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保育士業務を効率化するための「ECRSの原則」。活用例やICTシステムを導入するメリット
目次
ECRS(イクルス)とは、以下の頭文字をつなげて4つの視点から業務の見直しと分析を行い、改善ポイントを洗い出すことを指します。
業務の生産性の向上や効率化に役立つため、多くの企業が取り入れている手法のひとつです。
ECRSの原則は、「E→C→R→S」の順番で実施することで効果を発揮するといわれています。
保育現場においてもこの手法を活用すると、業務の効率化や保育の質の向上に役立つかもしれません。ECRSの4つの要素と保育業務を照らし合わせ、改善できる内容を考えてみましょう。
まずは、毎日当たり前のように行っている業務の中で、取り除くことが可能なものはないかチェックしていきましょう。
子どもの生活全般のサポートや保護者対応などは重要な仕事ですが、その他の業務の中で不要なものはないか、洗い出しや見直しを行うことが大切です。
現場の現状を把握するためにも、職員にアンケートをとったり、業務内容を一覧にして精査したりと、やり方を工夫するとよいでしょう。
【改善案】
毎月行っていた壁面製作を春・夏・秋・冬と季節ごとに行っていたが、職員の業務負担削減に向けて作成回数を減らした。
【改善後】
製作物の作成が12回から4回に減り、職員の残業時間削減につながった。
【改善案】
職員の勤怠はタイムカードで打刻していたがICTシステムを活用し、ICカードで打刻&管理に変更した。
【改善後】
打刻のデータがすぐにシステムに転送され、一覧で確認できるようになった。給与計算ソフトと連動することで給与の自動計算が可能となり、事務員の負担も軽減された。
排除できる内容を明確にした後は、一元化できる業務についても考えてみましょう。例えば、似たような内容を2人で担当していた場合に、1人で行ったほうが早い業務もあるでしょう。
また、クラス運営において複数担任制の園も多いかもしれません。役割分担の内容を見直し「1人でできる業務はないか」「2人で行えば効率のよい業務がないか」なども確認することが重要になります。
【改善案】
感染症対策として行っていた消毒作業を、各クラスの担任から副園長の担当業務に変更した。
【改善後】
副園長が衛生管理を行うことで、登園前・給食前後・降園後など消毒作業を行う時間帯を明確にでき、担任の業務負担削減に役立った。
【改善案】
保護者へのお知らせがあるときは各担任が園長先生のチェックを経て、メールを配信していた。どのような配信がされているのか園全体で把握できていなかった。事務員がメール管理業務を担い「各担任がお知らせメールを入力→園長に報告→園長のチェック後に事務員が送信」といった流れに変更した。
【改善後】
事務員がシステム上で一括管理することでお知らせ内容が一覧で把握できるようになった。ICTシステムの機能を利用したので効率化に役立った。
次に、作業の順番や交換を行えば効率的に行うことができる業務はないか、検討してみましょう。
中にはルーティーン化した作業の順番を変えることに不安を感じる保育士がいるかもしれませんが、当たり前に行っている業務の中には、効率的に進んでいないものもあるでしょう。
保育士の業務負担削減を目指すためにも、客観的に改善ポイントを見極めていきましょう。
【改善案】
製作活動の日は、活動直前に机や椅子を配置するため、子どもたちを待たせていた。おしゃべりする時間が増え、活動への集中力がきれたことがあった。登園前に机や椅子を配置し、すぐに活動へ移れるように考慮した。
【改善後】
朝の会後にすぐ活動に移れたので活動時間が増えただけでなく、子どもの集中力も持続した。
【改善案】
備品の収納のラベリングをしていなかったため、職員が物を探すことが多かった。新人の職員もどこに何があるかわからずに戸惑っていたため、色違いの収納棚を設置し、ラベルをつけた。
【改善後】
収納環境を改善したことで職員が物を探す手間が減った。新人の職員からも仕事がやりやすくなったという報告を受けた。
最後に簡素化できる業務はないかチェックすることも大切です。保育士は、手作業で行う業務が多い職種になります。特に指導案や保育記録などは作成に時間がかかるものもあり、自宅に持ち帰って作業する方も少なくありません。
そのような書類を作成する際にはテンプレートや文例の活用などもふまえて、簡素化できないか、考えてみるとよいかもしれません。
【改善案】
職員に業務改善のアンケートをとると、おたより作成に時間をかける職員が多かった。おたより作成で使用するイラスト、枠線は事務員が選定し、共有フォルダに格納→担任は文書作成のみを行うように変更した。
【改善後】
職員からおたより作成の時間が減り、指導案や日誌などを記入する時間が増えたという報告を受けた。
【改善案】
保育士が子ども一人ひとりに向けて、誕生日会のプレゼントメダルを作成していた。しかし、0歳児から保育園に在園している子は毎年メダルをもらっていたので、保護者から「景品の方がよろこぶ」という報告があった。折り紙や色鉛筆などの景品に変更した。
【改善後】
景品にすることで職員の業務負担軽減につながり、保護者や子どもから好評だった。
上記の他にも職員の労務管理や保育料、おむつ代などの集計作業など、時間がかかる内容があるかもしれません。ECRSの原則をもとに、職員間で業務の洗い出しや改善ポイントを話し合うとよさそうです。
また、活用例の中でも登場しましたが、保育士業務の効率化に向けて「ICTシステム」と呼ばれる電子システムを導入する園も増加しています。実際にどのような機能が備わっているのか、詳しく見てみましょう。
ICTシステムとは、子どもの情報管理や職員の勤怠管理、保護者へのお知らせ機能などが備わった電子システムです。
機械にICカードをかざすだけで子どもの登降園や職員の出退勤の打刻ができるだけでなく、データを入力することで、保育料の集計作業も簡単に行うことができます。
その他にも職員のシフト作成や調整、子どもの写真管理などにも活用でき、ひとつのシステムで情報の集約・整理・操作が可能になります。
ICTシステムの導入により、業務の効率化や削減につながったという報告も数多く寄せられており、保育士の業務負担の軽減に役立つでしょう。
ECRSの原則にあわせて業務内容の見直しを行えば、改善ポイントを明確にすることができるでしょう。
また、ICTシステムの導入に向けて検討を進めている方は、導入後のサポート体制の整備に目を向けることが大切になります。
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