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保育の5領域とは?明日から活用できる遊び別の実践例!
目次
保育所保育指針で定められた5領域とは、子どもの成長を支えるうえで保育所が目指す目標、保育内容、保育活動への考え方を表わしたものです。
5領域の項目は以下の通りです。
領域ごとに保育に必要なねらいや内容が具体的に記載され、保育に携わる方々の指標となっています。
指導案作成の他、保育士が自身の保育実践を評価する際も「目標の達成に向けて子どもと向き合えているのか」と、5領域の内容に照らし合わせて行うことも多いでしょう
今回は厚生労働省「保育所保育指針」をもとに、1歳以上3歳未満児の保育に関わる5領域のねらいを引用し、内容を詳しくまとめました。
「健康」の領域には、健康な心と体を育て、子ども自身が健康で安全な生活をつくりだす力を培うことを目的としています。
※ねらいについては「保育所保育指針解説p134/厚生労働省からの抜粋」
保育施設で子どもたちが生活の中で健康にすごすことに対して関心を持ち、「食事」や「排泄」など生活に必要な習慣を身につけることの重要性を示しています。
保育士は子どもたちの安全性や衛生面などに配慮して環境を整え、意欲的に生活に必要な事柄に取り組むことができるよう、サポートすることが大切でしょう。
「人間関係」の領域では、人と支えあって生活するために周囲の人々と親しみを持ち、自立心や人と関わる力を身につけることを目的としています。
※ねらいについては「保育所保育指針解説P144/厚生労働省からの抜粋」
保育士や友だちとの信頼関係を育む中で、人との関わり方や自らの気持ちを互いに伝えあう大切さを学ぶことを示しています。
ときに保育士は子ども同士がスムーズにやり取りできるように仲立ちして、思いやりを持って接することができるよう、援助することが重要となります。
「環境」の領域では、さまざまな環境の中で子どもが好奇心や探究心を持ち、その思いを生活に取り入れていこうとする力を培うことを目的としています。
※ねらいについては「保育所保育指針解説P152/厚生労働省からの抜粋」
周囲の環境に親しみを持ち、人や動植物との触れあいなどから、さまざまな感覚を豊かにする重要性を示しています。
保育士は園生活の中で、それぞれの個性を育まれるよう、声かけや関わり方を工夫するなどして、環境を整えていきましょう。
「言葉」の領域では、自らの言葉を表す力や相手の話を聞く意欲や態度を育み、言葉に対しての感覚や表現力を培うことを目的としています。
※ねらいについては「保育所保育指針解説P162/厚生労働省からの抜粋」
言葉のやり取りの中で自らの思いを相手に伝え、言葉を表現する力や相手の考えを聞く必要性を示しています。
保育士は、子どもが意欲的に言葉を発することができるよう、遊びや物事の取り組み方を工夫してサポートしましょう。互いの言葉を聞き合う大切さを感じられるような援助ができるとよいかもしれません。
「表現」の領域では、自らが感じたことや考えたことなどを表現する能力を養い、感性を育む中で創造性を豊かにすることを目的としています。
※ねらいについては「保育所保育指針解説P173/厚生労働省からの抜粋」
子どもの表現する力を養う大切さ、イメージする能力を育むことで感性を培う重要性を示しています。
保育士は表現活動を意識して、子どもたちの発想力や創造力を育む音楽や製作遊びなどを積極的に取り入れていきましょう。
自然遊びは子どもたちが四季折々の季節の移り変わりを感じるうえで、大切な活動のひとつになります。春には桜、夏にはひまわり、秋にはどんぐりや松ぼっくり、冬には雪といったさまざまな自然物との触れあいを通して、子どもたちの感性が育まれるでしょう。
5領域の内容と照らし合わせ、自然遊びを通してどのような能力が養われるのかをまとめました。
保育士は子どもたちが自然との触れあいを楽しめるよう、気づいたことや感じたことをともに共有しましょう。花びらや木の実を持ち帰り、製作遊びに展開すると身近な素材を使って工作するよろこびを感じることができそうです。
自然遊びでさまざまな経験を重ねて充実した園生活を送ることができるように、工夫してみてくださいね。
製作遊びは折り紙や画用紙、紙コップなどいろいろな材料を使って楽しめることから、子どもたちの創造力や発想力を育む活動です。
各クラスの年齢にあわせて製作を選び、保育に取り入れていきましょう。
5領域の内容と照らし合わせ、製作遊びを通してどのような能力が養われるのかをまとめました。
