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保育園・幼稚園のICT化で効率化できる業務とICTシステム導入のメリット
目次
現在、保育園・幼稚園で効率化したい業務として最も多く挙げられるのは事務作業です。
保育士の事務作業には、園児の出欠管理や情報管理、書類作成、職員のシフト作成や勤怠管理、保育料計算や請求管理などがあり、これらの業務のほとんどが手作業で行われています。
基本的に事務作業は保育活動以外の時間に行われることが多く、就業時間内に業務を終えられずに残業が続いてしまったり、休みが取りづらくなることも考えられます。保育士の業務負担が大きくなり、離職につながるケースも少なくありません。
また、残業代が発生することで、人件費がかさむ可能性もあるでしょう。
このような課題を改善するためにも、保育業務をICT化し、業務負担の削減や効率化につなげることが重要です。
ICT化をすることで効率化が期待できる8つの保育業務を紹介していきます。
これまで園児の登降園打刻は、紙に手書きで打刻時間を記載したり、タイムカードで管理している園もあるでしょう。
記載に時間はかからないかもしれませんが、正確な時間を把握できなかったり、記載漏れなどがあった場合に確認する作業にも手間がかかってしまいます。
そこで園児の登降園打刻をICT化することができたら、リアルタイムで正確な時間を記録されて、一目で把握することが可能となります。
ICTシステムの種類によって対応の仕方は異なりますが、ICカードなどで早退や遅刻の際も簡単に記録することができます。
また、登降時は多くの園児や保護者を受け入れるため、保育士にとって慌ただしい時間となることもあるでしょう。ICTシステムを利用すれば簡単かつスムーズに打刻できるので、保護者対応もしやすくなり、ゆったりとコミュケーションをとることもできそうですね。
園児の情報管理は、園児ごとに紙で管理しファイルなどでまとめている園も多いのではないでしょうか。たくさんの書類やファイルが必要となり、管理するスペースを確保するのも大変です。
しかし、園児の情報管理をICT化することで、書類も増えず、管理スペースなども必要ないため、システム上で以下の項目内容を簡単に管理することができます。
園児一人ひとりの基本情報から、家族の情報やアレルギー情報などを細かく、一括で管理することができるので、必要な情報を探しやすくなります。
また、システム上で管理することで、職員間での共有もしやすく、情報の紛失・散乱の心配もないでしょう。
クラス替えや新入園児の情報を追加する場合にも、データの引き継ぎや編集等を簡単に行えることから、卒園や入園シーズンなどの慌ただしい時期にも負担を感じずに対応することができそうですね。
職員の労務管理がICT化されると、勤怠管理を手間なく、スムーズに行うことが可能となるでしょう。
ICTシステムの導入により、労務管理の際に効率化できる項目は以下の通りです。
最近では、正社員だけでなく派遣社員やパートといった多様な働き方も増えていることでしょう。また、朝と夕方のみ出勤する職員などもいるため、勤務時間の調整に時間がかかることも考えられます。
労務管理をICT化すると、勤怠状況とシフトをあらかじめ紐付けておくことが可能となり、職員ごとに打刻情報を自動集計や労働時間の予定と実績を照らし合わせることも容易となるでしょう。
また、定期的に行われる労務監査では、保育士の勤務状況について詳しく調査されることがあります。
ICTシステムを導入することで、データを簡単にまとめられることができるため、必要な書類も用意しやすいことから、労務監査に向けた準備も効率的に行うことに役立つかもしれません
現状「職員のシフト作成が大変…」という声は多いようです。紙で管理している場合、職員の希望と調整しながら何度も練り直しを行うため、作成に手間がかかることもあるかもしれません。
しかし、シフト作成がICT化されることで、以下の項目内容をシステム上で簡単に編集、修正を行うことができます。
シフト作成の際は、国が設けた配置基準をもとに、子どもの人数に合わせて保育士の必要人数を調整する必要があります。
