日々の保育業務に関するお役立ち情報を配信しています。
【高額売却を実現】保育園を高く売るための準備と戦略。M&Aで失敗しないための全知識
目次
いつか保育園を手放すなら、できるだけ高く売りたいですよね。
しかし、いざ売却を考えると、「何から手をつければいいんだろう」「どうすれば損をせずに済むだろう」と不安に感じるかもしれません。
まずは、保育園の価値がどう決まるのか、買い手から見て“魅力的に映る園”とはどのような園なのかを確認してみましょう。
売却価格に影響する主な評価ポイントは以下の通りです。
過去数年の利益と、今後も安定して収益が見込めるかが重要です。定員割れが少なく、利益が安定している園は評価が高くなります。
園舎や遊具などの設備が整っているか、自社所有か賃貸かもポイントになります。建物や土地を保有している場合、資産価値としてプラスになるでしょう。
地域の保護者ニーズに合った保育や、他園と差別化された特色ある運営が、将来性として評価されるでしょう。
職員の定着率や、マニュアル化された運営体制は重要です。安定した雇用に向けて仕組みを整えている園は、引き継ぎがスムーズで買い手からも好まれる可能性が高いです。
こうした要素を意識して日々の運営を見直すことは、保育園の売却価値を高めるだけでなく、園としての信頼や保育の質の向上にもつながるでしょう。
いざという時に後悔しないためにも、早めに自園の強みや改善点などを把握しておくことが大切です。
「売却はまだ先のこと」と思っていても、準備を始めるタイミングは早い方がよいでしょう。
なぜなら、保育園の価値は一朝一夕で高まるものではなく、日々の運営の積み重ねこそが信頼や実績につながるからです。
ここでは、将来の売却を見据えて今からできる3つの準備と改善策を紹介します。
高額売却のためだけでなく、保育の質や園全体の健全な運営を意識していきましょう。
売却価格を大きく左右するのが「営業利益」です。
特に、継続的に安定した収益が出ている保育園は、買い手から高く評価されやすくなります。
そのためにもまずは、園の収支状況を正確に「見える化」することが大切です。
人件費・水道光熱費・食材費など、各項目の支出を明確にし、必要に応じて無駄を見直すことで、利益を圧迫している要因を把握しましょう。
また、こども家庭庁は2025年度から、保育所や認定こども園の収支や職員配置・給与などの情報を、都道府県が事業者に報告を求め、公表できる仕組みを導入しています。
こうした流れも踏まえ、日ごろから経営状況を整理しておくことは、売却時の信頼性を高めるだけでなく、よりよい保育運営にもつながるでしょう。
保育園の売却では、単なる収支だけでなく、保護者の方に「この園に子どもを通わせたい」と感じてもらえるかが重要です。
買い手にとっても、すでに保護者や地域から信頼されている園は魅力的に映るでしょう。
以下のような視点で日々の保育や運営を丁寧に見直してみると、改善点が見つかるかもしれません。
・保育方針や理念が職員に浸透しているか
現場の保育に理念が活かされている園は、信頼されやすく、特色としても伝わりやすくなります。
・保護者対応が丁寧か
日々の連絡帳や送迎時のやりとりなどの積み重ねから、保護者から信頼されることで、評価が高まり、安心して子どもを預けられる園として存続できるでしょう。
・園内の改善に前向きか
外部の意見や第三者の評価などを受け入れ、園をよりよくしようとする姿勢が伝わる園は、継続的な価値を感じてもらえるでしょう。
このような取り組みを重ねることで、「信頼される園」としての魅力が高まり、結果的に売却時の評価にもよい影響を与えるでしょう。
売却をスムーズに進めるためには、各種書類の整理をしておくこともポイントです。以下のチェックリストを活用し、事前に整備できているかを確認しておきましょう。
チェック項目 | 土地・建物の名義 |
---|---|
確認内容 | 登記簿上の所有者が誰か明確になっているか、権利関係に問題がないか |
チェック項目 | 賃貸契約書 |
確認内容 | 契約期間・更新条件・譲渡の可否など、売却時に支障がないか |
