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企業主導型保育事業とは?自社の従業員をメインにした保育施設の運営

企業主導型保育事業とは?自社の従業員をメインにした保育施設の運営 maroke/Shutterstock.com
保育施設の需要が高まる中で多様なニーズに対応するために「企業主導型保育事業」について注目が高まっています。待機児童問題解消に向けて、保育事業の拡大は重要な役割を担っているでしょう。企業主導型保育事業の概要や施設数の現状、開設するための要件やメリットデメリットについて紹介します。

目次

    企業主導型保育事業って何?

    企業主導型保育事業とは、内閣府が待機児童問題対策のひとつとして2016年4月にスタートした企業向けの助成制度です。

    企業の従業員に向けて柔軟な保育サービスの提供を行えるように「会社がつくる保育園」に向けて、施設の整備や運営費などの助成を行います。

    企業の保育施設や地域の企業が共同で設置、利用する保育施設に対して補助金が渡し、仕事と育児を両立する従業員に向けた支援の充実を目的としており、2019年2月末時点での企業主導型施設数は2,365施設あり、利用定員は54,645人となっています。

    都道府県別に企業主導型保育施設の分布について見ていきましょう。

    企業主導型保育事業 地域分布

    抜粋:企業主導型保育事業の実施状況及び中小支援策についてp1/内閣府

    上記のように全体の7割が待機児童が多い都市部である、首都圏(埼玉・千葉・東京・神奈川)、近畿圏(京都・大阪・兵庫)の7都府県が占めており、企業主導型保育事業が保育の受け皿としての機能を担っていることがわかります。

    出典:企業主導型保育事業の立ち上げガイド/厚生労働省

    出典:仕事・子育て両立支援事業の概要(企業主導型保育事業)/厚生労働省

    出典:企業主導型保育事業の実施状況及び中小支援策について/内閣府

    企業主導型保育事業の特徴

    企業主導型保育事業の特徴については以下の通りです。

    • 企業が自社の従業員の働き方に合わせて、保育サービスの提供が可能(夜間、休日、短時間保育など)
    • 自社だけでなく、地域の子どもたちの受け入れが可能(地域枠を設ける場合、総定員の50%以内)
    • 複数の企業が協力して共同で保育施設の設置や利用ができる
    • 認可外保育施設であるものの、条件を満たすことによって認可保育施設と同等の助成(整備費・運営費)が受けられる

    企業主導型保育事業を拡大は待機児童の減少に役立つだけでなく、企業の特色やメリットを活かした事業展開を図ることが可能なため、保育サービスの充実が期待できるでしょう。

    出典:企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット/厚生労働省

    企業主導型保育事業の設置イメージ

    内閣府の企業主導型保育事業パンフレットにおいて設置イメージが紹介されています。

    企業主導型保育事業 設置イメージ

    抜粋:企業主導型保育事業パンフレットp6/内閣府

    設置方法については、大きく以下の3つに分かれます。

    • 単独設置型(企業が単独で施設を設置、活用する)
    • 共同設置・共同利用型(1つまたは複数の企業が共同で設置や活用する)
    • 保育事業者設置型(保育事業者が設置した施設を1つまたは複数の企業が共同で活用する)

    運営については保育事業者の委託も可能なため、企業の用途に合わせて柔軟に設置することができるようです。

    出典:企業主導型保育事業パンフレットp6/内閣府

    出典:企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット

    企業主導型保育事業を開始するための要件

    企業主導型保育事業を開始する場合には条件や職員の配置などを満たす必要があります。

    主な条件

    • 子ども・子育て拠出金を負担している一般事業主であること
    • 下記の3つのいずれかに該当する場合
      ①自社の従業員向けに新たに保育施設を設置する場合
      ②自社の既存施設で新たに利用定員を増やす場合
      ③自社の既存施設の空きがあった場合に他の企業向けに活用する場合
      ※子ども・子育て拠出金・・・企業が納付する義務を負う税金

    上記の条件についてきちんと確認する必要があるでしょう。

    職員の配置基準

    企業主導型保育事業では、小規模保育事業や事業内保育事業同様、次のような職員の配置基準を設けています。

    • 0歳児が3人いる場合は保育者1人以上
    • 1、2歳児が6人にいる場合は保育者1人以上
    • 3歳児が20人がいる場合は保育者1人以上
    • 4、5歳が30人がいる場合は保育者1人以上

