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加配保育士の役割とは?仕事内容や求められるスキル、必要な資格を紹介

加配保育士の役割とは?仕事内容や求められるスキル、必要な資格を紹介 maroke/stock.adobe.com
障害児保育を担当する加配保育士とはどんな役割があるのでしょうか。子どもの特性に応じた適切な援助やケア、個別のカリキュラム作成など一般の保育士さんとは業務内容に違いがあります。今回は、加配保育士の概要や今後のニーズ、仕事内容を紹介します。求められるスキルや資格についてもまとめました。

目次

    加配保育士とは

    加配保育士とは、障害の診断を受けた子どもを担当するために配置された保育士のことをいいます。

    一般的には障害のある子ども2人に対して加配保育士1人を配置し、集団生活を送るうえで必要な個別の援助や配慮を行います。

    障害の内容にもよりますが、クラスの活動を一緒に行うことが難しかったり、友だちと意思疎通が上手くいかなかったりする場合もあるでしょう。

    その際に加配保育士は園児に寄り添い、充実した園生活を行うことができるように手助けする役割を担います。

    障害児保育の受け入れ実施状況

    厚生労働省の資料によると、保育施設における障害児保育の受け入れ実施状況は以下の通り、年々増加傾向にあります。

    障害児保育実施施設

    出典:各自治体の多様な保育(延長保育、病児保育、一時預かり、夜間保育)及び障害児保育の実施状況について/厚生労働省からの抜粋

    2020年時点で19,965ヶ所の施設が障害児を受け入れているため、担当する加配保育士の必要な存在でしょう。

    また、厚生労働省の2022年の保育関係の予算案においても障害児の受け入れを促進事業に向けた取り組みを明記しており、加配保育士の配置に伴う特別支援加算を創設、補助金の支援を推進しています。

    このように、需要が高まる加配保育士の仕事とは、実際にどのような業務を行うのでしょうか。

    詳しく見ていきましょう。

    出典:各自治体の多様な保育(延長保育、病児保育、一時預かり、夜間保育)及び障害児保育の実施状況について/厚生労働省

    出典:2022年度 保育関係予算案等の概要p27/厚生労働省

    加配保育士の仕事内容

    子どもに対する援助やケア

    加配保育士は主に障害児の保育を担当するため、子どもそれぞれの障害の内容や発達などを把握し、適切な援助やケアについて考える必要があるでしょう。

    障害の度合いや性格などによって援助方法は異なるため、信頼関係を育みながらさまざまな手助けができるように配慮することが重要です。

    例えば、集団生活の中では製作や運動の時間が決まっている場合や遊び・生活ルールなどを守らなければならない場面もあるでしょう。

    しかし、障害をもった子どもの中にはルールに沿った行動が難しいケースもあるかもしれません。

    そのような場合もそれぞれのペースをくみ取りながら、楽しく活動ができるように寄り添うことも加配保育士の大切な仕事のひとつでしょう。

    個別の保育計画の作成

    保育園では、一般的に年間計画や週案、月案、日案などを作成し、園全体、クラス全体の目標を立てます。

    しかし、障害をもったお子さんの中には目標を達成することが困難な場合もあるかもしれません。

    そのため、加配保育士は障害の内容を把握したうえで、個別に保育計画を作成する必要があるでしょう。

    子どもが療育施設など他の機関に通っている場合は、保護者に療育の様子などを聞き、どのような働きかけを行っているのかを把握することも大切です。

    また、療育施設と連携して援助方法などを話し合うことで、それぞれの子どもたちに合った保育活動を行うことも重要となるでしょう。

    職員との連携

    加配保育士はクラスの担任や副担任と連携をして、子どもたちの保育活動を行うことが多いでしょう。

    担当している子どもがクラス全体の活動を行うことが難しく、その場を離れる場合もあるかもしれません。

    周りの保育士と報告・連絡・相談(ほうれんそう)をしっかりと行い、連携を取ることが求められます。

    また、職員同士で担当する園児の状況を共有し、適切な援助ができるように話し合うことも必要でしょう。

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    補助金に関するお問合せ

    保護者対応

    子どもに向けて適切な保育活動を行うことはもちろん、保護者の相談に応じたり、ケアを行ったりすることも加配保育士とって大切な仕事のひとつです。

    保護者の方の中には、お子さんの障害について悲観的になり、落ち込むこ場合もあるかもしれません。

    加配保育士は良き相談相手となり、連絡帳でこまめにやり取りしたり、送迎時や電話応対の場面に話し合ったりと信頼関係を築きあげることも重要でしょう。

    加配保育士に求められるスキル・資格

    加配保育士になるために必要な資格やスキルについて紹介します。

    保育士資格が必要

    加配保育士になるためには、保育士資格を取得する必要があります。

    保育士資格を取得するには、大まかに以下の2通りのルートがあります。

    • 保育士養成学校(大学・短大など)を卒業する
    • 保育士試験を受験して合格する

    いづれも障害児保育について学習する必要があるため、現場で活用する知識を学ぶことができるでしょう。

    ただ、自治体によっては無資格でも加配に配置できるよう条件を緩和しているケースもあります。自治体の配置基準を確認してみましょう。

    障害についてのスキルが求められる

    障害といっても自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群などの発達障害や難聴や視覚障害などさまざまな種類があります。

