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キー・コンピテンシーとは?得た知識や技術を生活や社会に活用する「生きる力」

キー・コンピテンシーとは?得た知識や技術を生活や社会に活用する「生きる力」 milatas/Shutterstock.com
多様な社会変化に伴い、OECD(経済協力開発機構)が定義した「キー・コンピテンシー」という新しい能力の概念。生きるうえで必要な能力を3つのカテゴリーに分けて形成し、新しい教育環境の整備に役立てています。キー・コンピテンシーの概要や日本の幼児教育現場に取り入れる際の環境づくりのポイントを紹介します。

目次

    キー・コンピテンシーとはどんなもの?

    キー・コンピテンシーとは、1999年~2002年にかけてOECD(経済協力開発機構)が「能力の定義と選択」プロジェクトの成果として、多くの加盟国からの国際的合意を得た新しい能力の概念になります。

    言語や知識を活用する能力や多様な集団の中で人間関係を形成する力、自律的に行動する力など、3つのカテゴリーから形成されています。

    日本においてもキー・コンピテンシーの概念を「生きる力」と捉え、教育現場に活用する取り組みが行われているようです。

    従来の知識を蓄えるだけの教育を行うのではなく、その際に得たスキルや技術を生活や社会の中でどう活かすのか、「活用する能力の育成」に向けて、教育現場の環境整備が重要となるでしょう。

    ここで、キー・コンピテンシーの概要を把握するためにも、3つのカテゴリーについて詳しく見ていきましょう。

    キー・コンピテンシーの3つのカテゴリー

    文部科学省の「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ 補足資料」では、キー・コンピテンシーについて以下のように定義されています。

    1.社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力

    A言語、シンボル、テクストを相互作用的に活用する能力

    B知識や情報を相互作用的に活用する能力

    Cテクノロジーを相互作用的に活用する能力

    2.多様な社会グループにおける人間関係形成能力

    A他人と円滑に人間関係を構築する能力

    B協調する能力

    C利害の対立を御し、解決する能力

    3.自律的に行動する能力

    A大局的に行動する能力

    B人生設計や個人の計画を作り実行する能力

    C権利、利害、責任、限界、ニーズを表明する能力

    出典:次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ 補足資料p75/文部科学省からの抜粋

    上記の3つの枠組みの核として、「思慮深く考える力」の必要性についても表記しています。これは、変化に対応する力や経験から学ぶ力、行動する力などさまざまな能力もまた重要であることを意味しているようです。

    自然災害や所得格差といった多様な社会変化の中で、キー・コンピテンシーの概念は子どもたちの「生きる力」を培う指標として活用できるでしょう。

    義務教育や高等教育の現場だけでなく、幼児教育からさまざまな能力が養うためには、どのような取り組みが必要とされるのでしょうか。

    幼児期からの環境作りのポイントについて、考えてみましょう。

    出典:次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ 補足資料p75/文部科学省からの抜粋

    幼児教育で「キー・コンピテンシー」を培う環境作りのポイント

    多様な経験・テーマに触れる

    日本の幼児教育現場では、英語や音楽教育、運動遊び、製作遊びといった多様な活動が行われていることでしょう。園の特色により、積極的に取り入れている活動には違いがあるかもしれません。

    キー・コンピテンシーでは、言語やテクノロジーなどさまざまな知識を得たうえで、能力を活用することを提言しています。

    幼児教育現場においても、従来の教育観を大切にしつつ、新しいテーマを取り入れることに目を向けてみましょう。

    例えば、他国の言語に触れる場を設けたり、科学技術について学ぶ時間を設定したりと、子どもたちが多様な分野に触れる機会を用意するとよいかもしれません。

    実際小学校では、外国語教育の授業時間を増やし、プログラミング教育の必修化など、新しい教育環境の構築に向けて整備しています。

    幼児期から子どもたちがさまざまテーマに触れ、「考える力」を身につけられるよう、環境作りに取り組んでいきましょう。

    保育士さんや幼稚園の先生のスキルを高める

    子どもたちが集団生活を過ごす第一歩となるのが、保育園や幼稚園でしょう。

    人への思いやりの気持ちや協力する楽しさ、互いがよろこびをわかちあうことの素晴らしさなど、さまざまなことを学ぶ機会になります。

    キー・コンピテンシーでは、円滑な人間関係の構築についても言及しています。

    幼児教育現場において、子どもたちが他者と快適に過ごすには、どのような言動や行動が必要なのか、自ら考える力を養えるよう、支える教育者(保育士さんや幼稚園教諭など)のスキルを高める必要があるでしょう。

    そのため、運営者側は積極的に研修会や交流会といった、職員の資質・能力が育まれるような場を提供することも大切かもしれません。

    自律心を養う機会を大切にする

    自律心とは、自分の行動を統制・制御しようとする力のことを指します。子どもたちは成長するにつれて、さまざまな環境に合わせて行動する力や決断する力が求められるでしょう。

    その際に、幼児期から多様な問題に対して、自ら解決する能力が養えば、自己肯定感豊かな人材となり、前向きに物事を捉えることができるかもしれません。

    このような力を育むためには、幼児教育現場において、ただ子どもたちを褒めることを意識するだけでなく、自ら問題を解決できるまで周囲の大人が「見守る」姿勢を保つことも重要になりそうです。

    小さな頃から自律心が育まれるように、状況に応じた援助方法について考えていきましょう。

    出典:新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について/文部科学省

    出典:「小学校プログラミング教育の手引」の改訂(第三版)/文部科学省

    キー・コンピテンシーの概念を幼児教育現場に取り入れよう

    キー・コンピテンシーの概念は、新しい教育環境を構築するうえで、重要な考え方のひとつでしょう。

    日本の幼児教育現場では、保育所保育指針や幼児教育要領といったさまざまな指針があります。従来の指針を大切にしつつ、新しい教育の在り方について考えることも必要でしょう。

    キー・コンピテンシーのように多くの国で取り入れられている概念に触れ、未来を担う子どもたちの成長を支えていきましょう。

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