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保育園譲渡とは?検討から完了までの流れや譲渡で得られるメリットについて解説
目次
「保育園の譲渡」とは、園の経営に関する権利や事業全体を、別の法人や企業へ引き継ぐことを指します。
これは、長年大切に運営してきた園を廃業させずに、保育事業を存続・発展させるための「事業承継」のひとつの手段といえます。
経営者のなかには、まず親族や役員・職員への承継を検討されたものの、後継者が見つからず「第三者への譲渡(M&A)」を選択されるというケースも多いでしょう。
保育園の譲渡は、地域の子どもたちの保育の受け皿を守り、築き上げてきた園の価値を次に活かすための、現実的かつ有効な選択肢であり、かしこい経営判断と言えるかもしれません。
とはいっても、本当に信頼できる譲渡先はどうやって見つければよいのか悩んでいる方もいるでしょう。
私たちネクストビートは、保育業界専門のM&A仲介サービスを展開しております。
経営者の方のお悩みやご希望をしっかりうかがいながら、最適な譲渡先を全国からお探しします。
保育園の譲渡は、一般的に完了まで6カ月~1年以上かかる大規模なプロセスをたどります。
おおまかな流れをイメージできるように、検討から引き継ぎまでをステップごとにみていきましょう。
経営者の希望「なぜ譲渡したいのか」「いつまでに譲渡したいのか」「どんな条件で引き継ぎたいのか」を明確にします。この整理が、後のスムーズな交渉につながります。
この段階で、仲介会社に相談しながら方針や希望を改めて確認する方も多いようです。
STEP1のポイント
具体的には以下の希望を書き出してみましょう。
譲渡方針が固まったら、仲介会社を通して、譲渡先(譲り受け企業)の候補を探します。このステップでは、仲介会社が持つ独自のネットワークを活用しましょう。
譲渡価格や経営体力だけでなく、保育理念や買収における希望が合致する企業や法人を複数ピックアップしてもらうと、多角的な視点で譲渡先を選べそうです。
仲介会社を通じて多くの候補と話を進めることで、よりよい条件を引き出せる可能性も高まります。
STEP2のポイント
仲介会社から提示された候補先リストは、匿名であっても必ず、事業内容(保育以外の事業含め)やM&Aの実績、経営方針などを確認し、自園の希望や特徴に合うかどうかを見極めましょう。
候補先が絞れたら、詳細な条件交渉に入ります。
譲渡価格や従業員の雇用条件、引き継ぎのスケジュールなど、具体的な項目について協議したうえで、「基本合意書」を締結する流れになるでしょう。
この段階で、譲渡先が園の財務状況や法的なリスクを調査するデューデリジェンス(DD)が行われるのが一般的です。
売り手側はこの調査に協力し、必要な情報開示を行う必要があります。
STEP3のポイント
デューデリジェンス(DD)では、通常の経営状況に加え、未払い残業代や不足している退職金や、国からの補助金をもとに購入した資産の売却制限、過去の行政からの指導歴などが重点的に調べられます。
問題点を早めに開示することが、後のトラブルを防ぐことにつながります。
基本合意書の内容を基に、より詳細な「最終譲渡契約書」を作成し、双方が署名・捺印を行います。
この最終契約書には、譲渡対象となる資産や負債、従業員の処遇、表明保証(開示した情報が真実であることの保証)、万が一の際の損害賠償など、あらゆる条件が網羅されます。
税金や法的な専門知識が必要になるため、弁護士や税理士のサポートを受けるのが安心です。
STEP4のポイント
最終契約書では、表明保証の有効期間と、違反時の損害賠償額の上限を確認しましょう。
これは、もし譲渡後に未払い残業代などの問題が見つかった場合などに、売り手側が負うべき賠償責任の範囲を明確に定めるためです。
最終契約の締結後、代金の決済を行い、園の運営権を正式に譲渡先に引き継ぎます。
認可保育園の場合は、許認可の変更手続きを自治体に対して行う必要があります。
また、職員や保護者様への情報開示のタイミング、引き継ぎ期間中のサポート体制なども事前に綿密に計画し、混乱が生じないよう細心の注意を払って進めます。
STEP5のポイント
認可園の事業は、譲渡も自治体の監査対象となります。
前経営者として、監査で指摘された事項や自治体への対応を文書化し、譲渡先に確実に引き継ぐ作業を行うと、譲渡先の健全な運営のサポートになりそうです。
譲渡ってどうやってすすめればよいの?気になる方はネクストビートにご相談ください。
保育園の譲渡は、単に金銭的な利益を得るだけでなく、経営者、職員、地域社会にとって、さまざまなメリットを生み出す可能性があります。
少子化に起因する園児の減少など、承継に対する意欲の低下による「後継者不在」は、多くの保育園経営者が直面する深刻な問題です。
