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レッジョ・エミリア教育とは。3つの教育理念や特徴、一般的な教育法との違い

レッジョ・エミリア教育とは。3つの教育理念や特徴、一般的な教育法との違い Purino/Shutterstock.com
100人の子どもがいれば、それぞれ100通りの個性があるという教育方法「レッジョ・エミリア教育」。プロジェクト型の教育を取り入れ、アート保育やドキュメンテーションなど、子どもたちの主体性を大切にした活動を展開しています。レッジョ・エミリア教育の3つの教育理念や特徴、一般的な教育法との違いなど、詳しく紹介します。

目次

    レッジョ・エミリア教育とは

    レッジョ・エミリア教育とは、イタリアの都市レッジョ・エミリアで発祥され、子どもが主体的に活動し、それぞれの個性を引き出すことを大切にした教育方法のひとつです。

    教育理念の象徴として100人子どもがいれば、100通りの考え、表現方法があるという「100のことば」を掲げています。

    また、アート活動やドキュメンテーションなどを取り入れ、子ども自らが展開したい事柄や物事を中心に、プロジェクト型の教育を行うことも大きな特徴です。

    日本においては、アートを楽しむ時間を設けたり、子どもたちの活動を写真や動画で残したりと、この教育を取り入れている保育園や幼稚園があり、保護者の方々も注目している教育方法でしょう。

    出典:諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会(保育の質に関する基本的な考え方や具体的な捉え方・示し方に関する調査研究事業)/厚生労働省

    レッジョ・エミリア3つの教育理念

    レッジョ・エミリア教育は、子どもそれぞれの個性を引き出す方法として「社会性」「時間」「子どもの権利」3つの教育理念を唱えています。

    • 社会性:子どもの社会性を育むために、4名~5名のチームを作り、意見交換の中で活動を展開していく
    • 時間:時間割やタイムスケジュールなどは設けず、長期的なテーマにチャレンジし、深堀していく
    • 子どもの権利:子どもが主体的な活動を行うことができるよう、否定的にならず、子どもの権利を尊重する

    子どもたちが「自ら考えて行動する力」「自ら学習する力」を高められるよう、関わる大人は子どもの取り組みを急かさず、否定せず…といった、自主性を大切にした教育を実践しています。

    自らの意思で活動を展開すると、学習意欲を高め、関心を抱く事柄を選択する能力も育まれることでしょう。

    また、時間割を設けずに長期的なテーマ(アート作品など)に取り組むことは、ユニークなアプローチ方法のひとつといえるかもしれません。集中力や探求心、持久力などさまざまな力を養うことにつながりそうですね。

    レッジョ・エミリア教育の3つの特徴

    レッジョ・エミリア教育の実践方法の特徴を紹介します。

    ①プロジェクト活動の推進

    「プロジェクト」と呼ばれる活動は、1年単位で長期的にひとつのテーマを子ども同士で話し合い、製作活動について調べたり、進めたりするものです。

    グループは4人~5人に分けられ、周囲の大人は子どもたちが議論しやすいように、話し合いの場を見守ります。ひとつのことに対して真剣に議論して、決定した事柄を形にしていくことで、協調性や自立性が身につくといわれています。

    ②ドキュメンテーションを作成

    ドキュメンテーションとは、子どもたちの様子を動画や写真、文字で残す方法です。活動を園内で掲示して、子どもが自ら振り返り、次の展開に活かすことを目的としています。

    また、ドキュメンテーションを保護者と共有すると、活動内容を伝えやすく、連携も密に図ることができそうです。写真や動画などを用いれば、子どもたちの様子を詳細に報告できるというメリットもあるでしょう。

    ③アトリエスタの配置

    レッジョ・エミリア教育を取り入れている施設では、アトリエスタという造形美術の専門教師を配置します。プロジェクトの見守りやドキュメンテーションの作成などを行い、子どもたちの主体的な活動を支えているようです。

    葉っぱやどんぐりなど、アート活動に使用する自然物などを用意して、子どもの興味・関心を引き出すことができるようにサポートしています。園によっては、子どもたちと公園や広場に材料を探しに行くこともあるようです。

    レッジョ・エミリア教育と一般的な教育法との違い

    レッジョ・エミリア教育方法と一般的な教育方法の違いは「教師の指示で動くのではなく、子どもたちが自ら行動する力」を大切にしている点かもしれません。

    ただ、日本の保育園や幼稚園では「導入」という方法を大切にしており、子どもたちが主体的に活動に参加できるようサポートしています。

    例えば、先生が活動の前にその内容に関する手遊びや歌遊びなどさまざまな導入方法を行い、楽しく活動を進められるような声かけが行われているようです。

    また、自立心や社会性を養うことの大切さは、日本の保育・教育活動の指針である「保育所保育指針」、「幼稚園教育要領」においても記載されています。レッジョ・エミリア教育方法とのアプローチの仕方は異なりますが、子どもの成長を支えるという方向性は、共通する点が多いかもしれません。

    出典:保育所保育指針解説/厚生労働省

    出典:幼稚園教育要領/文部科学省

    【家庭・保育園】レッジョ・エミリアを実践する方法

    レッジョ・エミリア教育法を、家庭や保育園でも取り入れたいと考える方もいるでしょう。それぞれの実践方法について紹介します。

    家庭編

    お子さんと折り紙や新聞紙遊びなど、さまざまな工作を楽しむご家庭も多いのではないでしょうか。

    その際に子どもたちに「今日はどんなものを作ろう?」「材料を使って好きな作品を作ってみよう!」といった声かけをしてみるとよいかもしれません。

    自分の好きなものをイメージして作品を完成させることで、自主性だけでなく、達成感を味わうことにつながりそうです。また、はさみやのりの使い方など上手に道具を使えないこともあるでしょう。

    すぐにサポートするのではなく、「どんな風にはさみを持ったら紙が切りやすいかな?」「のりはどの指にのせれば、塗りやすい?」などヒントとなる言葉を伝え、「子どもが自ら考える」場となるよう、意識するとよさそうですね。

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    ※手続きに時間がかかるため、締切は弊社ヘルプデスクの受付締切日を記載しております。

    補助金に関するお問合せ

    保育園編

    レッジョ・エミリア教育法のプロジェクトは、一般的な保育園で行われている「共同制作」と似ている面もあるでしょう。

    共同制作とは、ひとつの作品をクラス全体で作る製作活動のひとつです。

    年長クラスになると、グループで話し合い、作品の完成に向けて取り組む園も多いようです。一般的に1カ月、1週間など、短期間で作品を作り上げますが、レッジョ・エミリア教育法のように、1年間と長期的に作りあげる方法を取り入れてみると、よいかもしれません。

    また、1年を通して四季折々の自然のモチーフを題材にした折り紙製作や紙粘土工作を取り入れ、最後にひとつの作品としてまとめると、子どもたちの思い出がたくさん詰まった作品に仕上がりそうですね。

    レッジョ・エミリア教育を知り、保育活動に役立てよう

    レッジョ・エミリア教育は、子どもたちそれぞれの個性や自発性を伸ばす教育法として注目されています。

    乳幼児期に子どもが何かに取りかかる際、周囲の大人は「できないのでは?」と思い込み、つい手を貸してしまう場面が多いかもしれません。子どもの権利を尊重するためにも、大人がサポートを前提に行動するのではなく、子どもたちが自らやり遂げることを「見守る」という姿勢も大切でしょう。

    世界にはレッジョ・エミリア教育の他に、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などさまざまな教育方法が存在します。それぞれの特徴やよさを把握して、子どもたちへの関り方について、あらためて考えてみましょう。

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