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子ども・子育て支援新制度とは。内容や施策の具体例、子ども・子育て関連3法
目次
子ども・子育て支援新制度とは、保育支援の充実や保育の質の向上を進めていくためにつくられた制度になります。
待機児童問題や保育士不足問題といったさまざまな課題を解決するため、保育施設の増設や消費税増税分の活用などもふくまれています。また、保育の質の維持・向上において明確なビジョンを設けており、子どもたちの健全な育成を支えるうえで重要な取り組みとなるでしょう。
そもそも子ども・子育て支援新制度は、2012年8月に策定された「子ども・子育て支援法」や「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」と、関連3法に基づく制度になっています。
保護者が子育ての責任を有するという基本的な認識の中で、幼児期の保育・教育、地域の子育て支援に取り組むための法律
幼児期の保育・教育が、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることを明記し、認定こども園が学校・児童福祉施設としての法的な位置づけであることを示した
その名の通り、子ども・子育て支援法、認定こども園法の一部改正の施行の中で、法律の整備が必要となることから、その内容を明記した法律
このように子育てにまつわる関連3法が成立され、2015年4月から新しい子育て支援制度が施行されました。
内閣府では、制度の成立に伴い、社会全体でどのように政策を進めていくのか、具体的な取り組みについて「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK」を発行しています。イラストや図で、詳しく概要を説明していることから、制度の内容を知る際に役立つでしょう。
出典:制度の概要等/内閣府
子ども・子育て支援新制度の主な3つのポイントを解説します。
2019年10月に消費税率が8%から、さらに10%に引き上げられました。このような増収分を子育て支援に活用することが施策のひとつとなっています。貴重な財源を活かすことで、子どもたちの育ちを支えていきます。
子育て支援における課題は各市町村によって違いがあります。都市部の一部地域では待機児童問題が深刻化している一方、保育の受け皿の整備が進んでいる地域もあるようです。
そのため、保護者にとってより身近な市町村が地域の実情にあわせて5年間を計画期間として「市町村子ども・子育て支援事業計画」の策定に取り組んでいます。あわせて国や都道府県はその内容に伴い、財政面から支えていきます。
共働き世帯の支援のためには、各企業での保育所の設置や増設は重要な課題となっています。「仕事・子育て両立支援事業」を創設し、企業主導型保育事業や企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を支え、利用を促進していきます。
子ども・子育て支援新制度の具体的な施策例を紹介します。
従来は主に0歳~5歳の子が通園する保育園、3歳~5歳の子が通園する幼稚園と2つの施設に分かれていました。そのため、保護者が共働きの場合は保育園を利用、専業主婦の方は幼稚園の利用というように、施設の選び方を分けて考えているご家庭も多かったようです。
しかし、「保育園に入所したくても入れない」などの待機児童問題によって預け先の確保が必要となった今、手厚い保育支援を広げようと「認定こども園」の普及に取り組んでいます。
認定こども園とは、保育園と幼稚園の一体化を目指し、保育と教育両面から子育てを支える施設となります。保護者の就労に関わらず、0歳~5歳の子どもたちの通園します。就労状況によって、保育時間の規定はありますが、認定こども園を利用することで子どもの居場所は確実に増加しています。
2019年には全国で7,208箇所あり、これからも増設が期待されているのです。
また、保育ニーズが多様化する中で、一定の水準で保育・教育活動を行うことを目指している「認定こども園」の存在は、小学校への接続を考えるうえでも重要な役割を担うでしょう。
7次締切分:2024年10月8日 (火) → 交付決定日:2024年11月22日(金) 予定
追加公募対象枠:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠
※確定している募集回のスケジュールになります。以降のスケジュールは随時更新いたします。
※一般的に公募が遅くなるにつれて、通過(採択)率が下がるとされているため、お早めの申請をおすすめしております。