ICT化すると、必要配置人数に対して人員が不足している場合は、一覧表で確認でき、時間をかけずに調整を行うことが可能となるでしょう。
2019年10月から幼稚園や保育園の無償化が施行されました。無償化により、各施設で保育料の計算が必要な園もあれば、不要な園もあるようです。
幼稚園や都道府県に届け出をしている認可外保育園などは無償化される金額に限りがあるため、保育料の計算が複雑になり、時間がかかるケースもあるでしょう。
ICTシステムを活用することで、各園の施設の状況をふまえて以下の利用項目に応じて、料金を自動で計算することができます。
保育料に含まれない費用に関しては、引き続き施設側で徴収する必要がありますが、ICT化することで、集計ミスや確認漏れを防ぐことにも役立つでしょう。
さらに請求書や領収書の作成については、データ化した内容をもとに、自動で作成することが可能となり、手書きにかけていた時間を大幅に削減できるでしょう。
行事やクラスの出来事などを保護者へお知らせする際に、電話や手紙で伝える園は多いかもしれません。
しかし、感染症対策など緊急の対応が必要な場合は、このような伝達方法では時間がかかるケースがあります。
その点ICTシステムを活用すると、保護者への一斉メールやお便り配信などの機能が備わっているものもあるため、早急な対応を取ることができるでしょう。
保護者の方が仕事が多忙だったり、兄弟の世話が忙しかったりとなかなか連絡がとれない場合もメールに連絡内容を残しておくことが可能となり、連絡ミスや確認漏れを防ぐことにつながりそうです。
連絡帳の記入は週案や日案の作成と同様、頻度が多く、園児ごとに行う作業となるでしょう。
それぞれの保護者に向けて連絡帳を記入する際、ICTシステムを活用することで、保護者のスマートフォンに連絡内容を簡単に配信することができます。
パソコンやタブレットで入力するため、手書きよりも文章の作成に時間がかからず、定型文などを活用することも可能となるでしょう。
また、連絡漏れやミスなどがあった場合も、修正メールをすぐに送ることができるなど、業務の効率化にも役立ちそうです。
保育士の方が、月案・週案・日案を作成し、子どもたちの活動のねらいや流れを確認する園が多いでしょう。手書きで行うこともあり、書いたり消したりと修正に時間がかかってしまうことも考えられます。
ICTシステムを活用すると、パソコンやタブレットで入力作業を行うため、修正も簡単にできます。
また、過去に作成した指導案などもデータ化しておくことで、新人の保育士さんも参考にしやすいことから、スムーズに作成できそうですね。
複数のパソコンやタブレットを用意できない場合は、それぞれの勤務時間帯に合わせて割り振りを行い、職員同士が作業しやすいように工夫するとよいでしょう。
ICT化によって効率化できる業務がある一方で、効率的に行うことが難しい業務もあるかもしれません。
詳しく見ていきましょう。
園児や保護者とよい関係を築くためには、コミュニケーションを取ることは大切です。
保育活動や登園時に積極的に話かけたり、笑顔で接したりすることで徐々に信頼関係を作り上げることができそうですね。
ICT化により保護者に向けてメールで連絡とったり、お知らせしたりと容易になる部分もありますが、コミュニケーションとして重要な「直接会って話す」ことはICTシステムで効率的に行うものではないでしょう。
ICTシステムを活用すると、職員同士で園児の連絡事項を共有したり、シフトを調整したりすることが簡単になるでしょう。
しかし、保育士さんが働きやすい職場を作り上げるためには、直接コミュ二ケーションを取ることも大切です。
気遣いのある言葉を掛け合ったり、笑顔で対応したりとお互いを尊重し、敬う心をもつことが重要となるでしょう。
保育園・幼稚園にICTシステムを導入することで、事務作業にかける時間を短縮し、業務の国立化に役立つことがわかりました。
次に保育のICT化が進むことで、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
業務が効率化すると、保育士が慌ただしい業務から解放され、子どもたちに向き合う時間も次第に増えていくことでしょう。
