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保育園を廃業せずに譲る方法は?高く・安心して譲渡するためのM&Aと承継の選択肢
目次
事業承継を考える経営者にとって、最大の悩みは「園を残したいけれど、どう引き継ぐか」という点ではないでしょうか。
中小企業庁が公表している調査データを見ると、事業承継の課題として最も多く挙げられるのは「事業の将来性」(52.6%)と、半数以上が事業そのものへの課題を感じていることがわかります。
次いで「後継者の経営力育成」(44.0%)、「後継者を補佐する人材の確保」(36.4%)と続きます。
上記のデータは保育園経営に限定していないものの、後継者の不在や育成、従業員・取引先との関係維持など、経営者が直面する課題が多岐にわたることは、どの事業者でも変わらないでしょう。
特に保育園の場合、保護者・地域との信頼関係や職員の定着は園の存続に直結するため、承継の進め方を誤ると「廃業」「閉園」の選択肢を迫られることにもなるでしょう。
そのため、「廃業せずに保育園を残す」には、承継の仕組みを理解し、自園に合った方法を早めに検討しておくことが大切です。
保育園を廃業せずに譲る方法は、大きく分けると以下の3つに分類できます。
それぞれの方法を実現するために、株式譲渡・事業譲渡・合併などのM&Aスキーム(手段)が活用されます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを具体的に見ていきましょう。
社会福祉法人による承継は、保育園の公益性や非営利性を維持しながら運営を引き継ぐ方法です。
売却による利益を得るよりも、安定した園の存続を重視したい場合に選ばれることが多いでしょう。
社会福祉法人は株式を持たないため、会社のように株を売買したり相続したりして承継することはできません。
その代わりに、理事会や評議員会での役員交代、または社会福祉法人同士の合併や事業譲渡といった形で承継が行われます。
また、都道府県や自治体の認可が必須であり、承認を得るまでに時間と手続きなどの手間がかかる場合があるのが特徴です。
社会福祉法人による承継は、運営の継続性や行政からの信頼が確保しやすい点が大きな利点です。利用者や職員にとっても安定した環境を提供できます。
ただし、売却益を得ることはできないため、経済的なメリットをもっとも重視する場合には不向きといえまるかもしれません。
出典:事業承継ガイドライン(第3版)
出典:社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン/厚生労働省
他の保育事業者への承継は、売却益を得やすく、運営基盤の安定も期待できる方法です。
大手法人や地域の事業者が買い手となり、園がグループ園や分園として継続するケースが一般的なようです。
各種法人だけでなく、株式会社などの幅広い事業者が承継先の候補にあがる可能性があります。そのため、株式譲渡・事業譲渡・合併といった方法を状況に応じて選ぶことができます。
買い手候補の選択肢が多いため、条件がよければ高値で譲渡が成立することも期待できそうです。
職員の雇用や運営体制を継続しやすく、資金力のある事業者であれば設備投資や職員研修などの拡充も期待できます。
その一方で、園名などのブランドや保育方針が変更される場合があるため、契約の際に希望の条件を整理しておくとよいでしょう。
親族や信頼できる職員に譲るという選択肢は、園の理念や方針を残したい方に向いている方法です。
園の雰囲気やブランドを守りやすい点が特徴といえるでしょう。
園をよく知る親族や職員が経営を引き継ぐため、利用者や地域からの信頼を保ちやすいのが強みです。
一方で、承継する個人の資金力や経営経験が不足していると、金融機関からの融資や職員管理の面で課題が出ることもあります。
そのため、必要に応じて外部の専門家や税理士など専門家のサポートを組み合わせることでスムーズな承継ができそうです。
承継の手法は、運営している法人格によって異なります。
園の理念や方針を継続できることが大きなメリットです。利用者や職員にとっても安心感があり、経営の急な変化を避けられます。
また、前経営者が会長や顧問の立場で関わり続けることも可能で、スムーズに移行を進めやすい点もあります。
ただし、承継者の力量や資金力に左右されやすいため、外部支援と組み合わせた計画的な準備が不可欠です。
「この方法はどうなんだろう?」「廃業しない方法に迷う…」という方は、ネクストビートにご相談ください。
保育園を譲るにあたって、経営者の方が気になる疑問に回答します。
A. 需要のあるエリアや園規模なら高値がつくことも。
園が評価されるポイントは、自治体の子育て世帯の人口や待機児童の状況、園舎や園庭の状態、定員や認可の種類、補助金の安定性など多岐にわたります。
高値で譲ることを目指すなら、稼働率や職員体制を整えることも有効になりそうです。株式譲渡・事業譲渡・合併といった譲渡手法や、相手との交渉によって評価をあげることも可能でしょう。
A. 認可園は高い評価がつきやすいですが、工夫次第。
一般的には、認可保育園は、国や自治体からの補助金が安定収入につながり、買い手の需要があれば高評価につながることがあるようです。
認可外園でも、立地や保育内容などの強みがあれば、プラス評価につなげることも可能でしょう。認可の再取得が不要である点や、改善計画を提示する工夫などで評価を上げられることもありそうです。
A. 閉園と廃業はイコールとは限りません。
一園だけを運営している法人の場合、その園を閉じると事業自体がなくなり、事実上「廃業」となります。
その一方で、複数の園を運営していたり、学童や介護事業など別の事業を持っていたりする法人であれば、一園を閉園しても法人全体は残ります。
実際の承継や再編では、閉園・統合・新設などが組み合わされることが多いため、園単位での意思決定と、法人全体での事業戦略を切り分けて考えることができるでしょう。
A. 保育園運営に精通したM&A仲介会社がおすすめ!
園を譲る候補先は複数の相手や法人を比較しながら、金額だけでなく理念や運営実績との相性を見て選ぶことが大事でしょう。
相性の合う譲渡先を探すには、保育事業の運営に詳しく、保育業界に特化したネットワークを持つ仲介会社が選ばれています。
認可などの法令・制度や現場運営に詳しいのはもちろん、親身に相談にのってくれることも魅力のひとつかもしれません。
これまで地域で大切に育ててきた保育園を廃業せずに譲る方法は、さまざまな手法や相手の選択肢があります。
まずは保育園の後継者探しの段階や、譲る方法について知りたい場合でも、専門家への相談から気軽にはじめてみませんか?
ネクストビートは、保育業界に特化した人材・経営支援で培った独自のネットワークを持ち、園の特色や保育方針を理解したうえで最適な譲渡先を探すサポートをさせていただきます。
「大事な園を廃業させたくない」「園を譲る方法について検討したい」そんな経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ご入力のメールアドレスに資料を
お送りいたします。
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