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日本の保育士の配置基準はおかしい?計算方法や休憩時間を確保する重要性
目次
保育士の配置基準とは、保育施設を運営する中で子ども一人に対して保育士の必要最低人数を定めたものです。
国・自治体・施設ごとによって基準を設けていますが、その基準に対して「おかしい」「子どもを見る保育士の数が足りない」と感じる方も多いようです。
実際に国が定めた基準は以下の通りです。
上記の他、園全体で1人以上子どもを預かる場合は、常時2人以上の保育士を配置することが決められています。
0歳〜3歳児クラスでは食事や衣服の着脱、排泄のサポートなど生活全般のお世話が必要になる時期です。そういった状況の中で、「1歳・2歳児の配置基準が同じなのはおかしい」「3歳児はトイレに一人で行けない子もいるため、20人の子どもを一人で見るのは大変」と不満を抱える保育士さんもいることでしょう。
ここで改めて、保育士の配置基準の計算方法について見ていきましょう。
保育士の配置基準は基本的に国の基準を適用しますが、自治体や施設ごとに基準がある場合はその数値を優先的に計算していきます。
「地域独自の配置基準」や「年齢別の子どもの人数」を確認したうえで計算を行うとよいでしょう。
今回は国の基準を適用して、認可子ども園の配置基準を例として計算方法を紹介します。
国の配置基準は以下の通りです。
子ども園の年齢別の子どもの人数は以下とします。
年齢ごとの定員数を配置基準で割っていきます。割って出た数が必要な保育士の数となりますが、割り切れなかった場合は小数点以下を切り上げて計算しましょう。
【計算内容】
上記の計算結果によると、88人に対して10人の保育士の配置が必要になります。
ただ、これはあくまでも「日中の保育の時間」に必要な最低人数になります。朝や夕方などの延長保育を行う場合は、追加で保育士を2人ずつ配置することが義務づけられています。
とはいえ、88人に対して必要な保育士の人数は「10人」というのは、保育士の人数が少なすぎるのでは?と感じる方もいるでしょう。
実際に諸外国と比べ、日本の保育士の配置基準に違いはあるのでしょうか。
イギリスの配置基準を基に比較してみましょう。
イギリスの私立保育園の配置基準は以下の通りです。
日本に比べて子ども一人に対しての保育士の必要人数が多いことがわかります。
先述の例に当てはめてみると
【年齢別の子どもの人数】
【計算内容】
88人の子どもに対して計19人の保育士を配置できるという計算になります。
日本の保育士の配置人数「11人」に比べて、イギリスの配置基準は「19人」となり、多くの人数で子どもの保育を担当するということになります。余裕をもって配置基準が設定されているため、働く保育士も子どもたちに対して手厚いケアができることでしょう。
このようにイギリスの保育士の配置人数と比較すると、確かに日本の保育士配置基準の見直しを検討するべきかもしれません。
出典:各国の保育制度(職員配置、施設設備の基準)/厚生労働省
保育士の配置基準の見直しを考えるうえで重要なのが保育士の「休憩時間取得問題」です。
保育士は以前から「休憩時間が取れないのは当たり前」「8時間連続勤務、お昼休憩なし」などと言われ、休憩時間の取得について問題視されていました。
人材不足の中で「休憩時間を取れば子どもたちを見る保育士がいなくなってしまう」という状況の園があることも要因のひとつかもしれません。
労働基準法で定められた労働者の休憩時間の最低ラインは8時間以上の勤務で「60分」、6時間以上8時間以内の勤務で「45分」となります。
近年働き方改革が進められ、休憩時間の取得のルールを厳守するよう求められているものの、なかなか休憩時間を取る余裕がないという保育士さんも多いことでしょう。
配置基準の見直しによって子ども一人に対する保育士の数が増えれば、その分休憩時間を確保する余裕も生まれるのではないでしょうか。
実際に休憩時間の確保や残業時間の短縮などを目指し、ICTシステムという電子システムを導入している園もあります。
職員の出勤管理や休憩、残業時間の管理などさまざまな労務管理をひとつの電子システムで行うことができるため、勤務体制の健全化に役立てています。
また、職員配置人数や有資格者配置人数を自動計算する機能が備わっているものもあるため、休憩時間の確保や勤務体制の見直しを行う際も活用することができるでしょう。
共働き世帯が増える中、さらに保育施設の需要は高まることが予想されます。
そのため、保育士の配置基準の見直しや休憩時間の確保などに目を向け、保育士が働きやすい環境を作り上げることが大切でしょう。
保育士の配置基準について「おかしい」「少なすぎる」と現場の状況に対して不満を抱える方もいるかもしれません。
まずは、ICTシステムの導入など労務管理を徹底したうえで勤務体制の見直しを図ることも大切になります。保育士さんがゆとりをもって保育に集中できる環境を整えていきましょう。
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