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保育所定員の弾力化とは?基準や実施状況、問題点
目次
保育所の弾力化とは保育所が定員を超えて子どもの入所を受け入れることを意味します。
国の概ねの基準として、定員の125%の範囲まで子どもの受け入れを認めることが多いようです。ただし、あくまでもこれは待機児童問題の解決など必要に応じて行われる措置であり、弾力化を認めていない市町村もあります。
また、定員超過の状況が「2年間連続かつ年間平均で定員の120%を超えた場合」は、見直しを求められることもあるため、自治体と情報の共有や確認が大切になります。
弾力化は年度途中に子どもが入園する場合や、在園児の保護者が働き始めて保育時間が長くなるケースなどに柔軟に対応できるため、受け入れ体制の整備に役立つというメリットがあります。
厚生労働省の「2020年 地域児童福祉事業等調査結果の概況」を基に、市町村における保育所定員の弾力化状況を紹介します。
保育所弾力化の認可状況は以下の通りです。約8割の市町村が弾力化を認めていることがわかります。※1,590市町村対象
※2020年 地域児童福祉事業等調査結果/厚生労働省参考
弾力化を認めている保育所の中で実際に実施している市町村は全体の「69.4%」と報告されています。待機児童が多い「指定都市」では全ての市が定員の弾力化を認可しており、解決に向けて取り組んでいるようです。
また、弾力化を認めていない理由としては全体の78.9%の市町村が「待機児童がいないため、弾力化を実施する必要性がない」といった意向を示しています。
定員超過を認めることで待機児童の減少に役立つ一方で問題点もあるようです。どのような課題があるのか詳しく見ていきましょう。
まず、問題点のひとつとして挙げられるのが定員より多くの児童を受け入れることで、保育の質を維持するのが難しくなるという点です。
十分な人数の保育士を配置できればよいのですが、最低基準ギリギリで配置している場合は子どもの安全性の確保が難しくなるケースもあるかもしれません。
特に0歳~2歳児までは食事や排泄のサポート、衣服の着脱など身の回りのお世話をするため、その分保育士の人数が必要となります。検温チェックや午睡時の態勢確認なども行うことから、子どもたちの管理体制を徹底しなければなりません。
保育所は弾力化に伴い、保育の質の維持に向けて人材の確保に取り組むことが求められるでしょう。
保育所の弾力化の実施により、保育士の需要が高まっていますが人材の確保に苦戦している園も多いでしょう。
2022年1月の保育士の有効求人倍率は2.92倍と、依然として保育士獲得競争が激化していることが考えられます。
出典:保育士の有効求人倍率の推移(全国)/厚生労働省からの抜粋
保育士は「給与が安く、待遇が悪い」「精神的にも体力的にも辛い仕事」といったイメージを持つ方が多く、担い手も不足している状況です。
国の支援策として保育士の処遇改善制度なども策定されましたが、さらに保育士が働きやすい環境を作ることも大切です。
特に都市部では保育所の弾力化を実施している園が多いため、人材の確保が必要になります。保育士という職種の魅力を発信し、保育士さん自身が仕事へのやりがいを持って働ける社会を構築することが重要になるでしょう。
保育所の弾力化に伴い、保育士が働きやすい環境を整えるためにはどのような点に着目すればよいのでしょうか。
ここでは環境整備における解決策をまとめました。
定員よりも多くの子どもを保育するうえで情報管理が重要です。出席や健康などさまざま子どもの情報を整理する必要があります。
その際に保育士さんが手書きで資料をまとめている園もありますが、パソコンやタブレットを活用することで入力・修正作業が容易になり、業務の効率化に役立つでしょう。
特にICTシステムを導入すると子どものさまざまな情報を一括管理できるため、職員同士も共有しやすくなります。その他にも職員の労務管理や保護者へのお知らせ機能なども備わっていることから保育士さんの業務の削減にも効果が期待できます。
ICTシステムの普及が保育所の環境整備に役立つといえるでしょう。
7次締切分:2024年10月8日 (火) → 交付決定日:2024年11月22日(金) 予定
追加公募対象枠:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠
※確定している募集回のスケジュールになります。以降のスケジュールは随時更新いたします。
※一般的に公募が遅くなるにつれて、通過(採択)率が下がるとされているため、お早めの申請をおすすめしております。
※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。
保育士の人材配置にゆとりが出れば、保育士一人ひとりの業務負担の軽減に役立ち、働きやすい環境を作りだすことが可能となるでしょう。
解決策として考えられるのが保育士の復職支援です。
厚生労働省の資料によれば、2015年において潜在保育士(資格を保有しながらも保育士の仕事に就いていない方)は約76万人存在しているとしています。
「育児と保育士との仕事の両立が難しい」「復職を検討しているがブランクがあるため不安がある」などさまざまな理由から保育施設への復帰を希望しない場合があるようです。
こういった潜在保育士の復職を支援することで人材不足を解消でき、保育所の弾力化を実施した際も充分な人員配置で業務を進めることができるでしょう。
国からも潜在保育士と保育事業者とのマッチング支援や潜在保育士向けの研修を行った園に対する費用の補助などを実施しています。
各保育施設においても園見学や研修などを積極的に実施することで、社会全体が保育士の復職を支援に向けて取り組むことが大切になるでしょう。
都市部中心に保育所の弾力化が実施されていますが、定員を超過して子どもを受け入れる場合も安全性の確保や保育の質の維持が重要になります。
ICTの活用や保育士の復職支援などを行い、職員も子どもも安心して過ごすことができる環境を整備していきましょう。
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