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【災害別】保育園の避難訓練ガイド!「おかしもち」の伝え方や計画・反省例

【災害別】保育園の避難訓練ガイド!「おかしもち」の伝え方や計画・反省例 maroke/stock.adobe.com
災害時を想定して保育園で行う「避難訓練」。目的の明確化を行ったうえで計画をしっかり立て、実施後は改善点の洗い出しを行いましょう。災害別の避難訓練の実施内容、反省例から防災グッズまで徹底解説します。避難時のお約束事を子どもたちにわかりやすく伝える「おかしもち」の活用方法についてもまとめました。

目次

    保育園の避難訓練のねらいとは

    避難訓練は「実際の災害を想定して安全に避難できるように練習を行う」大切な行事です。

    地震や火災、水害など災害にいつ見舞われるかわからないため、定期的に訓練を行う必要があります。

    保育施設で避難訓練を行う際は、しっかりと計画を立て経路の確認や避難方法などで改善点はないか、チェックすることも重要です。

    まずは、「子ども」「保育士」「保護者」にわけて避難訓練を行う際の目的を把握しておきましょう。

    <子どもたちのねらい>

    • 保育士の指示をしっかり聞き、安全に避難できるようにする
    • 避難訓練に繰り返し参加することで手順を把握し、落ち着いて行動する
    • 自宅で被災した際も避難できるようにする

    避難訓練を通して避難の仕方や保育士の話をきちんと聞く姿勢を身につけることが大切になります。年齢にあわせた避難方法を考え、子どもたちに繰り返し知らせていきましょう。

    <保育士のねらい>

    • 災害時に冷静な判断ができるように訓練を行う
    • 子どもたちを安全に避難させるために適切な指示を出す
    • 保護者への連絡方法、子どもの引渡し方法を確認する
    • 訓練の大切さを把握し、避難時の問題点なども確認する

    保育士は子どもの命を守るために、冷静な判断を行うことが重要です。指示内容をきちんと確認する必要があるでしょう。災害について子どもたちにわかりやすく説明することも大切ですね。

    <保護者のねらい>

    • 災害時の園との情報共有方法、引き渡し方法やルートを知る
    • 家庭で被災した場合の避難に備える

    登園や降園途中、保育園での活動中、家庭にいる場合など災害はいつ起こる想定が難しいものです。保護者の方は子どもたちと安全に避難する方法を知る必要があるでしょう。
    また、自宅にいる際に避難訓練を行う機会が少ない方もいるため、訓練に参加することで災害時の対策を考えるきっかけになるとよいですね。

    保育園の避難訓練計画

    年度初めには保育園の避難訓練計画を立てる園も多いでしょう。定期的に避難訓練を行うためにもスケジュールを立て災害時に備えることが大切です。

    【年間計画作成例】

    避難訓練の年間計画例

    年間計画の作成後、さらに詳しい内容を指導案(月案、週案、日案)に明記して、スムーズに避難訓練を行いましょう。また、自園独自の避難マニュアルを作成しておけば、新人保育士さんが入社した際も戸惑わずに参加できます。

    保育施設に向けてマニュアルを作成している自治体もあるため、ホームページなどをチェックしてみてくださいね。

    災害別!保育園の避難訓練実施内容と反省例

    ここでは保育園の避難訓練の実施内容や反省例などを紹介します。職員同士で避難訓練時に気づいたことや迷ったことなどを報告書に記録して共有し、反省会を行う園も多いでしょう。改善点を話し合い、互いの危機管理能力を高めることが大切ですね。

    実施内容はあくまでも一例となりますので、自園独自の避難方法を考える際に役立てましょう。

    地震

    日本は地震が多い国として知られていることでしょう。

    今後も幾度となく、地震に遭遇するケースが考えられるため、「もしも」のときに備えて、日頃から訓練することが大切になります。

    実施内容

    地震訓練の実施内容や反省例を紹介します。

    ①地震が起きたとき

    • 窓際から離れる
    • 机の下や物が落ちてこない、倒れてこない空間に移動して頭を守る(ヘルメット・防災付近・布団使用)

    ②揺れがおさまったとき

    • 避難経路を確認し、慌てて外に飛び出さないように適切な指示を行う
    • 火元がある場合はガス栓を閉め、窓は全開にして指さし確認を行う
    • 子どもの人数を確認し、上着を着たり、靴を履かせたりする

