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潜在保育士ってなに?潜在保育士の活用が保育士不足解消につながる理由

潜在保育士ってなに?潜在保育士の活用が保育士不足解消につながる理由 milatas/Shutterstock.com
保育士資格を保有していても、保育現場で働いていない「潜在保育士」の存在。保育業界では、潜在保育士の職場復帰を支援する輪が広がっています。なぜ、現在離職している保育士の復職が人材不足の解消に役立つのでしょうか。潜在保育士の現状や活用法などを踏まえて解説していきます。

目次

    潜在保育士ってなに?

    保育業界でよく耳にする「潜在保育士」とは、どのような意味があるのでしょうか。

    厚生労働省の潜在保育士ガイドブックによると、

    「保育士の資格を保有していても、就業をしていない人」

    と定義しています。

    潜在保育士の定義の中には、保育士として勤務経験があるものの、現在、離職している人だけでなく、資格を取得しても一度も保育士として働いていない方も該当します。

    保育士資格を持っているのにも関わらず、潜在保育士として復職をしていない方はどのくらいいるのでしょうか。

    出典:潜在保育士ガイドブック/厚生労働省

    潜在保育士の保育士の現状

    厚生労働省の「保育士等における現状」によると、2015年において潜在保育士は約76万人存在しているとしています。

    2013年には119万人が保育士登録をしているものの、実際に勤務している方は約43万人と、資格を保有していながらも、働いていない方が多いことが分かります。

    保育士不足が懸念されている中、保育士人材を育成することだけでなく、潜在保育士のように保育士資格をもっている方の復職を支援することが重要でしょう。

    そもそもなぜ保育士資格を保有しているものの、復職を希望されないのでしょうか。保育士の職場環境の視点から、潜在保育士となる理由について見ていきましょう。

    現役保育士から潜在保育士になる理由

    厚生労働省では、保育士の人材不足を考え、業務の負担についての調査を実施し、報告書を提出しています。

    厚生労働省「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究 事業報告書」もとに現役保育士が、潜在保育士になる理由について考察していきましょう。

    園の人材不足

    事業報告書の中では、保育士の業務実態に関するアンケート結果を公表しており、「人的余裕がない」ことが、保育士の業務の負担の増加を招いているとしています。

    休憩がとれずに保育活動を行わなければならない状態や、朝や夕方に保育士が不足することで子どもを見守りきれないことを挙げています。

    その結果、満足のいく保育活動ができずに、保育士を離職し、潜在保育士となってしまうことも考えられるでしょう。

    また、児童福祉法によって定められた保育士の配置基準においても、見直しが必要です。

    0歳の子どもを見る場合は、3人に対して、保育士1人。

    1歳~2歳の場合は、子ども6人に対して保育士が1人で見守らなければならないという基準が設けられています。

    人材に余裕がある場合は、1歳~2歳の子ども6人を保育士1人が見守る状況にはならないものの、人手不足の園では、そのような状況で保育を行っている実態もあるでしょう。

    1歳~2歳児は、離乳食や衣服の着脱の援助などが必要な年齢のため、1人の保育士に大きな負担がかかるでしょう。

    このような配置基準の見直しは、人材不足同様に課題の一つとなっています。

    待遇に満足していない

    子どもの命を預かる責任のある仕事でありながらも、給与や福利厚生といった待遇に満足していない保育士が多いようです。

    2018年の厚生労働省統計によると、保育士のお給料は、平均月収で23.9万円としていますが、これは公立の保育園も含まれています。

    私立の保育園や経営状態によっては、平均を下回っている園もあり、納得のいく給与がもらえずに、離職してしまう保育士もいるでしょう。

    その結果、潜在保育士となり、なかなか復職を希望しない状態に至ることが考えられるでしょう。

    過大な業務負担

    保育士は、子どもを預かる時間以外にも保育活動のための指導案を作成したり、製作物の準備をしたりとさまざまな業務があります。

    多種多様な仕事があることによって、保育士ひとりに対して過大な業務負担となり、離職してしまうケースもあるでしょう。

    出産を機に保育士を辞めた場合も、そのような業務負担があることを考えると、子育てと仕事の両立が難しく、なかなか復職を希望しないこともあるようです。

    出典:政府統計/厚生労働省

    潜在保育士を復職へと導くためには

    現役の保育士から潜在保育士となる理由について解説してきましたが、潜在保育士の中には「子どもが好きだから復職を考えたい」「もう一度、保育士として働いてみたい」と考えられている方もいるでしょう。

    そういった想いをもった離職中の保育士の後押しをするためには、どのような支援を行えばよいのでしょうか。

    支援制度や再就職に向けた研修などについて、具体的に見ていきましょう。

    潜在保育士への支援制度の充実

    保育士不足の問題を考えて、地方自治体ではさまざまな潜在保育士への支援制度を実施しています。

    福井県や茨城県などでは、保育士の再就職を助成するために「保育士就職準備金貸付制度」を設け、再就職の準備に必要な費用に対して、無利子の貸し付けを行っています。

    その他にも、厚生労働省では保育士宿舎借り上げ支援事業を行い、保育園が新規雇用した保育士のために、取得した借り上げ物件に係る費用を支援する取り組みなども行っています。