    上記の基準に+1名、最低2名を配置することが義務づけられています。

    また職員の半数が保育士資格を保有していることが条件となり、無資格の場合は自治体で行う研修を受講する必要があります。

    設置条件

    企業主導型保育事業の設置条件については、厚生労働省が定める「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」、「認可外保育施設指導監督基準」を厳守して設置することが重要です。

    1日に保育する乳幼児の人数によって、子ども一人の保育するための面積(施設の広さ)の広さなどに基準が設けられているため、規定に合わせて設置する必要があるでしょう。

    出典:企業主導型保育事業実施要綱の概要/内閣府

    出典:企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット

    出典:認可外保育施設指導監督基準/厚生労働省

    企業主導型保育事業のメリット

    企業主導型保育事業に携わるメリットを紹介します。

    柔軟な保育サービスの提供

    企業主導型保育園では、従業員の働き方にあわせて保育施設を開設できるため、年中無休で預かりを行っている施設もあります。

    保護者が日曜・祝日など夜勤の勤務などがあり、子どもの預け先が見つからない場合もあるかもしれません。

    このような場合も従業員が安心して働くことができよう、充実した保育サービスの提供を実現しているようです。

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    ※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。

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    共同設置、運営によるリスクの低下

    企業主導型保育事業は、社内に保育を必要としている従業員が少ない場合は他の企業と共同して設置することも可能です。

    そのため、保育所運営が上手くいかない場合も自社の経営を圧迫するリスクを軽減できるというメリットがあるようです。

    職員の離職率の低下が期待できる

    職員の中には結婚や出産を機に育児と仕事の両立が難しく、退職を考える方もいるかもしれません。

    しかし、企業主導型保育事業に取り組んでいる企業で勤務している場合に、充実した子育て支援サービスの提供が考えられます。

    職員の方が離職せずに継続して働きたいという気持ちを後押しすることもでき、離職率の低下が期待できるでしょう。

    企業主導型保育事業のデメリット

    企業主導型保育事業に携わるデメリットを紹介します。

    開業コストがかかる

    企業主導型保育園を開設する場合に国からの助成金により、開業コストは軽減されますが、自己負担がかからないというわけではありません。

    開業する場合は、設置費用や運営費についてきちんとシュミレーションなどを行う必要があるでしょう。

    また、内閣府の企業主導型保育事業の立ち上げ例などを参考にするとよいかかもしれません。

    環境による保育活動の制限

    企業内に設置する場合に、環境による保育内容の制限が考えられます。

    オフィス街では、園庭がないために保育活動が制限されたり、交通量が多い場所では散歩が難しかったりと子どもたちの保育活動の幅が狭まる可能性もあるでしょう。

    しかし、このような制限がある中で子どもたちが楽しく遊べるように英語や音楽に特化した保育活動を行うなど、カリキュラムの充実化を図る保育園もあるようです。

    人材の確保が難しい

    企業主導型保育事業にかかわらず、近年は保育士不足が問題視され、職員の確保が難しい場合があるかもしれません。

    一般的な保育園と比べて全体の職員数の保育士資格の保有人数は半分でよいという規定はあるものの、保育の質の維持のためには資格保有者を雇用したいという運営者の方は多いでしょう。

    人材の確保に向けて職員が働きやすい職場づくりを考え、待遇や労働条件の改善などに目を向けてみることも大切なようです。

    出典:企業主導型保育事業 立ち上げ事例のご紹介/内閣府

    企業主導型保育事業を把握し開設の検討へ

    企業主導型保育事業は、待機児童の受け皿として大きな役割を担っています。

    一方で、保育士不足が懸念される今、人材の確保が難しい状況の施設もあるかもしれません。

    保育士の受け入れ体制を整える際は、事務作業の簡略化に向けたICTシステムの導入などを検討するなどして環境整備に目を向けることも大切です。

    企業主導型保育事業を設置を考え、子育て支援の充実や保育士さんの働きやすい職場づくりの実現に向けて取り組んでいきましょう。

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