その結果、子ども一人ひとりと濃密に関わることができ、保育の質の向上にもつながるかもしれません。
また、ICTシステムは保育環境の記録がデータとして残しやすいというメリットがあります。
そのため、引継ぎの際なども活用しやすく、職員同士で情報を共有しながら、子どもたちの成長を見守ることができるでしょう。
保育に集中しやすい環境の整備につながり、職員の仕事への満足度も高まるかもしれません。
近年、保育士不足が深刻な問題となり、職場環境の改善に向けてICTシステムの活用が取り沙汰されています。
厚生労働省の資料によると、保育士の過去に保育士として就業した者が退職した理由について、職場の人間関係に続いて約3割の方が労働環境に不満をもっていることがわかりました。
保育士の退職意向理由は、「給与が低い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」と労働環境に関する要因が上位となっています。
ICT化による業務支援システムを導入し業務改善することができれば、労働環境の改善が見込まれ、その結果保育士の人材不足対策になること期待されるでしょう。
また、出産や妊娠を機会に退職する方も業務量の負担が軽減されることで、育児と仕事の両立がしやすくなり、人材の定着にも役立ちそうです。
ICTシステムの導入が進むと、子どもの成長に関するデータを蓄積し、履歴化することができるでしょう。
経済産業省の「保育現場の ICT 化・自治体手続等標準化検討会報告書p13」においても、以下のようにICTシステムの必要性が記載されています。
ICT 化が進むと、子どもの成長に関する情報を蓄積把握し、履歴化することが可能となる。これまでは紙での個別記録だったものがデータ化されれば、分析等にも活用でき、科学的根拠に基づいて、保育の質向上につなげていくことが可能となると考えられ、そういった観点からも ICT化を進めていくことは必要である。
引用:保育現場の ICT 化・自治体手続等標準化検討会報告書p13/経済産業省
また、子どもの成長に関するデータを蓄積することで、保育の質の向上に向けて大きな役割を果たすことが考えられます。データを活用すると、小学校への連携や新たな教育ツールの開発にも役立ち、保育の幅が広がることが期待できるでしょう。
また、保育所や幼稚園という就学前教育の場面のみならず、成長に関する情報や学習記録を小学校ともつなげていくことで、
効果的な指導法、蓄積されたデータを活用した 新たな教育ツール、業務効率化のツールの開発にもつなげることが可能となることが考えられる。
出典:保育現場の ICT 化・自治体手続等標準化検討会 報告書/経済産業省
このように保育業務をICT化することで、保育士の人材確保につながり、保育の質を向上も期待できるでしょう。
保育園・幼稚園の業務をICT化することで、労働環境の改善につながり、業務が効率的に進むことで、保育士の業務負担の削減も期待できます。
保育士の業務量を減らすことができれば、これまで以上に子どもに向き合う時間が増えたり、保育の質の向上にも役立つでしょう。
手作業での業務で感じられるあたたかみや、取り組みやすさを生かしつつ、管理が複雑な業務や時間がかかる業務などをICT化にするなど、園の状況に合わせて、上手に効率化を進めていくこと大切です。
国内では数十種類の保育ICTシステムが存在しています。ただし、すべての機能が充実している保育ICTはなく、複雑なシフト作成や残業時間などの労務管理が使いやすい保育ICT、保護者との連絡がアプリで完結する保育ICT、あらゆるドキュメントの作成が得意な保育ICTなど、それぞれに特徴があります。
また、見た目では一通りの機能が揃っていても、自分の園には合わないなど、その園ごとの相性があるでしょう。
そのため、保育ICTシステムを選ぶときは、1度にすべての業務をICT化するのではなく、何の業務をICT化したいか優先順位を付けておくことで、現場が混乱することなく段階的に保育ICT化が実現できます。
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