保育士は子どもたちに工程をわかりやすく説明し、ときには園児同士でアイデアを出し合う機会を設け、活動を盛り上げていきましょう。
各クラスの年齢にあわせてサポートし、子どもたちが主体的に遊びを展開できるように配慮することも大切になります。
運動遊びは子どもたちの運動機能の発達を促し、健康な体を作り上げるうえで重要な活動になります。
保育の中で室内・室外それぞれの場所で楽しめる遊びを取り入れていきましょう。
5領域の内容と照らし合わせ、製作遊びを通してどのような能力が養われるのかをまとめました。
保育士は手遊びや鬼ごっこ、ダンスやリレーなどさまざまな運動遊びを子どもといっしょに取り組み、体を動かして活動する楽しさを伝えていきましょう。
また、安全を確保しながら遊ぶことの大切さも知らせるうえで、遊びのルールや約束事を子どもたちと確認し合うことも重要です。
音楽遊びは子どもたちのリズム感や表現力を養い、感性を豊かにする活動になります。
音楽の世界を楽しみながら、友だちとひとつの遊びに取り組む一体感を味わえることでしょう。
5領域の内容と照らし合わせ、音楽遊びを通してどのような能力が養われるのかをまとめました。
保育士はリズム遊びや合奏などの活動を取り入れて、子どもが音楽とふれあうことができる機会を設けましょう。
生活リズムを整えるために、「おはようの歌」「さようならの歌」など活動の区切りに音楽を使用するとよいかもしれません。一つひとつの活動が子どもにとって意味のあるものとなるよう、遊びの目的や内容を明確にすることを心がけましょう。
保育所保育指針の「5領域」について紹介しましたが、子どもたちは乳幼児期を経て小学校に入学します。小学校の接続を考えるうえでその指標となる保育の「3つの柱」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を理解することも大切になるでしょう。
「3つの柱」と「10の姿」の内容を紹介します。
3つの柱とは、保育園や幼稚園、保育園などの共通の指針として、子どもたちの育成すべき能力や資質を示したものになります。
①知識及び技能の基礎
遊びや生活の中で多様な経験を通して感じたり、考えたりと自らが何ができるようになるのかを知る
②思考力、判断力、表現力などの基礎
遊びや生活の中で気づいたことやできるようになったことを試したり、工夫したりして表現する
③学びに向かう力、人間性など
獲得した知識や技能、思考力や表現力などをどのような方向性で発揮するかを考え、よりよい生活を送るために必要な事柄を考える
小学校への接続を考え、保育士は3つの柱を意識して子どもと関わることが大切でしょう。近年は小学校への移行が上手くいない「小1プロブレム」の問題が取り沙汰されています。
小学校入学後、幼児期の遊び中心の生活から学習中心となる環境の変化に適応できず、子どもによっては「授業中に立ち歩く」「先生の話を集中して聞くことができない」などさまざまな問題行動をとることがあるようです。
保育士や幼稚園教諭の方は小学校入学後、子どもたちが意欲的に学習に取り組むことができるように保育に取り組むことも重要でしょう。
小学校に入学する子どもの成長を支えるために策定された「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」。10の視点は以下の通りです。
【幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿】
保育士は上記の視点をもとに、5領域の内容をふまえたうえで幼児の育ちを支えていくことが大切になります。特に5歳児クラスの担任の方は、小学校への接続を考えて子どもに携わる場面が多いかもしれません。
子どもたちが小学校に入学後、充実した生活を送ることができるよう、「3つの柱」「10の姿」を意識して保育を展開していきましょう。
出典:資料3「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」/文部科学省
女性の社会進出が進み、共働きの家庭が増え、保育施設に通園する子どもたちは年々増加しています。
子どもたちの成長を支えるうえで5領域や「3つの柱」「10の姿」は重要な指針となります。保育士は園児がさまざまな体験を経て多様な能力が育まれるよう、園生活を支えていきましょう。
上記の実践例なども参考にして、保育活動に取り入れてみてくださいね。
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