チェック項目 | 職員との雇用契約 |
確認内容 | 雇用契約書・就業規則・給与規定が整理されているか |
チェック項目 | 社会保険等の加入状況 |
確認内容 | 厚生年金・健康保険・雇用保険などの手続きが適切に行われているか |
チェック項目 | 許可証・届出関係 |
確認内容 | 保育施設としての認可書・届出書類が最新の状態になっているか |
チェック項目 | 売却方法に応じた書類 |
確認内容 | 株式譲渡か事業譲渡かに応じて、必要な書類を把握・整理しているか |
上記の他にもさまざまな書類が必要になる可能性があるため、一度M&Aの専門業者に確認してみるとよいでしょう。
なお、保育・子育て領域に特化したM&A支援を行っているネクストビートでは、初期相談から成約まで丁寧にサポートしています。
「どこから手をつけていいかわからない」「失敗やトラブルなく売却を進めたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。2年後~3年後に売却を考えているなど、長期的な計画を立てたい方もお問い合わせお待ちしています。
保育園とひとことで言っても、運営形態によって必要な手続きや売却方法が大きく異なります。
まずは、代表的な保育園の種類を簡単に整理してみましょう。
園の種類 | 認可保育園 |
---|---|
主な運営主体 | 社会福祉法人・自治体・一部企業など |
特徴 | 自治体から認可を受けている。公定価格・補助金あり。 |
売却の可否 | 「売却」ではなく、「譲渡」が原則 |
園の種類 | 認可外保育園 |
---|---|
主な運営主体 | 株式会社・個人・NPO法人など |
特徴 | 自由な運営が可能。補助金なし・一部あり。 |
売却の可否 | 売却可能 |
園の種類 | 企業主導型保育園 |
---|---|
主な運営主体 | 株式会社など(助成制度あり) |
特徴 | 柔軟な運営ができる。内閣府の制度下で運営。 |
売却の可否 | 売却可能 |
それぞれの運営形態によって、売却の進め方や評価されるポイントは異なるでしょう。
なかでも、「複数の園を展開している法人」や「株式会社が運営する認可外保育園」は、自由度が高い分、戦略次第で売却価格に大きな差が出るケースがありそうです。
ここからは、複数園・認可外園ならではの“強み”を活かした売却方法について解説していきます。
複数の園を運営している法人では、どの園も同じ方針や品質で運営されているかが重視されます。
買い手から見ると「1つの園だけが黒字で他の園はすべて収支が赤字」といった状態では、全体の価値が下がってしまうためです。
複数園の売却では、以下のような点が買い手に重視される可能性が高いでしょう。
このように、経営の仕組みが整っている法人は、買い手にとって「引き継ぎやすい」「将来の経営も安心」と見なされやすくなるでしょう。
また、組織運営や収益構造が明確になっていることで、法人単位での高額売却(株式譲渡)が成立しやすくなるのもポイントです。
認可外保育園は、制度上「補助金が少ない」「認可がない」というイメージから、売却時に不利と捉えられることもあります。
しかし、見方を変えれば、柔軟な運営体制や特色ある保育方針を打ち出しやすい点が魅力でしょう。
たとえば以下のような強みは、買い手から高く評価されやすいポイントです。
これらは「この園にしかできない保育」「地域で選ばれている園」という印象を与え、価格交渉でも有利に働くことがあります。
特に、企業主導型保育園や自治体の補助対象施設であれば、一定の安定性もアピールできるでしょう。
なお、売却時は過去の運営実績や保護者アンケート、地域からの評価などを資料として整理しておくことで、売却時に“園の強み”として提示できるでしょう。
保育園を売却するうえで、「手続きをどのように進めるべきか」「誰に相談すればよいのか」と迷う経営者の方も多いのではないでしょうか。
思い入れのある園だからこそ、適切な流れで進めることが大切です。
ここでは、保育園の売却をスムーズに、そして納得いく形で実現するための4つのステップをご紹介します。
