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【保育士・幼稚園教諭の処遇改善制度】待遇面や給与面で保育士の処遇はどう変わる?

【保育士・幼稚園教諭の処遇改善制度】待遇面や給与面で保育士の処遇はどう変わる?
保育士の処遇改善制度について知りたい方も多いのではないでしょうか。ここ数年、保育士の待遇面や給料面の処遇を改善をするなど、保育士不足の解消に向けた動きが進められています。保育士の処遇改善制度の内容や、処遇改善によってどのように変わるのか、政府の資料をもとにくわしく解説していきます。

目次

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    保育士の処遇改善が進んでいる

    近年、保育士の処遇は、年々改善傾向にあります。

    厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と 処遇改善について」の資料では、

    平成24年度から平成29年度の処遇改善の推移が、約10%(最大4万円)もアップするとされています。

    保育士等の処遇改善の推移

    出典:保育士のキャリアアップの仕組みの構築と 処遇改善について(p9)/厚生労働省から抜粋

    上記の表を見てみると、平成24年から平成25年度まで約3%近く上昇し、平成26年以降も年々、処遇改善の推移がアップしています。

    これは、保育士不足を解消するために、政府によるさまざまな処遇改善が行われたことが背景にあるようです。

    さまざまな処遇改善制度の中に、処遇改善等加算という制度があります。

    内閣府「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善について」の資料では、この制度を受けるためにはまず、都道府県の認定を受ける必要があるとされています。

    都道府県からの認定を受けたあと、市町村から支払われる施設型給付(私立保育所の場合は委託費)、

    地域型保育給付に加算されることとなります。

    都道府県の認定を受ける際、施設の所在地の市町村が、所定の申請書をとりまとめて都道府県に提出することになるので、

    手続きについては、所在する施設の市町村に確認するようにしましょう。

    さらに、内閣府「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱに関する 参考資料集」の資料によると、

    処遇改善等加算には、「処遇改善等加算Ⅰ」と「処遇改善等加算Ⅱ」の2つの種類があり、それぞれ要件等は異なっているようです。

    処遇改善等加算の支給金額や支給条件とはどのようなものなのでしょうか。

    政府の資料をもとに、くわしく見ていきましょう。

    処遇改善制度で給与面はどう変わる?

    保育士の給料を上げることを目的につくられた処遇改善等加算。

    この制度によって、保育士の給与はどのように変わるのでしょうか。

    処遇改善等加算ⅠとⅡでそれぞれわけて、くわしく解説していきます。

    処遇改善等加算Ⅰ

    内閣府「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱに関する 参考資料集」の資料によると、

    処遇改善等加算Ⅰは、基礎分・賃金改善要件分・キャリアパス要件分の3つの要素で成り立っています。

    この制度は、非常勤職員を含むすべての職員が対象となります。

    処遇改善等加算Ⅰの説明図

    出典:平成 30 年度 子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料(p10)/内閣府から抜粋

    処遇改善等加算Ⅰには以下のような要件があります。

    ➀基礎分
    職員1人当たり平均経験年数に応じて加算率を設定(2~12%)。

    ※①の加算額については、適切に昇給等に充てること。当該施設内のみ充当可。

    ➁賃金改善要件分
    賃金改善計画・実績報告が必要。「基準年度の賃金水準を適用した場合の賃金総額」及び「人件費の改定状況を踏まえた部分」に対し、賃金改善を行うことが要件(5%、平均勤続年数11年以上の施設は6%)。
    ※ ②の加算額については、確実に職員の賃金改善に充てること。法人内の他の施設への充当も可。

    ➂キャリアパス要件分(②の内数)
    役職や職務内容等に応じた勤務条件・賃金体系の設定、資質向上の具体的な計画策定及び計画に沿った研修の実施又は研修機会の確保、職員への周知等が要件(満たさない場合、②から2%減)。

    出典:平成 30 年度 子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料(p10)/内閣府

    処遇改善等加算Ⅰは、職員の平均経験年数に応じて給料が加算されていく仕組みになっています。

    10年以上の平均経験年数で、最大18%の賃金が上乗せされることもあります。

    基礎分については、平均経験年数によって変動し、給料の2~12%が上乗せされます。

    賃金改善要件分は10年までは給料の5%、11年以降は給料の6%が上乗せされます。

    例えば、平均経験年数が5年の場合は基礎分が7%、賃金改善要件分が5%とされており、給料の12%が上乗せされることになります。

    処遇改善等加算Ⅱ

    内閣府「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱに関する 参考資料集」の資料によると、処遇改善等加算Ⅱは以下のような仕組みとなっています。

    副主任保育士・専門リーダー(月額4万円の処遇改善)・職務分野別リーダー・若手リーダー(月額5千円の処遇改善)等を設けることにより、キャリアパスの仕組みを構築し、保育士等の処遇改善に取り組む施設・事業所に対して、キャリアアップによる処遇改善に要する費用に係る公定価格上の加算を創設する