    このように、国や自治体などで潜在保育士が復職しやすいように、さまざまな制度を設け、支援の輪が広がっています。

    出典:保育関係予算の概要【2019(令和元)年度補正予算案・2020(令和2)年度予算案】/厚生労働省

    2024年IT導入補助金 7次追加公募受付開始

    7次締切分:2024年10月8日 (火) → 交付決定日:2024年11月22日(金) 予定

    追加公募対象枠:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠

    ※確定している募集回のスケジュールになります。以降のスケジュールは随時更新いたします。
    ※一般的に公募が遅くなるにつれて、通過(採択)率が下がるとされているため、お早めの申請をおすすめしております。
    ※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。

    補助金に関するお問合せ

    再就職前の実技研修の強化

    潜在保育士が再就職する場合に、長いブランクを経て復帰することに対して不安を感じる場合もあるかもしれません。

    そういった潜在保育士のために、多くの地方自治体では、再就職前の実技研修を実施しています。子どもを預かるうえで、必要な講義や実習を行い、保育士として復職できるように、支援の充実を目指しています。

    保育士の派遣企業などの支援

    潜在保育士が復職する場合に、ハローワークや情報誌を活用することが多いかもしれません。

    近年では、保育士を派遣する企業によって、潜在保育士と園の仲介を行い、紹介するケースがあります。

    復職を考えている保育士の中には、地域の園の状況や待遇などがわからずに悩んでいる方もいるでしょう。

    派遣会社を利用することで再就職の相談が気軽にでき、そういった不安を解消することにつながるかもしれません。

    職場の環境改善

    潜在保育士の復職を導くためには、職場の環境改善もまた大切な要因となっています。

    実際に、保育士の仕事を離職した理由としては、人材不足や過大な業務負担が挙げられています。

    潜在保育士の復職を支えるためにも、各園の職場環境の改善が重要です。職場の環境改善といってもさまざまな視点から考えていかなければなりませんが、具体的にはどのように整備していけばよいのでしょうか。

    潜在保育士を活用するために必要な「職場の環境改善」

    潜在保育士を活用するためにも、現在の「職場環境の改善」は重要といえるでしょう。

    人材の定着化、電子媒体の導入拡大、待遇面の改善などからどのように職場環境を改善していくべきかを考えてみましょう。

    人材の定着化

    保育士不足が懸念される中、各園の人材不足は深刻な問題となっています。問題を解消するためにも、具体的な施策が必要です。

    人材不足により、満足のいく保育活動ができないことで離職してしまうケースもあるので、現在働いている保育士が働きやすい環境を整備することが大切です。

    例えば、短時間勤務や週1.2日勤務など多様な勤務形態を用意することにより、補助の保育士の増加にも役立ち、人材の定着化につながるでしょう。

    また、さまざまな行事の簡略化を図ることも必要かもしれません。

    簡略化によって、行事に向けての準備をする時間が減り、現役の保育士の負担の軽減となります。

    このように、さまざま視点から園内の勤務形態や業務内容をもう一度見直すことは、人材の定着につながり、潜在保育士の活用に役立つでしょう。

    保育現場における電子媒体の導入拡大

    業務内容の見直しをするうえで、電子媒体であるICTの導入について、厚生労働省「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究 事業報告書」においてもその必要性を提言しています。

    ICTを導入することのメリットは、

    • 労務管理・登降園管理などの簡略化
    • 園児情報の一括管理
    • 複数施設の横断管理

    など、保育士が行っている事務作業の効率化に役立つかもしれません。

    ICT導入によって給与計算にも役立つため、事務員の作業を簡略化され、クラス運営のサポートなどにまわることができるので、保育士の負担の軽減につながるでしょう。

    待遇の改善

    保育士を確保するために厚生労働省では、全体の保育士の給与を2019年度よりも約1%改善することや、技能や経験に応じて、千円から4万円の給与改善なども実施しています。

    その他に現役保育士に向けた各園の待遇改善の取り組みも大切です。

    キャリアアップをすることによって給与形態がどのように変わるのか、説明や表記を明確化することで、保育士が継続して働きたいという意欲を高めることにつながるでしょう。

    このような職場環境の改善を徐々に行い、整備することは、潜在保育士を活用するためには重要なことでしょう。

    出典:保育士確保/厚生労働省

    保育士不足解消に潜在保育士の活用は大切

    保育士不足の解消を実現させるためにも、潜在保育士をどのように復職に導き、活用していくのかは保育業界において大きな課題の一つとなっています。

    また、潜在保育士が復職後に職場に定着できるよう、働きやすい環境を整備することも重要です。

    保育士一人ひとりの業務負担の改善やICTシステムを導入し、業務の効率化を図るなどして継続的に働けるように支援していきましょう。

    保育業界全体で、潜在保育士の職場復帰を後押しできるような取り組みを考え、職場環境の改善などに目を向けていきましょう。

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