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ヘッドスタートとは?プログラムの効果と日本の就学前教育の内容
目次
ヘッドスタートとは、アメリカで 1960 年代半ば頃から行われており、支援が必要な家庭の子どもを対象に就学援助を行うプログラムです。
貧困家庭で育つ子どもたちに、有給スタッフやボランティアスタッフが読み書きや数的感覚、言語などの習得を補助し、適切な学習環境を整えています。
「アルファベットが読める」「数字を10まで数えられる」などあらかじめ準備しておくことで、小学校入学後も通常の家庭と変わらずに学習に取り組むことができ、文化的格差の抑制につなげることを目的としています。
出典:諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会報告書厚生労働省
ヘッドスタートは就学援助の他、健康や栄養面などのサポートも行い、多様な支援に取り組んでいます。保護者への意識改革プログラムもふくまれており、子どもの教育環境を整える重要性を親に伝える活動を行っています。
厚生労働省の「諸外国における幼児教育の投資効果に関する研究成果」で発表されたヘッドスタートの効果は以下の通りです。
ヘッドスタートは学習援助はもちろん、保護者が学ぶことができる場としても機能しています。貧困層の家庭を社会全体で支えるうえで、非常に効果的な施策だといえるでしょう。
出典:諸外国における幼児教育の投資効果に関する研究成果/厚生労働省
アメリカでは貧困層の家庭を援助するためにヘッドスタートが行われていますが、日本では幼児教育の無償化や保育施設の増設に取り組み、子育て世帯を支援しています。
日本の子どもたちが就学前に通うことのできる施設は、主に「保育園」「幼稚園」「認定こども園」(保育園と幼稚園が一体化した施設)の3つが挙げられます。
アメリカのヘッドスタート計画のような一律の学習支援の取り組みはありませんが、「保育所保育指針」や「10の姿」(幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿)などを指標として、子どもたちの乳幼児期を支えています。
一般的に保育園は「生活の場」、幼稚園は「教育の場」として考えられています。子どもを健全に育成するうえでは同じ目標を掲げ、特に大きな教育格差はないといわれています。
また、未就学時期に特定の学習に特化した教育を受けたい場合は、あくまでも保護者が希望に合った園を探し、子どもを通園させることが一般的です。
例えば、以下のような学習を軸に保育活動を展開している園があるようです。
外国人教師などを招いて、主に英語で活動を進める園があります。幼児期から英語に触れる機会が多いと、小学校で学習する際に抵抗なく、外国語授業に取り組むことができるでしょう。
また、ピアノやヴァイオリン、打楽器などさまざまな楽器を楽しみ、音楽に特化した保育活動を行う園もあるようです。歌や踊りを通して、表現力を養うことができ、子どもの個性や可能性を伸ばすことに役立つそうです。
保育活動中に文字や数字を読んだり、書いたりする時間を設定している園もあります。小学校前にひらがなやカタカナ、数字を学ぶと、入学後も自信をもって取り組むことができそうですね。
上記のように未就学の段階で「英語」や「文字の読み書き」などに慣れ親しむと、小学校入学後の学習意欲を高めることにつながるでしょう。
日本では子育て世帯への支援が充実しているため、ヘッドスタート計画のような教育格差をなくす取り組みは必要がないのでは?と考える方もいるでしょう。
しかし、小学校・中学校・高校と進むにつれて、低所得層の子どもたちが学校の授業についていけない場合、受け皿となるシステムが構築されていない現状もあるようです。
経済的に余裕があれば、塾や通信教育で補うこともできますが、難しい状況のご家庭も少なくありません。
ヘッドスタートのような未就学時期の学習を支えることも大切ですが、小学校入学後の学習支援に取り組むことも重要でしょう。
アメリカのように経済格差が著しい国では、政府主導のもとで「ヘッドスタート」のような施策の推進は重要なことでしょう。
このような海外の施策などを把握し、日本での学習支援の在り方を考えることが大切です。
また、日本が抱える代表的な保育環境の問題に「待機児童」の存在があります。
2020年の待機児童数は約1.2万人。
減少傾向にあるものの、保育の受け皿の整備がまだまだ必要な状態です。
保育施設の確保や未就学児の学習環境の見直しなども考え、子どもを取り巻く環境を整えていきましょう。
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