    処遇改善等加算Ⅱは、平成29年度に導入された制度で、月額最大4万円の給料アップを目指すことができます。

    保育園ではこれまで、園長と主任という役職が一般的だったのに対し、処遇改善等加算Ⅱが導入されたことで、

    役職の数が増え、保育士がキャリアや給料を上げるチャンスが広がるきっかけとなりました。

    ただし、この処遇改善等加算Ⅱには、対象となる条件があり、以下の基準を満たすこととしています。

    <月額4万円の処遇改善の対象者>

    • 副主任保育士等の職位の発令・職務命令
    • 経験年数が概ね7年以上
    • 4分野以上の研修を修了していること

    <月額5千円の処遇改善の対象者>

    • 職務分野別リーダー等の発令・職務命令
    • 経験年数が概ね3年以上
    • 担当分野の研修を修了していること

    出典:平成 30 年度 子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料/内閣府

    このように、処遇改善等加算Ⅱには対象となる条件があります。

    この中にある経験年数は「おおむね」であり、各施設の状況に応じて決めることも可能となります。

    さらに、この基準を満たしているかつ、各施設では職務手当を含む月給により、賃金改善が行われていることも条件としています。

    処遇改善制度でキャリアパスも明確になる

    処遇改善制度について、2つの種類の制度をそれぞれ解説していきましたが、

    処遇改善等加算Ⅱについては、給与面のアップだけが改善の目的ではありません。

    内閣府「処遇改善等加算Ⅱの研修」の資料によると、処遇改善Ⅱの目的としては、新たに中堅の役職をつくり、

    職務や職責に応じた処遇改善を行うことで、保育園・幼稚園等のキャリアアップの仕組みを構築することとしています。

    処遇改善Ⅱを行うことにより、職員のキャリアパスが明確化され、専門性の向上も期待できるようになりました。

    内閣府の資料をもとに、保育士・幼稚園教諭のキャリアアップ例を紹介していきます。

    幼稚園教諭(民間)に関するキャリアアップ例

    幼稚園では、都道府県・市町村・幼稚園団体・大学等が実施する以下のような研修の受講で、キャリアアップに活用するとしています。

    (1)分野別研修(以下、分野例)

    ①教育・保育理論、②保育実践、③特別支援教育、④食育・アレルギー対応、⑤保健衛生・安全対策、
    ⑥保護者の支援・子育ての支援、⑦小学校との接続、⑧マネジメント、⑨制度や政策の動向
    (※)「保育者としての資質向上研修俯瞰図」に示された分野でも可

    (2)分野別研修以外の職責等に応じた各種研修

    • 経験年数に着目した研修(例:3年目研修、5年目研修、10年目研修)
    • 園内での役割に着目した研修(例:主任研修、リーダー教員研修)
    • 広く一般教員を対象とした研修 ・ 免許状更新講習 等

    (※) 1.の主体が実施する研修は広く認める(個別の研修ごとの認定等は不要)。
    専門家を園内に招いて実施する研修等も一定 の要件の下で認める方向。「保育士等キャリアアップ研修」を活用することも可能。

    出典:追加的な処遇改善における研修スキームのイメージ(幼稚園関係)【その①】/内閣府

    内閣府「処遇改善等加算Ⅱの研修」の資料によると、幼稚園はこれまで園長、副園長・教頭、主幹教諭のみの役職だったのに対し、

    処遇改善等加算Ⅱがつくられたことで、中核リーダー、専門リーダー、若手リーダーという役職が新たに加わりました。

    研修は、分野別研修以外にも、職責に応じてその他の研修も受けることができます。

    さらに、指導教諭、教務主任、学年主任など既存の発令を行っている場合は、新たに加わった役職の発令に代替可能となります。

    若手リーダーを目指す場合は、以下の要件を満たす必要があります。

    • 経験年数 概ね3年以上
    • 担当する職務分野(上記要件にある分野例③~⑦など)の研修を修了
    • 若手リーダーとしての発令

    若手リーダーについては、月額5千円の処遇改善になります。

    中核リーダーを目指す場合、以下のような要件が必要になります。

    • 経験年数 概ね7年以上
    • 担当する職務分野(上記要件にある分野例③~⑦など)の研修を修了
    • マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了
    • 中核リーダーとしての発令

    専門リーダーを目指す場合は、以下の要件を満たす必要があります。

    • 経験年数 概ね7年以上
    • 若手リーダーを経験
    • 4つ以上の分野の研修を修了
    • 専門リーダーとしての発令

    中核リーダーと専門リーダーについては、月額4万円の処遇改善になります。

    このように、新たに加わった役職ごとに要件が設定されており、

    その中には、都道府県・市町村・幼稚園団体・大学等が実施する研修を受ける必要があります。

    ただし、離職後、再就職を目指す場合は、一度研修を受講し、修了していれば引き続き有効となるため、再度受講する必要はありません。

    保育士等(民間)に関するキャリアアップ例

    内閣府「処遇改善等加算Ⅱの研修」の資料では、保育園等で行うキャリアアップにおいて、研修機会を充実させることが重要としています。

    この取り組みは、初任後から中堅までの職員が、園長、主任保育士のもとで、さまざまな課題への対応を行いながら、

    若手の指導等の職務にあたっている現状が背景としてあり、研修機会を行うことで、職務内容に応じた専門性の向上を図ることが目的となっています。

    さらに、このような背景を踏まえて、都道府県または都道府県知事が指定した機関が実施する以下の研修を習得し、キャリアアップができる仕組みを構築するとしています。

    〈研修分野〉

    • 乳児保育
    • 幼児教育
    • 障害児保育
    • 食育・アレルギー
    • 保健衛生・安全対策
    • 保護者支援・子育て支援
    • 保育実践
    • マネジメント

