用紙 1枚
    • 折り紙 多色数枚
    • クレヨン
    • のり

    作り方

    1. 4人〜5人のグループに分かれます。
    2. グループごとに画用紙と折り紙を配ります。
    3. それぞれ大きな画用紙に季節にあわせた好きな絵の枠をかき、折り紙をちぎって貼って完成です。

    例:【春】桜 いちご【夏】すいか うちわ 【秋】どんぐり まつぼっくり【冬】雪だるま クリスマスツリー など

    異年齢交流のポイント

    自由な題材の中でちぎり絵を楽しむことでそれぞれの発想力や創造力が養われるでしょう。年上の子が上手な絵をかいているのを見れば、年下の子も「私もあんな風にかいてみたいな」などといった憧れの気持ちから、製作への意欲を高めることにもつながりそうですね。

    ビー玉を転がしてアート作品のできあがり!

    ビー玉を使って絵をかきましょう。

    用意するもの

    • ティッシュの空き箱
    • 画用紙 
    • 絵の具 
    • ビー玉 

    作り方

    1. 異年齢児でペアを作ります。
    2. ティッシュの空き箱に画用紙を入れます。
    3. ビー玉に絵具をつけてティッシュの箱の中で転がします。
    4. ティッシュの箱から画用紙を取り出して完成です。

    異年齢交流のポイント

    ビー玉を使ってさまざまな模様が仕上がることから、低年齢児から高年齢児まで楽しめる遊びです。

    2人一組で道具を貸し借りしながら、オリジナルティー溢れる作品を作りましょう。「ビー玉がまっすぐ転がった!」「きれいな模様ができた!」とペアでやり取りをして、作品を見せ合うとよいですね。

    異年齢保育の指導案例【しっぽ取りゲーム】

    最後にしっぽ取りゲームを題材にした指導案の記載例をお伝えします。

    指導案に記載する項目は

    「ねらい」「環境構成」「予想される子どもの姿」「保育者の援助方法」

    になります。

    子どもたちが活動する様子を想定して、事前に指導案を作成しましょう。保育者の援助方法は「異年齢保育」を意識して、声かけのポイントを記入するとよさそうです。

    しっぽ取りゲームの基本的なルールと指導案を紹介します。

    基本的なルール

    1. 鬼と逃げる子に分かれます。
    2. 逃げる子は、落ちないように服と身体の間にしっぽ(ハチマキ・タオルなど)をはさみます。
    3. 「よーいスタート!」を合図に鬼以外の子はしっぽを取られないように逃げます。
    4. しっぽを取られてしまった人は範囲の外に出て最後まで残った人の勝ちです。

    鬼ごっこのように体を思いきり動かすので、体育室やホールなど広い場所でゲームを楽しみます。しっぽをタオルに見立てる場合は、あらかじめ保護者の方にタオルを持参するよう、頼みましょう。

    指導案

    しっぽとり指導案
    しっぽとり

    異年齢交流の場面があれば、意識的に声をかけ、子どもたちがゲームを楽しめるように配慮しましょう。2回目、3回目は異年齢同士のペアに鬼を任せ、子ども同士で協力して取り組む遊びへと発展させます。繰り返し遊べば、ルールを覚えて子どもだけで楽しめそうです。

    異年齢保育を通して教育や保育の幅を広げよう

    異年齢保育は子どもたちのコミュ二ケーション能力や思考力、挑戦力などさまざまな能力を育む保育方法のひとつです。

    誕生日会などのイベントでは、共にお祝いの気持ちをこめてプレゼント製作などにも取り組めるとよいですね。

    充実した集団生活を送ることができるよう、異年齢保育における安全性の確保や声かけのポイントなどを工夫して、子どもたちの成長を見守っていきましょう。

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