譲渡は、この後継者問題を根本的に解決する最も有効な手段の一つです。
園を愛する経営者にとって、廃業するのではなく、別の法人に引き継いでもらうことは、「園の理念を未来につなげる」ことにつながります。
保育園運営は、人材採用、給食費・光熱費の高騰、法改正への対応など、経営者にとっては精神的・体力的な負担が大きいものです。
譲渡により、これらの経営リスクから解放され、新たな人生の選択肢を得ることができます。
譲渡によって得た資金は、新たな事業への投資、リタイア後の生活資金、あるいは個人としての社会貢献活動など、自由に使うことができます。
現状では難しい大規模な改修や改装、園の運営や保育サービスにおけるICT化の推進、職員の給与水準の向上なども、譲渡先の経営資本によって実現しやすくなります。
このように、譲渡によって安定した経営基盤と経営体力を得ることができれば、職員の労働環境を改善しやすくなるでしょう。
職員の労働環境が整うと、質の高い保育サービスを安定して提供することにつながります。結果として、地域からの信頼を維持することにも役立つと考えられます。
保育園の譲渡を成功させ、メリットを大きくするためには、理念に共感してくれる最適な譲渡先を見つけることが最重要課題といえるでしょう。
まずは保育園M&Aに特化したネクストビートに相談してみませんか?
A. 買い手や既存職員とのトラブルが生じる可能性があります。
譲渡先との価値観の不一致による方針変更、職員雇用条件の変更による離職、契約・秘密保持の不備などがある場合は、契約過程で買い手とトラブルになるリスクがあります。
また、譲渡をすすめていくなかで、まだ情報公開前に職員や保護者から不確実なうわさが広まってしまうことなども、大きなトラブルの火種といえるかもしれません。
こういったことのないように、譲渡先(買い手)選びや、信頼できる仲介会社に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
A. 事業譲渡=資産・契約を個別に譲渡、株式譲渡=法人ごと承継。
事業譲渡は、国からの認可や職員との雇用契約を再締結する必要がありますが、事業ごとに切り分ける形で柔軟に取捨選択できます。
株式譲渡は株式を譲渡するだけで法人ごと承継されます。手続きがスムーズに運びやすいというメリットもありますが、買い手は簿外債務などリスクも包括的に承継することになります。
家族の経営意欲・財務体力があるかをまず確認し、両方のパターンでシミュレーションして比較するのが安心です。
家族承継は方針を守りやすい反面、資金調達や経営リスクが残ることがあるようです。
一方、ほかの法人への譲渡は引き継ぎの負担を減らせますが、運営方針の維持を大事にしたい場合は、その条件を契約上で明確にする必要があります。
譲渡の際に交わす契約条件に盛り込んだうえで、譲渡先と慎重に交渉しましょう。
契約における交渉は、個人間ではなく弁護士などの専門家を立てて行うことで、トラブルや失敗をふせぐことができそうです。
ネクストビートでは、譲渡先の仲介だけでなく、弁護士や会計士などの専門家の紹介サービスも行っております。ぜひご相談ください。
仲介業者は多くありますが、保育園の譲渡であれば、保育や保育業界への知見を持った仲介業者がおすすめです。
保育園は認可園・認可外園などの形態によって方法が異なったり、社会福祉法人による取引など、企業間のM&Aとは異なるプロセスや交渉を行ったりする場面が多いのが特徴的です。
また、経営者・役員・職員だけでなく、利用者である園児や保護者、地域への説明が必要になるなど、独自の対応が必要になる場面も多いでしょう。
そのような取引をサポートするには、M&Aだけでなく保育園や自治体対応にも造詣の深いパートナーを選ぶのが、譲渡成功への第一歩と言えます。
保育園譲渡は、単なる「売却」ではなく、園の理念や保育方針を未来につなぐためのプロセスです。
譲渡価格だけでなく、譲渡先の信頼性、職員・保護者への影響、契約条件など多角的に検討する必要があります。
まずは検討の段階でも、専門家に相談するところから気軽にはじめてみませんか?
ネクストビートは、保育業界に特化した人材・経営支援で培った独自のネットワークを持ち、園の特色や保育方針を理解したうえで最適な譲渡先を探すサポートをさせていただきます。
「譲渡を検討しようか迷っている」「保育園の経営に不安がある」そんな方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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お送りいたします。
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