    内閣府「処遇改善等加算Ⅱの研修」の資料によると、保育園はこれまで園長、主任保育士のみの役職だったのに対し、

    処遇改善等加算Ⅱが導入されたことで、副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーという新たな役職が加わりました。

    さらに、職務分野別リーダーを目指す場合、以下の要件を満たす必要があります。

    • 経験年数 概ね3年以上
    • 担当する職務分野(上記要件にある分野例①~⑥)の研修を修了
    • 修了した研修分野に係る職務分野別リーダー※としての発令
      ※乳児保育リーダー、食育・アレルギーリーダー 等
      ※同一分野について複数の職員に発令することも可能

    職務分野別リーダーの場合、月額5千円の処遇改善となります。

    副主任保育士を目指す場合は、以下の要件を満たしている必要があります。

    • 経験年数 概ね7年以上
    • 職務分野別リーダーを経験
    • マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了
    • 副主任保育士としての発令

    専門リーダーを目指す場合は、以下のような要件が対象となります。

    • 経験年数概ね7年以上
    • 経験年数概ね7年以上
    • 職務分野別リーダーを経験
    • 4つ以上の分野の研修を修了
    • 専門リーダーとしての発令

    副主任保育士と専門リーダーについては、月額4万円の処遇改善になります。

    このように、保育園や幼稚園でのキャリアアップでは、自分の経験年数で、目指せる役職が異なっていたり、要件等も異なるようです。

    処遇改善等加算Ⅱをしっかり理解し、キャリアパスの明確化や専門性の向上につなげていきましょう。

    保育士・幼稚園教諭の処遇改善における課題と対策

    さまざまな処遇改善制度によって、保育士・幼稚園教諭の給与面・待遇面などの処遇改善が進んでいますが、

    一方で、まだまだ課題も残されているようです。

    内閣府「1.処遇改善等加算Ⅱの取得促進について」の資料によると、処遇改善制度

    推進における現状には、

    • 処遇改善等加算にかかわる処遇改善確認の徹底
    • 処遇改善等加算の実施における、設置者・事業者への支援強化

    という、2つの課題が挙げられているようです。

    それぞれの課題について、政府の資料をもとに解説していきます。

    処遇改善等加算にかかわる処遇改善確認の徹底

    処遇改善等加算によって、職員の給与面等の改善が進められている一方で、賃金の偏りが発生していることが課題とされています。

    各自治体では、処遇改善等加算Ⅰ、遇改善等加算Ⅱの制度において、賃金改善確認の徹底を図る対策として、

    • 実地指導の実施
    • 実績報告など個人の賃金改善額がわかる資料や給与明細など突き合わせで賃金改善の状況を正しい把握
    • 職員がキャリアパスの要件を満たしているかの確認

    など、賃金改善確認おける対策を行い、賃金の偏りをなくし、各施設や事業者において、

    適切な運営が行われるように確認の徹底や指導が進められていくようです。

    処遇改善等加算の実施における、設置者・事業者への支援強化

    処遇改善をするにあたり、

    • 給与の改定状況に応じて人件費の引き上げを行い、適切に給与に反映すること
    • 処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分(キャリアパス要件分を含む)の実施の推進
    • 処遇改善等加算Ⅱの制度について、周知を徹底する

    以上が課題とされているようです。

    また、制度が円滑に実施されるように、

    • 処遇改善等加算の仕組みを全体的に、設置者や事業者へ丁寧な周知を行う
    • 就業規則や給与規程等や、社会保険労務士を活用した集団説明会の開催など、処遇改善の推進に向けた支援強化を行う
    • 施設ごとの状況に配慮しながら相談に応じる

    などといった、対策が行われているようです。

    また、処遇改善における設置者・事業者への相談体制を強化することが必要であることから、国としても、

    情報の提供やセミナーの開催を行い、着実で円滑な制度の実施へつなげていく方針としています。

    正しく処遇改善をして保育士を確保しよう

    保育士不足を解消するために、処遇改善はとても重要となってくるでしょう。

    しかし、各施設ごとに、政府の取り組みや内容をしっかり把握していないければ、

    賃金の偏りが生じたり、認識不足や認識のズレなどが発生してしまう場合もあるでしょう。

    政府では今後も、保育士の処遇改善を推進するとして、

    賃金改善確認の徹底や、情報提供やセミナーを実施をし、処遇改善における内容の周知を広げていくとしています。

    正しく処遇改善を行い、保育士が働きやすい環境をつくり、保育士の離職防止につなげていきましょう。

    導入をご検討のお客様は下記よりお問い合わせ下さい