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「保育」のマニュアル化はできない!保育士の労働環境の改善が必要
目次
待機児童問題の解消に向けて認可子ども園の誕生や地域型保育事業の拡大など、子どもを取り巻く環境は大きく変化しています。
保育の受け皿が整備される一方で、子どもたちが充実した乳幼児期を送ることができるよう、
保育の質の維持・向上に向けた取り組みが重要視されています。
一般的な企業では生産性の向上や管理体制の徹底を目指し、業務マニュアルの作成を行うところも多いかもしれません。
しかし、保育現場では子どもたちそれぞれの成長にあわせた見守りやサポートが求められることから、マニュアル化したからといって、保育の質の向上に直接結びつくというわけではないようです。
保育士一人ひとりが豊かな感性の中で子どもの様子をこまめに観察し、実状にあわせた計画を立て、よりよい環境を提供していくことが求められます。
経験を積み重ねていけばあらゆる知識や技術が身についていきますが、早期離職してしまう保育士さんも少なくありません。
厚生労働省の調査によれば、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者の半分が継続勤務年数5年以内という結果に。
このような背景をふまえたうえで保育の質の向上を目指すためには、まず、子どもの生活全般をサポートする「保育士の育成・早期離職防止」に努める必要があるでしょう。
出典:保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けてp4/厚生労働省
そもそもなぜ、かわいい子どもたちの成長を支える「保育士」が経験が浅いうちに辞職してしまうのでしょうか。
その大きな要因として挙げられる「人間関係の難しさ」「労働環境の悪さ」について詳しく見ていきましょう。
園長先生や同僚、保護者などとの良好な人間関係が作れず、離職してしまう保育士さんが多いようです。
特に小規模の保育園では人の入れ替わりなども少なく、一度関係が壊れてしまえば修復に時間がかかるケースもあります。
クラス運営はもちろん、行事や保護者対応などあらゆる場面で保育士同士が協力する必要がありますが、「保育観があわない」「意見がぶつかってしまう」といった理由から辞めてしまうことも考えられるでしょう。
保育士の仕事に対して「給与が安い」「労働時間がない」「持ち帰り残業が多い」といったネガティブな印象を抱いている方も少なくありません。
実際に働いてみても「経験を重ねたとしても昇給が難しい」「持ち帰り残業に追われ、プライベートの時間がない」といった悩みが原因で、キャリアを積みたいという気持ちが徐々に薄れてしまう保育士さんもいるでしょう。
また、園のおたより作成や指導案、保育計画など書き物も多いことから、保育以外の作業に時間がかかり、不満を抱いて退職を選ぶケースもあるようです。
上記のような原因で辞めてしまう保育士さんを増やさないためにも、風通しのよい職場環境を作り上げる必要があるでしょう。
その際は、保育以外の業務に目を向け、作業の効率化・削減を目指して「業務のマニュアル化」を考えてみるとよいかもしれません。
細かな気配りや配慮が求められる保育活動のマニュアル化は難しいものの、その他の業務については手順を整理してマニュアルを作成することで、労働環境の改善を進めることができそうです。
次にマニュアル化できる保育士業務について考えてみましょう。
指導案や保育計画は子ども一人ひとりに対して気づいたことを記録し、保育について振り返る大切な書類です。
あらかじめテンプレートや文例を提示しておけば、その園の特色や保育観を理解したうえで作成することが可能でしょう。
特に新人保育士さんは作成方法に迷うこともあるかもしれません。マニュアルを用意すると、子どもたちの観察方法や写真の残し方なども伝えられ、人材育成の時間も短縮できるかもしれません。
保育施設では運動会や生活発表会などさまざまな行事を開催します。
行事それぞれのスケジュールや企画立案の日程、必要な備品などを記載したマニュアルを作成しておけば、ミーティングの回数も減らせるかもしれません。
年度ごとに特色を出すことも大切ですが、変更がない項目もあるでしょう。職員同士で話し合い、各行事のマニュアルを作成しておけば、計画もスムーズに立てられそうですね。
7次締切分:2024年10月8日 (火) → 交付決定日:2024年11月22日(金) 予定
追加公募対象枠:通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠
※確定している募集回のスケジュールになります。以降のスケジュールは随時更新いたします。
※一般的に公募が遅くなるにつれて、通過(採択)率が下がるとされているため、お早めの申請をおすすめしております。
※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。
施設の衛生管理は子どもの感染症対策や健康維持を行うために重要な要素です。
チェックシートを作り、職員同士で共有すると役割分担もしやすいでしょう。また、新人保育士さんが一目でわかるよう、保育室やホールなどの清掃点検表なども作成しておくとよいですね。
職員の勤怠管理は事務員さんが行うのでは?と考えがちですが、マニュアル化しておけば、健全な労働環境の維持に役立ちます。
勤務時間や残業時間、有給休暇などを記載した勤怠のマニュアルがあれば、働き方が明確なため、職員自身も安心して勤務することができるでしょう。
また、「休みが欲しい」「この日は短時間勤務にしたい」などといった要望を園に伝えづらいと感じる保育士さんも多いようです。
マニュアルには勤怠に関する手続き方法の例も記載しておくと、働きやすさを感じるきっかけになりそうです。
マニュアル化と同時にICTシステムを活用することで、さらなる業務の効率化・削減に役立つかもしれません。
ICTシステムとはタブレットやパソコンを使って園児情報や職員の勤怠管理を行うことが可能な電子システムです。
例えば、子どもの保育記録を見る際も「資料を探し、該当箇所を見つけて職員同士で共有する」といった作業が必要でしたが、ICTシステムで一括管理しておけば、すぐにデータを検索でき、リアルタイムで共有することが可能となります。
また、職員のシフト作成時も園の運営ルールをあらかじめ入力しておくと、その内容に沿って簡単に作ることができ、必要な人員もすぐに確認できます。
業務ひとつひとつを効率化すれば、職員の確認作業も減り、負担も軽減されます。
業務のマニュアル化を検討する際は、ICTシステムの導入も考えてみるとよいでしょう。
子どもたちの心に寄り添った保育を行うためには、その都度保育士さんが優しく声をかけたり、指導方法を工夫したりすることから、マニュアル化するのは難しいでしょう。
しかし、その他の書類作成や事務作業については、マニュアルを作成することで保育士さんの業務の効率化・削減につながりそうです。
これからも共働き世帯の増加に伴い、保育施設の増設が見込まれます。しかし、保育士という担い手がいなければ、運営が困難な状況となる園もあるかもしれません。
子どもたちの育ちを支える保育士がやりがいをもって仕事に取り組むことができるよう、環境整備について取り組んでいきましょう。
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