まず最初のステップは、保育園のM&Aに精通した専門家をパートナーとして選ぶことです。
保育業界ならではの知識や、事業承継に関する実績を持っているかどうかが重要な判断ポイントになります。
特に、秘密保持への意識や対応スピード、担当者との相性も大切です。
初回相談時には「過去に保育園のM&A実績があるか」「相談から成約までの流れはどうか」などを具体的に確認しておくとよいでしょう。
次に、自園の運営形態や資産状況に応じて、最適な譲渡方法を検討します。
法人ごと譲渡する「株式譲渡」、事業だけを引き継ぐ「事業譲渡」など、いくつかの選択肢があります。
たとえば、法人で不動産や人材を一括で引き継ぐ場合は株式譲渡が選ばれやすいでしょう。
逆に、園舎が賃貸である、不要な事業は切り離したいといったケースでは事業譲渡が向いていることも考えられます。
専門家と一緒に、自園の強み・弱みを見極めながら判断することが大切です。
売却を進めるなかで、買い手は「この保育園に本当に価値があるのか」「安心して引き継げるかどうか」を慎重に見極めようとします。
この確認作業のことを、専門的には「デューデリジェンス(事業調査)」と呼びます。
具体的には、以下のような情報がチェックされることになります。
これらが整理されていないと、買い手に不信感を与えたり、売却後のトラブルにつながったりする恐れもあります。専門家に相談しながら、進めることも大切です。
保育園の売却にあたっては、職員や保護者への丁寧な説明が必要です。
まずは職員から事情を伝え、雇用や待遇がどうなるかを明確にしましょう。安心感を持ってもらうことが、日々の保育の安定にもつながります。
次に保護者には、子どもの生活への影響が少ないことを丁寧に説明します。運営体制や保育方針、費用などの変化がある場合は、事前に整理して伝えましょう。
保育園の売却を考えるうえで、「今後も保育園は必要とされるのか?」「買い手が現れる見込みはあるのか?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
たしかに、出生数は年々減少しています。
厚生労働省の「人口動態統計月報(概数/2024年)」によると、令和6年(2024年)の出生数は68万6,061人であり、前年の72万7,288人から約4万1,227人の減少となりました。
一方で、以下のグラフが示すように、保育園を利用する児童数とその利用率は年々上昇しています。
背景には、共働き世帯の増加や女性の就業率の上昇があります。
特に25〜44歳女性の就業率は、令和2年の77.7%から令和6年には82.0%へと上昇しており、保育ニーズは依然として高い水準にあります。
こうした状況から読み取れるのは、「これからは施設数を増やす時代」から「既存の園の質が問われる時代」へと移りつつあるということです。
つまり、運営体制が整っており、地域のニーズと合致した保育園であれば、買い手から選ばれやすく、売却のタイミングを逃さず進めることが可能になります。
今後は少子化の影響などもあり、事業承継や売却を検討する保育園が徐々に増えていくことも予想されます。
そのため、できるだけ早い段階から準備を始めることが、納得のいく条件で売却を進めるために重要です。
保育園の売却は、園の形態や契約内容によって進め方が大きく異なり、初めて検討する方にとってはわかりにくい点もあるでしょう。
職員や保護者への配慮、行政との調整、譲渡スキームの検討など、慎重かつ丁寧な進行が求められます。
後悔のない売却を実現するためには、保育園のM&Aに詳しい専門家に早めに相談し、自園の状況に合った方法や流れを確認しておくことが大切です。
ネクストビートでは、保育業界に特化したM&Aのご相談を受け付けています。
初回のご相談は無料ですので、「将来的に売却を考えている」「どんな準備が必要か知りたい」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。
ご入力のメールアドレスに資料を
お送りいたします。
こちらの記事もおすすめ