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1年単位の変形労働時間制とは?幼稚園での具体例など
目次
労働者の勤務形態を柔軟対応できる「変形労働時間制」。
一般企業や介護施設、幼稚園などでも取り入れている場合があり、労働時間や休日日数を調整することで残業代の抑制にも役立つようです。
変形労働時間制の中には1週間、1カ月、1年単位の3種類ありますが、それぞれ対象となる期間や条件などに違いがあります。
ここでは、1年単位の変形労働制について詳しく解説します。
1年単位の変形労働時間制は、繁忙期や閑散期に応じて、労働時間を配分することができる制度です。1カ月超え1年以内の期間のなかで、平均して1週間あたりの労働時間が40時間以下になることを条件に、所定労働時間や休日の調整を行うことができます。
例えば、「1月、2月が繁忙期で多忙な勤務となる土日は1日9時間として、平日は7時間に短縮する」「9月、3月の事務作業が忙しいため休日を減らし、閑散期である5月、6月は休日を増やす」など、繁忙期や閑散期などに合わせて労働時間を柔軟に調整することが可能となるでしょう。
また、1年単位の変形労働時間制は、労働日数や労働時間の限度の規定を守ったうえで、労働基準監督署に届け出を提出しなければならないため、きちんと制度内容を確認したうえで自社の勤務形態に適しているのかを確認するとよいかもしれません。
労働日数や労働時間の限度の規定についてみていきましょう。
※特に業務が多忙な繁忙期である「特定期間」を設けた場合は、1週間に1日の休日を確保できる日数(最長12日)とすることも可能
また、3カ月を超える期間を対象に労働時間を変形する場合は、以下の規定に沿って勤務形態を調整する必要があります。
上記の上限をもとに、労働日数や労働時間を設定していきましょう。
1日の所定時間を一定とした場合に、必要な年間休日日数については、次の計算式をもとに算出する必要があるでしょう。
必要な年間休日数=1日の所定労働時間×7日-40時間÷1日の所定労働時間×7日×365
上記の計算方法によって1日の所定労働時間が8時間の場合は、必要な年間休日日数は105日となります。
所定労働時間によって休日が異なるため、確認したうえでどのくらい休日日数となるのか算出していきましょう。
1年単位の変形労働制に関する協定を締結するためには、事業者が所轄労働基準監督署に以下の内容を定め、提出する必要があるでしょう。
5.の労使協定の有効期間については、対象期間よりも長く設定する必要がありますが、適切な運用を判断するうえで3年以内程度とすることが望ましいようです。
また、届け出の記載方法の詳細については地域の労働局などに相談するとよいかもしれません。
1年単位の変形労働制を活用する場合は、労働時間、労働日数の上限を確認する必要があるため、計算方法についてみていきましょう。
7次締切分:2024年10月8日 (火) → 交付決定日:2024年11月22日(金) 予定
追加公募対象枠:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠
※確定している募集回のスケジュールになります。以降のスケジュールは随時更新いたします。
※一般的に公募が遅くなるにつれて、通過(採択)率が下がるとされているため、お早めの申請をおすすめしております。
※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。
対象期間における1週間あたりの労働時間を平均して40時間を超えないように設定する必要があります。
計算方法は、
対象期間における労働時間の総枠=40時間×対象の暦日数÷7となります。
このような計算方法によって所定労働時間として設けることができる労働時間は、以下の内容となります。
対象期間が1年(365日)の場合:所定時間の総枠の上限は2085.71時間
対象期間が6カ月(185日)の場合:所定時間の総枠の上限は1045.71時間
対象期間が3カ月(92日)の場合:所定時間の総枠の上限は525.71時間
上記の上限などをふまえ、労働時間を設定するとよいでしょう。
労働日数の上限については原則として1年間280日までとなりますが、計算式に当てはめて上限日数を決定します。
計算方法は280×対象期間の総暦数÷365となります。
例
対象期間が令和〇年4月1日から9月30日(総暦数183日)までの場合は、
280×183÷365=140.38(日)
が限度となります。
上記の例などを参考に、労働日数を設定するとよいでしょう。
1年単位の変形労働時間制を取り入れた際の時間外労働の考え方は、以下の内容となります。
以上の1~3のすべての基準をもとに残業代の合計金額を算出します。
出典:1年単位の変形労働時間制/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署/厚生労働省
1年単位の変形労働制を導入する場合、1年間の繁忙期や閑散期を考えて勤務形態を組むことが多いかもしれません。
今回は、幼稚園の1年間で多忙な時期を想定して、変形労働時間時間制を導入した勤務形態を例を見ていきましょう。
各幼稚園によって多忙な時期は異なりますが、繁忙期といえば、運動会や生活発表会などが行われる10月や11月が考えられるでしょう。
特に生活発表会では劇や合奏の企画、台本などの作成、配役や衣装決めといった業務も多く、10月は残業が多い場合もあるかもしれません。
一方で8月の夏休みや1月の冬休みなどは子どもたちが登園することも少なく、幼稚園教諭の方も業務が少ないことが考えられます。
このように繁忙期と閑散期がはっきりしている場合は、1年単位の変形労働時間制を導入することで勤務形態の調整がしやすいでしょう。
幼稚園の閑散期や繁忙期に合わせた具体例を紹介します。
8月は夏休みがあることで行事なども少なく、職員の休日を多めに設定することができるかもしれません。
また、10月は発表会の準備などで多忙のため、土曜日を出勤日として、休日を調整するとよいでしょう。
1年単位の変形労働時間制を取り入れることで、上記のように勤務形態を調整することが可能となるでしょう。
土曜日に集中して発表会の準備を行うことで、幼稚園教諭の方も平日の持ち帰り残業を抑えることがき、業務負担の軽減につながるかもしれません。
また、多忙な時期は平日に残業となる場合も多く、残業代がかかることも考えられますが、変形労働時間制を活用すると、時間外労働による賃金を抑えることができ、園の経費削減に役立つでしょう。
あくまでも上記の例は一例であり、各園の行事内容や勤務形態によって調整に違いがあるため、自園の状況に沿って一年単位の変形労働時間制を取り入れていきましょう。
幼稚園のように繁忙期や閑散期がはっきりしている業務の場合は、1年単位の変形労働時間制を取り入れやすいかもしれません。
幼稚園教諭などの業務が多忙な職種は、持ち帰り残業が多く、労働時間が長いなどの理由から離職するケースも少なくありません。
職員の業務負担を抑えるためにも、変形労働時間制を取り入れ、勤務環境を見直しや整備が重要ではないでしょうか。
また、1年単位の変形労働時間制を取り入れる場合に、労働日数や時間の管理が複雑になることも考えられるでしょう。
ICTシステムなどを導入することで、職員の勤務形態の管理が簡略化され、事務負担の軽減にも役立ちそうです。
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