    ③避難誘導

    • エレベーターは使わない
    • 避難後に子どもの人数を確認する
    • 保護者への情報共有、子どもの引渡しを行う

    反省例

    • 訓練時に頭を守るための布団やヘルメットを出すのに時間がかかった。防災グッズの配置を考えて職員同士が声をかけあって行動する。
    • 避難訓練が初めてな子どもが多く、放送が始まると泣き出していた。パニックにならないように放送時の声のトーンや話し方を工夫する必要があると感じた。

    火事

    火災訓練では、園の調理室や近隣で火事が起きた場合などを想定して、以下のポイントに気をつけるとよいでしょう。

    火災訓練の実施内容や反省例を紹介します。

    実施内容

    ①火事が発生したとき

    • 職員同士で火元の確認、共有を行い、避難経路を確保する
    • ぬれたハンカチやタオルなどで鼻と口を覆い、低い姿勢で移動し、煙を吸わないように指示する
    • 火災の拡大を防ぐためにできるだけ、窓やドアを閉める
    • 火事の通報・可能な場合は消火器などで消火活動を行う
    • 火事の通報を行う

    ②避難誘導

    • 子どもたちを安全な場所に集め、適切な場所に誘導して人数を確認する
    • 保護者への情報共有、子どもの引渡しを行う

    反省例

    • 火災が起こった場合に消火活動を行う職員と子どもたちを誘導する職員の二手にわかれる必要があると思った。火災の状況や場所を想定して役割を決めて行動する。
    • 0歳児・1歳児クラスは子どもを抱っこして移動する必要もあるため、保育士の人数が多数必要になる。ベビーカーの活用なども視野に入れて、避難の練習を行うことが大切だと思った。

    水害

    台風や津波などで水害が起きる場合を想定して避難訓練を行うことは大切です。

    天気予報や地域の水害ハザードマップなどを確認して、避難場所の確認などをきちんと行い、災害時に備えましょう。

    水害訓練の実施内容や反省例を紹介します。

    実施内容

    ①水害が発生したとき

    • 職員同士で水害の状況、避難経路を確認する
    • 子どもたちに上着の着用を伝え、人数確認を行う

    ②避難誘導

    • 子どもたちを安全な場所に集め、適切な場所に誘導して人数を確認する
    • 保護者への情報共有、子どもの引渡しを行う

    反省例

    • ハザードマップを職員一人ひとりに配るべきだった。避難経路の見通しが立てやすくなる。
    • 災害時に避難場所に移動する際バスを利用できればよいと思った。その場合のバスの確保方法を話し合いたい。

    不審者遭遇

    地震や火災の災害以外に、園内に不審者が侵入するケースもあるかもしれません。

    不審者と遭遇した場合の実施内容や反省例を紹介します。

    実施内容

    ①不審者が園内に侵入したとき

    • 警察に通報する
    • 職員同士で状況、避難経路を確認する
    • 子どもたちを集めて人数確認を行う

    ②避難誘導

    • 安全な場所に誘導し、人数を確認する
    • 保護者への情報共有、子どもの引渡しを行う

    反省例

    • 不審者と遭遇した際に逃げることを子どもたちに教えることも大切だと思った。ひとりでいるときに狙われやすいため、その点も伝えていきたい。
    • 不審者情報が出回った際は保護者の方に早めに伝えられるようにおたよりやメールのテンプレートをあらかじめ用意して効率的に伝達する方法を考えたい。

    出典:消防庁 防災マニュアル/総務省消防庁

    出典:風水害対策 /総務省消防庁

    保育園の避難訓練には「お・か・し・も・ち」

    避難訓練時のお約束として子どもたちに大切なことを伝える際に「おかしもち」という言葉を用いる保育園は多いかもしれません。おかしもちの意味は以下の通りです。

    • お「押さない」
    • か「駆けない(走らない)」
    • し「しゃべらない」
    • も「戻らない」
    • ち「近づかない」

    「おかしもち」の言葉を使って子どもたちにわかりやすく説明して約束事を確認していきましょう。

    子どもたちに伝える方法を紹介します。

    「お」:押さない

    「地震や火事が起こったときは、みんなで違う場所に逃げることもあります。そのときは周りの友だちや先生を押さないように気をつけようね。転んでけがをすることもあるから、先生のお話をしっかり聞いて動こうね。」

    「か」:駆けない(走らない)