※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。
幼児期の子どもたちの育ちを支えることはもちろん大切ですが、その他にも子育て世代を支える施策が必要になります。
その中のひとつが地域による子育て支援の充実です。制度施行後、「利用者支援事業」や「放課後児童クラブ」拡充に取り組んでいます。
利用者支援事業とは、行政窓口や地域子育て支援拠点に利用者支援専門員を配置し、子育てや妊産婦の情報提供や相談に応じるものです。各ご家庭が孤立化しないよう、精神的なケアを行います。
また、放課後児童クラブとは、小学生に授業が終わった後、適切な遊びや生活の場を提供するものです。主に小学校の教室や児童会館を使い、「学童保育」とも呼ばれており、子どもたちの居場所を確保するうえで大切な取り組みです。
制度を通して幼児期の子どもの預け先を増やすだけでなく、共働き家庭の小学生が快適にすごせるよう、放課後クラブの拡大を目指しています。
近年、企業型保育園や認定こども園などさまざまな保育施設が誕生しています。その中で一定の保育の質の維持、向上を図るための取り組みも大切です。
具体的には保育園や幼稚園、認定こども園などの職員配置の改善が挙げられます。
制度では配置人数の見直され、子どもの人数に対する保育士の人数が以下のように変更になりました。
以前から「保育士1人に対してサポートする子どもの人数が多い」「保育士の負担が多く見直しが必要だ」など職員配置について問題視する声が挙がっていました。
このように職員体制の整備を図れば、子どもたちの安全性の確保にも役立つだけでなく、保育士自身の負担も減り、業務に集中できるでしょう。
保育士という職種に対して「給与が安い」「労働時間が長くプライベートの時間がもてない」などマイナスのイメージをもつ方も少なくありません。資格を保有しながらも、違う仕事に就く場合も多く、担い手を増やすために、保育士の処遇改善は以前から取り沙汰されていました。
今回の制度の中でも処遇改善が示されており、役職に伴う給与の昇給、全職員の給与の増額などの内容が盛り込まれています。条件を満たし、研修に参加すれば最大4万円の増額が期待され、担い手不足を解決するうえで重要な施策となります。
出典:子ども・子育て支援新制度における「量的拡充」と「質の改善」について」/内閣府
2015年4月に施行された子ども・子育て支援新制度ですが数年たった今、どのような変化があったのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
制度施行後、認定こども園の普及や地域型保育事業の拡大などで、待機児童数は減少傾向にあります。
2015年に23,553人にいた待機児童が2021年には5,634人と、5年間で17,919人減少していることがわかります。
保育所の利用率も上昇傾向にあることから、これからも子育て世代を支えるために保育施設の増設、保育・教育の質の向上が求められるでしょう。
また、東京や神奈川など都市部では、待機児童問題の解消に至っていないケースもあります。そのため、地域の実情にあわせた自治体独自の取り組みも大切になることでしょう。
待機児童が減少する一方で制度施行後、数年たった2021年7月の保育士の有効求人倍率は2.29倍。依然として保育士不足が続いている状況です。処遇改善制度の導入が行われたものの、人材不足は改善されていないことから、保育士にとって働きやすい環境を作り上げることも大切でしょう。
そこで近年注目されているのが、保育士の業務削減・効率化が期待されるICTシステムの導入です。
ICTシステムとは職員の勤怠管理・園児の情報管理を一括化し、保護者へのお知らせ機能も備えた電子システムです。医療や介護の現場でも幅広く活用され、保育士の職場環境の改善に役立ちます。
保育士は子どもの命を預かる責任のある業務となり、その責務に見合った給与の増額は重要な取り組みですが、ICTシステム導入などをふくめ、現場の環境を整備する必要があるでしょう。
子ども・子育て支援新制度では、子育て世代を支えるための重要な施策になります。制度が施行され、さまざまな問題の解決に関して道筋ができた一方、都市部の待機児童問題や保育士の職場環境改善などこれからも取り組むべき課題は多いようです。
少子化のいま、未来を担う子どもたちが充実した幼児期を送ることができるよう、社会全体で「子育てしやすい社会」を作りあげていきましょう。
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