    障害に対する基礎的な知識はもちろん、それぞれの子どもに適切な手助けとは何かを考えることが重要かもしれません。

    例えば、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状がある場合は、廊下や窓の近くなど外からの刺激を与えられる場所が苦手な子どももいるようです。

    班づくりの際は真ん中に席を配置するなど、子どもが落ち着いて活動できる方法を考える必要があるでしょう。

    障害の種類や状況によってサポートする範囲は異なるため、様子をよく観察してよりよい保育活動を行えるように、少しずつ経験を積み重ねることが大切かもしれません。

    保護者との連携スキルが必要

    加配保育士は家庭での様子や療育に関することなどを保護者と話し合うことも多いでしょう。

    ときには、話し合う中でどのように対応すればよいのかわからない場合もあるかもしれません。

    スムーズに対応するためにも、心理学の知識などを学ぶことができる「保育カウンセラー」や、人とやり取りをする際に役に立つ「コミュニケーション能力認定」などの資格を取得すると、現場で活かすことができるでしょう。

    加配保育士になるには?

    加配保育士になるには、加配を配置している保育園や幼稚園で勤務する必要があります。

    クラス担当の割り振りによっては、加配保育士以外の配置になる可能性も考えられるでしょう。

    加配保育士になって障害児の援助がしたい意向を園長先生に伝えるとよいかもしれませんね。

    加配保育士になるメリット

    加配保育士になることで、どのようなメリットがあるのかを紹介します。

    保育士としてスキルアップできる

    障害児を担当することで子どもにとって適切な援助とはどのようなものなのかということを改めて考えるきっかけとなるかもしれません。

    クラス担任の場合は、園児全体の目標やねらいを大切にして保育活動を行い、遊びの指導などを行いますが、加配保育士は担当する子どものペースを見て、必要なサポートを考えることが重要です。

    そのため、その子の言動や行動を注意深く観察して、向き合う必要があるでしょう。

    このような経験を重ねると、子どもを見守る「眼」を養うことにつながるため、保育士としてスキルアップできるかもしれません。

    子どもとじっくり関わることができる

    保育園や幼稚園では数十人の子どもを一人で担当する場合もありますが、加配保育士は障害児の子ども2人、もしくは1人に対して保育活動を行うため、一人ひとりじっくり関わることができるでしょう。

    子どもの障害の度合いによって対応に違いがあるため、担当するのは難しいのでは?と考える方もいる一方で、密に子どもと向き合うことで勉強になることも多いかもしれません。

    加配保育士になるデメリット

    加配保育士になることのデメリットを紹介します。

    求人が少ない

    全国的に加配保育士の需要は高まっているものの、「障害児を受け入れていない」、「加配保育士を配置するための補助金制度を活用していない」という園があるようです。

    そのため求人が少なく、加配保育士として働きたくても希望の保育園に勤務することができない可能性もあるでしょう。

    また、地域によってはパートやアルバイトとしての募集はあるが、正社員の求人が少ないというケースもあるようです。

    勤務中に辛いことがある

    加配保育士として働く際に、悩みを抱えることもあるでしょう。

    その中で先輩の保育士さんに相談したくても「周りの職員が障害児への対応に慣れていない」、「忙しすぎて相談しづらい」などさまざまな理由から、悩みを抱え込んでしまう方もいるかもしれません。

    また、保育士さんの人手不足は解消されていない今、話し合いの場を設けたくても加配保育士と向き合う時間がないという職員もいるでしょう。

    勤務中に辛いことがある場合に、相談し合える関係性を意識的に作り上げることも大切かもしれません。

     

    加配保育士の役割の重要性を把握しよう

    加配保育士は、障害の診断を受けた子どもたちが安心して園生活を送ることができるように必要な存在でしょう。

    需要が高まる中で、担当の子どもの保育活動以外にもカリキュラムの作成や個人記録の情報管理、衛生管理など幅広い業務を担うことも考えられます。

    園として、加配保育士の業務負担を軽減するためにも、ICTシステムの活用や役割分担の見直しなどを考える必要があるかもしれません。

    加配保育士の役割の重要性を把握し、障害児の受け入れ体制の整備、職員が働きやすい職場環境の改善などに取り組んでいきましょう。

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