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1カ月単位の変形労働時間制とは?保育園での一般的な働き方

1カ月単位の変形労働時間制とは?保育園での一般的な働き方 Rawpixel.com/Shutterstock.com
1カ月以内の多忙な時期に合わせて、勤務体系を調整する「1カ月単位の変形労働時間制」。勤務形態を調整することにより、保育園や医療機関などの職員の負担の軽減、残業代の抑制が可能となるかもしれません。1カ月単位の変形労働時間制の要件や保育士さんの勤務形態に沿った具体例などを紹介します。

目次

    1カ月単位の変形労働時間制とは

    1カ月単位の変形労働時間制は、1カ月単位に労働時間を柔軟に配分できるため、一般企業の他にも医療機関、保育施設などで取り入れているところも多いかもしれません。

    変形労働時間制の中には1週間、1カ月、1年単位の3種類ありますが、それぞれ対象となる期間や条件などに違いがあります。

    1カ月単位の変形労働制について詳しく解説します。

    意味

    1カ月単位の変形労働時間制とは、1カ月以内の期間のなかで平均して1週間あたりの労働時間が40時間以下になることを条件に、所定労働時間や休日の調整を行うことできる制度です。

    例えば、「金、土曜日は事務作業が多いため、労働時間を長くして週の初めは勤務を短縮する」、「月末の3日間は多忙のため、休日を減らし、月の初めに休日を増やす」など、忙しい時期に合わせて労働時間を調節することが可能となるでしょう。

    労働時間

    1カ月単位の変形労働時間制を導入する場合の1カ月の総労働時間数は、以下の時間数を限度に設定する必要があります。

    一般的な法定労働時間数は40時間ですが、特定措置対象事業場(商業や映画・演劇業など)は44時間となっています。

    (40時間の場合)

    • 1カ月が31日の場合:177.1時間
    • 1カ月が30日の場合:171.4時間
    • 1カ月が29日の場合:165.7時間
    • 1カ月が28日の場合:160時間

    (44時間の場合)

    • 1カ月が31日の場合:194.8時間
    • 1カ月が30日の場合:188.5時間
    • 1カ月が29日の場合:182.2時間
    • 1カ月が28日の場合:176時間

    上記のように暦の月によって総労働時間数の上限が異なるため、月ごとに確認する必要があるでしょう。

    前月までにシフトを決める必要があるため、労働時間の上限を考えて勤務体制を考えるとよいかもしれません。

    休日日数

    休日日数の上限について、労働時間や1カ月の日数によって異なるため、以下の内容を参考にするとよいかもしれません。

    (労働時間の平均が8時間の場合)

    • 1カ月が31日、30の場合:必要な休日日数は9日

    (労働時間の平均が7時間の場合)

    • 1カ月が31日、30の場合:必要な休日日数は7日

    算出方法については、以下の内容となります。

    週40時間×変形時間の日数÷7日=法定労働時間の総枠(総法定労働時間)

    法定労働時間の総枠÷1日の所定労働時間=変形期間の労働日数

    変形期間の歴日数-変形期間の労働日数=必要休日日数 

    当日の仕事の都合などで自由に調整できるものではないため、事前に労働日や休日、労働時間を具体的に定めておく必要があるでしょう。

    手続き

    1カ月単位の変形労働時間制を導入する場合は、就業規則または労使協定で以下の内容を定め、所轄労働基準監督署に届けを出しましょう。

    1. 対象労働者の範囲(対象となる労働人数)
    2. 対象期間(1カ月以内)および起算日
    3. 労働日と各労働日の労働時間
    4. 労使協定の有効期間

    4.の労使協定の有効期間については、対象期間よりも長く設定する必要があるようです。適切な運用を判断するうえで3年以内程度とすることが望ましいとされています。

    また、常に変形労働時間制を使用する労働者が10人以上いる場合は、必ず就業規則の作成や届け出が必要となるため、注意しましょう。

    時間外労働(残業代)の考え方

    1カ月単位の変形労働時間制を取り入れた際の時間外労働の考え方は、以下の内容となります。

    1. 1日の法定時間外労働について(日ごとの考え方)
      就業規則または労使協定のもと、1日8時間を超える時間を定めた日はその時間、その他の日で8時間を超えて労働した時間は時間外労働とみなします。
    2. 1週の法定労働時間外労働について(週ごとの考え方)
      就業規則または労使協定のもと、1週40時間(特定措置対象事業所は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、その他の週で40時間(特定措置対象事業所は44時間)を超えて労働した時間は時間外労働とみなします。
    3. 対象期間の法定労働時間外労働について
      対象期間全体の超えて働いた時間が時間外労働とみなします。

    以上の1~3のすべての基準をもとに残業代の合計金額を算出します。

    出典:リーフレットシリーズ労基法32条の2厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

    1カ月単位の変形労働時間制の事例:保育園

    1カ月単位の変形労働制を導入する場合、1カ月の中で多忙な曜日や週を想定して勤務形態を組むことが多いかもしれません。

    保育園で働く保育士さんの勤務形態をもとに例を見ていきましょう。

    決まった曜日が忙しい場合

    保育士さんの中には、保育計画や指導案(月案・週案)の作成などで週の初めの月曜日、週の終わりの土曜日が忙しい保育士さんもいるかもしれません。

    1カ月単位の変形労働制を導入した際に、決まった曜日が多忙な場合の具体例を紹介します。

    1カ月単位変形労働時間制の具体例

    このように月曜日~土曜日までの間で労働時間の平均40時間を確保して、多忙な曜日は9時間、業務が短縮可能な曜日は7時間に設定することが可能となります。

    また、土曜日は休む保育士さんが多く、人材が不足している場合なども変形労働時間制を導入することで勤務を調整し、人材補充がしやすくなるというメリットがあるでしょう。

    休日を変更する場合

    保育園の行事の企画や運営のため、多忙な時期に合わせて休日を変更したい場合もあるかもしれません。

    1カ月単位の変形労働制を導入した際に、休日を変更した場合の具体例を紹介します。

    1カ月単位の変形労働制で休日変更

    このように1カ月単位の変形労働時間制を活用することで、月末が多忙な場合なども休日を移動することができるでしょう。

    月末は次の月の保育計画の立案や園便りの作成などで忙しい場合もあるかもしれません。

    各園の多忙な時期を把握し、職員の業務負担を考えた変形労働時間制を取り入れられるとよいですね。

    1カ月単位の変形労働時間制で働きやすい社会へ

    1カ月単位の変形労働時間制を導入することで、労働者も残業を抑えられ、プライベートも確保しやすいというメリットがあるのではないでしょうか。

    活用する場合は、事前に労働時間や休日を設定し、実施可能な計画をきちんと立てる必要があるでしょう。

    また、新しい勤務形態を取り入れることで、事務作業が複雑となり、労務管理などで業務負担が増えることも考えられます。

    1カ月単位の変形労働時間制を取り入れる際は、ICTシステムなどを同時に導入するなどしてシフト作成や管理の簡略化を考えつつ、労働者が働きやすい環境整備を目指していきましょう。

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