    「地震や火事が起こったときは、怖くなって走って逃げたくなるよね。でも、走るとケガをしたり、迷子になってしまったりすることがあります。先生の話をよく聞いて、みんなでいっしょに動こうね。」

    「し」:しゃべらない

    「地震や火事が起こったときはこわくなって、『どうしよう!』ってしゃべりたくなることもあるよね。でも、友だちとしゃべってしまうと、先生のお話が聞こえなくなってしまいます。火事のときは口の中に煙が入ると、苦しくなることもあるからしゃべらないようにしようね。」

    も:「戻らない」

    「地震や火事が起こったときは、逃げた後に自分のバックやハンカチを忘れて戻りたくなることもあるよね。でも、戻ってしまうとドアが開かなくなったり、ガラスが割れていたり、危ないかも知れません。お部屋に戻るときは、先生や園長先生がきちんとお話するからそのときに戻ろうね。」

    不審者と遭遇した場合に「いかのおすし」という約束事の言葉もあります。詳しい内容は以下の記事に記載しているので確認してみてくださいね。

    保育園で避難訓練の大切さの伝え方

    保育園で避難訓練の大切さを伝える際は子どもたちが興味を持てるような工夫も必要です。

    伝え方の一例を紹介します。

    クイズ形式

    避難訓練関連のクイズを用意して避難時の約束事を確認していきましょう。

    例えば、

    • 地震が起きたら「ひとりで逃げる」「机の下に隠れる」〇✕どっち?
    • 火事になったら「みんなに大声で教える」「口にぬれたハンカチを充てる」〇✕どっち?

    と〇✕クイズにしてもよいでしょう。繰り返し伝えると子どもたちも約束事を覚えやすいでしょう。

    迷路で避難経路を確認

    園内の地図を印刷して避難経路の迷路を作ってもよいですね。

    「みんなが外に逃げるときにどこを通ればいいかな?」

    などと声をかけながら避難経路を子どもたちとチェックしていきましょう。

    保育園に必要な防災グッズ一覧

    保育園にあると便利な防災グッズの一覧を紹介します。

    災害を想定した避難訓練を行う際は防災グッズを持つ担当を決めておくことも大切でしょう。避難訓練時にはチェックリストで必要なものが揃っているのか確認するとよいですね。

    <子どものサポートグッズ>

    • ウェットティッシュ
    • ハンカチ
    • 哺乳瓶
    • 紙おむつ
    • おしりふき
    • 非常用トイレ
    • おんぶ紐
    • 防災ずきん
    • 長袖・長ズボン
    • 下着
    • バスタオル
    • マスク

    <保育士の装備グッズ>

    • 救急用品
    • 防災ハザードマップ
    • 緊急連絡先(警察・消防・救急など)
    • 児童名簿(電子機器使用できないことを想定して、紙面用意)
    • ホイッスル
    • 懐中電灯
    • 携帯用カイロ
    • 雨具
    • ヘルメット
    • 軍手
    • 携帯用ラジオ
    • 乾電池
    • 携帯の充電器
    • ピンセット
    • 爪切り
    • 布テープ
    • はさみ
    • マジックペン

    その他にもランタンやブランケットなど必要なものを揃えて、災害に備えましょう。管理場所を職員同士で確認して、災害時にすぐ使用できるように準備することも大切ですね。

    保育園の避難訓練にICTシステムを活用

    災害時に保護者や職員と連携を取る場合にICTシステムを活用する園もあるでしょう。

    ICTシステムは、パソコンやタブレットを利用して園児情報の管理、職員の労務管理などを行うことができます。

    保護者や職員へのお知らせ機能も備わっており、災害時にはメールの一斉送信が可能です。

    子どもたちの命を守るうえで、保護者との情報共有は必要不可欠です。

    電力が使用できない場合に備えて、緊急時のポータブル電源なども常備して、ICTシステムを有効活用しましょう。

    保育園の避難訓練に備えよう

    保育園で日頃から避難訓練を行い、災害時にスムーズに行動できるように備えることが大切です。

    子どもたちの年齢を考慮して避難経路や指示内容を明確にしておきましょう。

    また、職員同士で防災研修、保護者との防災セミナーなどを開けば、防災意識を高めることができるでしょう。

    保護者向けのお便りなどで避難訓練の様子や重要事項などを発信し、情報の共有なども積極的に行っていきましょう。

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